身体に負荷の少ない長時間透析を組み合わせることで、 |
当社が販売する「電解水透析®システム」が医療法人社団兼愛会 前田医院(所在地:長崎県島原市、以下「前田医院」)に導入され、6月23日(月)から治療が開始されます。九州で初めての多人数用システムの導入となります。なお、前田医院では、身体に負荷の少ない長時間透析を実施しており、「電解水透析®システム」と組み合わせることで、透析患者の方々のさらなるQOL向上に貢献することが期待されます。
■「電解水透析®」の特長
血液透析治療に水素が含まれた透析液を使用することで、透析患者の血中酸化ストレスや炎症の低減、血圧の安定化、また降圧薬の低減および透析疲労感の低減等の症状緩和を観察しており、透析患者のQOL(生活の質)向上が期待されます。
2018年に、東北大学との5年間の多施設共同前向き観察研究結果として「電解水透析®」により透析患者の死亡および心脳血管病の発生リスクが通常透析と比べ41%抑制されたことを、2022年には、聖路加国際病院、日鋼記念病院との共同研究で、「電解水透析®」により重度疲労感低減作用を確認し、且つその作用を高める要因を発見したことなどについて、英国の専門誌に論文発表し、「電解水透析®」への認知、関心、期待がさらに高まってきています。
■「電解水透析®」を用いた長時間透析への期待
標準的な透析治療時間は約4時間が一般的で、治療後に重度の疲労感などの副作用が生じるケースがあります。一方、長時間透析は、6時間以上かけてゆっくりと治療するため、体内に蓄積した尿毒素をより多く除去できます。また、時間をかけて透析をおこなうことで身体への負荷が少なく、透析直後の倦怠感の軽減や長期合併症に対するリスクの軽減など多くのメリットがあります。このように身体に負荷の少ない長時間透析に「電解水透析®」を組み合わせることで、透析患者の方々のさらなるQOL(生活の質)向上に貢献することが期待されます。
■医療法人社団兼愛会 前田医院様による医院紹介文
腎・泌尿器科、皮膚科、美容皮膚科に特化したクリニックです。
先代が昭和50年に透析医療に取り組みはじめ、平成3年の普賢岳噴火災害をみんなの力で乗り越え地域医療に貢献して参りました。現在は姉、妹とともに温かみのあるワンフロアの透析室で長時間透析や頻回透析※1、オンラインHDF※2に取り組んでいます。19床の入院ベッドを備え、腹膜透析外来も行っています。
「元気で長生きできる施設」を目標に、患者さんと地域との交流を大切にしながら健康回復に尽力しています。
※1:週5回以上の透析のこと。
※2:血液透析濾過の一種で、置換液に無菌化した透析液を使用する方法。
■医療法人社団兼愛会 前田医院概要
医院名:医療法人社団兼愛会 前田医院
所在地:長崎県島原市新田町587-2
電話番号:0957-62-6501
診療科目:腎・泌尿器科/皮膚科/美容皮膚科
透析ベッド数:63床
ホームページ:http://hopitalmaeda.com/
■医療法人社団兼愛会 前田医院 前田兼徳理事長プロフィール
1995年 佐賀医科大学(現 佐賀大学)医学部 卒業
同年 長崎大学医学部 泌尿器科教室 入局
2002年 対馬いづはら病院 泌尿器科 医長
2003年 健康保険諫早(いさはや)総合病院 泌尿器科 医長
2005年 広島県尾道市立御調(みつぎ)総合病院 泌尿器科 医長
2006年 医療法人社団兼愛会 前田医院 副院長
2020年 医療法人社団兼愛会 前田医院 理事
(所属学会)
日本透析医学会 専門医・指導医・評議員
長時間透析研究会 幹事
日本在宅血液透析学会 評議員・理事
日本血液透析濾過医学会 評議員
前田理事長からのコメント
透析患者さんは高サイトカイン血症※3を黒幕とする異栄養状態※4:malnutrition、炎症:inflammation、動脈硬化:atherosclerosisという負のスパイラルの中に存在しています(MIA症候群)。そして近年、MIA症候群と活性酸素種との関連が指摘されています。
前田医院は、尿毒素や酸化促進物質の蓄積や抗酸化防御機能低下などの腎不全そのものに由来する病態に対しては、できる限りの透析液清浄化を試みながら、オンラインHDFによる生体適合性に配慮した長時間透析・頻回透析を行ってきました。
それでも従来の血液浄化療法は非生理的なものに過ぎず、そこには生体が異物に暴露されてしまうという側面が存在します。残念ながら患者にとって必要不可欠な治療そのものが、酸化ストレスを負荷する要因の一つに他ならないのです。
当院が導入する電解水透析は、腎不全治療が長いあいだ抱えてきたこのジレンマを最小限にしようとするものです。さらにこの治療が患者さんの抗酸化力を向上させる可能性のある新しい概念のものであることを、われわれは確信し期待しています。
※3:免疫反応の調節に関わる「サイトカイン」が血液中に過剰に存在する状態。
※4:栄養障害。
■「電解水透析®」とは
腎不全患者の治療に用いられる血液透析は、水を大量に使用する治療法で1回あたり約120リットルの水を使用します。当社は、この“水”に、当時抗酸化作用を確認した “電解水素水”を応用することを世界で初めて着想し、「電解水透析®」の取り組みを開始しました。そして2005年からの東北大学をはじめとした研究機関との産学共同研究により、「電解水透析®」において水素分子(H2)が作用因子として抗酸化作用を発揮し、生体適合性を高めることを突き止めました。その後、臨床データの取得と共に透析システム(国内外特許取得)の開発にも取り組み、2011年に「電解水透析®システム」を発売、2020年には標準化タイプの「電解水透析多人数用装置」を発売しております。現在、日本では34施設に導入され、「電解水透析®」を受けられる病床数は1000床を超えております。(2025年6月現在)
■ご参考:代表的な「電解水透析®」に関する掲載論文
(1)Renal Replacement Therapy (2016) 2 23(総説論文)
「抗酸化療法としての水素分子:血液透析への臨床応用と展望」
URL:https://www.nihon-trim.co.jp/news/1554/
(2)Scientific Reports (2018) Jan 10;8(1):254 (5年間の前向き観察調査)
「電解水透析は血液透析患者の死亡・心脳血管合併症発症リスクを41%低減」
URL:https://www.nihon-trim.co.jp/research/1048/
(3)Renal Replacement Therapy(2021)7:37
「電解水透析は透析関連疲労の原因酸化ストレスを低減」
URL:https://rrtjournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s41100-021-00353-9
(4) Renal Replacement Therapy (2021) 7:58
「電解水透析で重度の透析関連疲労感をほぼ消失」
URL:https://www.nihon-trim.co.jp/research/3829/
※実質的疲労感有り無しのカットオフ値はオリジナル質問票のROC曲線から求め、VAS値4以上を実質的疲労感有りとした。
*:P<0.05, **:P<0.01(変更前に比べ有意差あり)
(5) Renal Replacement Therapy (2022) 8:32
「電解水透析により重度疲労感低減作用を確認、且つその作用を高める要因を発見」
URL:https://www.nihon-trim.co.jp/research/4257/
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