~「電解水透析®」の糖尿病を持つ透析患者への影響や、さらなるQOL向上について講演~ |
当社は、2025年6月27日(金)~29日(日)に開催された「第70回日本透析医学会学術集会・総会」において、ブース出展及び当社共催のランチョンセミナー「電解水透析の新たなる可能性」を実施いたしました。
6月28日(土)に実施した当社共催のランチョンセミナーでは、「電解水透析の糖尿病患者への影響」、「透析後疲労の克服を目指して」と題して2つの講演が行われました。医師や臨床工学技士など、透析医療に携わる方々を中心に、座席数を大幅に上回る総勢270名以上が来場するなどの大盛況となり、電解水透析®への関心の高まりが伺えました。
講演1「電解水透析の糖尿病患者への影響」では、医療法人財団 真永会 東京ネフロクリニック 院長の右田 敏郎先生にご講演いただきました。右田先生は「電解水透析は免疫能を回復させる可能性がある。特に糖尿病を持つ透析患者にはメリットが大きいと思われる。」と糖尿病を持つ患者における電解水透析®の可能性を語りました。
講演2「透析後疲労の克服を目指して」では、電解水透析研究会の理事長であり、電解水透析研究の第一人者ともいえる聖路加国際大学 客員研究員 / 東北大学 オープンイノベーション戦略機構 特任教授の中山 昌明先生にご講演いただきました。中山先生は、「透析関連疲労は透析治療の重大な課題である。」と語った上で「電解水透析は透析中の好中球※1刺激を軽減することで酸化ストレスを抑制し、透析関連疲労を軽減する可能性がある。」と電解水透析®の透析患者のQOL向上への期待を示唆されました。
※1 免疫細胞の一種で白血球の全体の約45~75%を占め、細菌や真菌感染から体を守る役目がある。
■日本透析医学会について
日本透析医学会は1968年に任意学術団体の人工透析研究会として発足し、透析療法を中心とした血液浄化療法に関する学術の発展に寄与することを目的として活動しています。学術集会では、例年多くの透析医療に関わる専門職・研究者・企業の方々が一堂に集い、議論・意見の交換がなされています。また、透析医療・医学についての最新の情報・知識を収集できる場でもあります。今年は、「いのち輝く未来社会の透析医療」をテーマに開催されました。
当社では新しい透析治療法として電解水透析®の認知拡大を目指し、2005年から当学会に参画しております。
■展示ブースについて
期間中に出展したブースでは、電解水透析®の仕組みなどに関するパネル展示とともに、ブースを訪れた方へパンフレットをお渡ししながら説明を行いました。電解水透析®に関心をお持ちの方や、既存装置の入れ替えや病院の新設・移転を考えている関係者の他、新しく透析治療を始める医療従事者などが訪れました。来訪者からは「電解水透析と通常の透析の違いは何ですか」や「電解水透析はどのようなよさがあるのでしょうか」など、多くの質問をいただきました。
■日本トリムランチョンセミナー 講演概要
日時:
2025年6月28日(土)12:40~13:40
会場:
リーガロイヤルホテル大阪 2階・山楽の間1
タイトル:電解水透析の新たなる可能性
内容:
講演1「電解水透析の糖尿病患者への影響」
講演内容:
糖尿病を合併している透析患者は、そうでない透析患者に比べ活性酸素の放出量が多く、透析後の活性酸素の量も増える傾向にあることを紹介しました。電解水透析を6か月間行うと糖尿病を持つ患者の血糖が低く安定化する傾向がみられ、また、炎症の強さや免疫能低下の指標であるNLR※2(好中球/リンパ球比率)が有意に低減(改善)したことを報告し、活性酸素の減少が要因と考えられると発表されました。
※2 NLRが高いと透析患者の生命予後が悪いとされている。
講演2「透析後疲労の克服を目指して」
講演内容:
透析後疲労は透析患者の予後を悪化させます。その要因の一つに血液透析中の好中球の活性化があり、電解水透析は、その好中球の活性化を軽減し、酸化ストレスを抑制することで透析後疲労を軽減したと考えられます。また、血液中の代謝物の網羅解析により、エネルギー代謝を改善したことから、電解水透析は代謝調節型の尿毒素治療法であり、フレイル※3予防や透析患者の生命予後の改善も期待されることを発表されました。
※3 心身機能の低下による脆弱性
司会:
医療法人 徳洲会 湘南鎌倉総合病院
腎臓病総合医療センター センター長
日髙 寿美 先生
■一般講演/電解水透析研究会の発表について
一般社団法人電解水透析研究会を代表して中山昌明先生から、一般講演にて「電解血液透析の現状報告」と題し、電解水透析®の5年間の実態調査報告が行われました。電解水透析®を行っている国内19施設、2,482名の観察期間29か月間の死亡数は1年間1,000人あたり50.5人(5%)であったことが報告されました。これは全国平均の約半分となっていました。この内容は日本透析学会雑誌2025年58巻2号に掲載発表されています。
「電解血液透析の現状報告」
URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdt/58/2/58_93/_article/-char/ja
■「電解水透析®」とは
腎不全患者の治療に用いられる血液透析は、水を大量に使用する治療法で1回あたり約120リットルの水を使用します。当社は、この“水”に、1997年に九州大学との共同研究で抗酸化作用を確認した “電解水素水”を応用することを世界で初めて着想し、「電解水透析®」の取り組みを開始しました。そして2005年からの東北大学をはじめとした研究機関との産学共同研究により、「電解水透析®」において水素分子(H2)が作用因子として抗酸化作用を発揮し、生体適合性を高めることを突き止めました。その後、臨床データの取得と共に透析システム(国内外特許取得)の開発にも取り組み、2011年に「電解水透析®システム」を発売、2020年には標準化タイプの「電解水透析用水作製装置」を発売しております。現在、日本では34施設に導入され、「電解水透析®」を受けられる病床数は1000床を超えております。(2025年6月現在)
■ご参考:代表的な「電解水透析®」に関する掲載論文
(1)Renal Replacement Therapy (2016) 2 23(総説論文)
「抗酸化療法としての水素分子:血液透析への臨床応用と展望」
URL:https://www.nihon-trim.co.jp/news/1554/
(2)Scientific Reports (2018) Jan 10;8(1):254 (5年間の前向き観察調査)
「電解水透析は血液透析患者の死亡・心脳血管合併症発症リスクを41%低減」
URL:https://www.nihon-trim.co.jp/research/1048/
(3)Renal Replacement Therapy(2021)7:37
「電解水透析は透析関連疲労の原因酸化ストレスを低減」
URL:https://rrtjournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s41100-021-00353-9
(4) Renal Replacement Therapy (2021) 7:58
「電解水透析で重度の透析関連疲労感をほぼ消失」
URL:https://www.nihon-trim.co.jp/research/3829/
※実質的疲労感有り無しのカットオフ値はオリジナル質問票のROC曲線から求め、VAS値4以上を実質的疲労感有りとした。
*:P<0.05, **:P<0.01(変更前に比べ有意差あり)
(5) Renal Replacement Therapy (2022) 8:32
「電解水透析により重度疲労感低減作用を確認、且つその作用を高める要因を発見」
URL:https://www.nihon-trim.co.jp/research/4257/
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