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「コロナ禍の新しい日常で、外出自粛明けの"隠れ脱水“に注意!」今年の熱中症予防について医師にお聞きしました

コロナ禍が長期化する中、外出する機会が減っています。外出自粛によって今夏は熱中症の危険性が少なくなっているのでしょうか。総務省消防庁「令和2年(6月から9月)の熱中症による救急搬送状況」によると、昨年の熱中症による救急搬送の発生場所は自宅が最も多く(43.4%)、前年と比べ621人増加(熱中症の搬送者全体は2000人減少)しています。在宅中でも熱中症になる危険性が高いことが分かります。また外出自粛によって暑熱順化が進まず、突然夏の暑さにさらされることは熱中症のリスクを高めることになります。このコロナ禍での熱中症予防について、医療法人社団康梓会Y’sサイエンスクリニック統括院長 日比野佐和子先生にお聞きしました。

日比野佐和子
医師・医学博士
日本内科学会・日本皮膚科学会・日本眼科学会会員。
日本抗加齢医学会専門医
アジア・オセアニア抗衰老促進協会 ゲノミクス栄養学普及協会理事長などを務める。
医療法人康梓会Y’s サイエンスクリニック広尾統括院長、大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学 特任准教授。内科医、皮膚科医、眼科医、日本抗加齢医学会専門医。同志社大学アンチエイジングリサーチセンター講師、森ノ宮医療大学保健医療学部准教授、(財)ルイ・パストゥール医学研究センター基礎研究部アンチエイジング医科学研究室室長などを歴任。現在はアンチエイジング医療における第一人者的な立場として、基礎研究から最新の再生医療の臨床に至るまで幅広く国際的に活躍するとともに、テレビや雑誌等メディアでも注目を集める。

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■“隠れ脱水”に注意

人の体の約60%は水と電解質などを含む体液でできています。この体液が減ると人は脱水状態に陥ります。コロナ禍により、外出自粛とマスク着用の生活をすることで自分の脱水状態に気づきにくい「隠れ脱水」が起こりやすくなります。とくに6月から7月にかけては雨が多く湿度が高いので汗が蒸発されにくくなります。本来ならこの時期に徐々に体が暑さに慣れていく暑熱順化が進み脱水症状を予防するのですが、コロナ禍で外出機会が減り運動不足になることで暑熱順化が進まず「隠れ脱水」の危険性が高まります。またマスクを着用することで口元が湿って喉の渇きを感じにくくなり水分をとらなくなってしまうことも「隠れ脱水」になりやすい要因です。
コロナ禍の新しい日常は「隠れ脱水」を引き起こしやすい危険な日常です。子供や高齢の方、糖尿病や高血圧などの基礎疾患をもっている方はとくに注意が必要です。暑い時期に多く発生する熱中症は脱水状態が原因となるので、まずは「隠れ脱水」にならないことが大切です。

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■1.5~2リットルの水をこまめに飲むことが大切

「隠れ脱水」にならないためには水分を補給することが最も重要です。1.5~2リットルの水を毎日、6~8回ぐらいに分けてこまめに飲むことが大切です。とくに子供は体液の割合が成人に比べて高く、エネルギー代謝も高いため大量の水分が急に失われやすく注意が必要です。
水分補給とともに規則正しい生活も熱中症予防には大切です。寝不足のまま運動をしたり、食事を規則正しくとらなかったりといった不規則な生活は熱中症の原因になります。

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■適度な運動で筋肉量を維持

長い外出自粛の影響で知らず知らずのうちに筋肉量が落ちている可能性があります。筋肉には水分を蓄える機能があり、筋肉量の減少には注意が必要です。筋肉量を維持するために自宅で簡単にできる運動を継続的にすることをおすすめします。就寝前15分程度のストレッチや自宅にある椅子に座ったり立ったりを10回程度するなど、激しい運動でなく自宅でできる緩やかな有酸素運動を毎日行いましょう。

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■カラフルな夏の野菜や果物がおすすめ

早めの水分補給とともに熱中症予防にはミネラルやビタミン、タンパク質を十分にとることが重要です。トマトやナス、カボチャ、パプリカなどの夏野菜は抗酸化作用の高いビタミン、ミネラルを多く含んでいるので欠かせない食材です。梅やマンゴーなど旬の果物やカレーに含まれるクルクミンやクミンも効果的です。タンパク質を多くとるために豚肉の料理もおすすめです。カラフルな野菜や果物、豚肉料理やカレーなど、この季節に最も美味しく感じられる食材や料理が熱中症予防に効果的です。古来親しまれてきた料理を満喫して暑い夏を乗り切りましょう。
また普段から規則正しく水分補給をすることで「隠れ脱水」を未然に防ぐことが大切ですが、激しいスポーツや入浴で多く汗をかいた後などは、汗で失われた塩分などのミネラルを多く含む経口保水液を適度に飲むこともおすすめです。

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