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Antioxidants

「電解水素水」がアルコールによる肝細胞傷害を軽減するメカニズムを解明(科学誌「Antioxidants」に掲載)

早稲田大学(本部:新宿区 総長:田中愛治)と株式会社日本トリム(本社:大阪市、代表取締役社長:森澤紳勝)は、共同で電解水素水*1によるアルコール耐性のメカニズムに関する論文をスイス(バーゼル)に本部を置くMultidisciplinary Digital Publishing Institute(MDPI)社が発行する科学誌「Antioxidants」に投稿し、2021年5月19日に掲載されました。

*1電解水素水:水道水を整水器で浄水し且つ電気分解することで得られる、アルカリ性で分子状水素(molecular hydrogen)を含む飲用の水。また、研究により分子状水素および微量に存在する白金ナノ粒子に保持された反応性の高い水素により抗酸化作用を示すことが学術発表されている(参考論文1、2、3)。

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■概要
本研究は早稲田大学と日本トリムとの共同研究において、整水器から生成される電解水素水をヒト肝臓細胞株に作用させ、アルコール毒性に対する効果及びメカニズムを調べました。

結果、電解水素水はアルコールおよびアセトアルデヒドの代謝酵素に作用することで、アルコールから生じる有毒物質であるアセトアルデヒドの細胞内量を減らし、細胞保護効果を発揮するというメカニズムを報告しました。

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■研究意義・目的
飲酒によって摂取されたアルコール(主成分はエタノール)は肝臓で主に二つの酵素によって代謝され解毒されます。まず、エタノールはアルコール脱水素酵素(ADH)*2によってアセトアルデヒドに代謝されます。アセトアルデヒドはアルデヒド脱水素酵素(ALDH)*3によって酢酸に代謝され、最終的に水と二酸化炭素になります。この中間代謝物であるアセトアルデヒドは有毒物質であり、活性酸素種を生成することで肝臓中のタンパク質などを壊し、肝臓へのダメージを引き起こすことが知られています。これまでのマウスやラットでの研究では、水素水の摂取によってエタノールの肝臓への傷害を軽減することは報告されていました。また、他の細胞の実験で電解水素水が細胞内活性酸素種の消去活性をもつことも分かっていました。しかし、電解水素水の肝臓保護におけるメカニズムについては不明でした。そこで肝臓モデル細胞を用いて、電解水素水を作用させアルコール毒性に対する効果およびそのメカニズムを解明することを目的としました。

*2アルコール脱水素酵素:アルコールを酸化してアルデヒドにする反応を触媒する酵素。エタノールはアセトアルデヒドに変換される。

*3アルデヒド脱水素酵素:アルデヒドを酸化してカルボン酸にする反応を触媒する酵素。アセトアルデヒドは酢酸へ無害化される。

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■主な結果(論文から一部抜粋、改変)

(1)アルコール存在下では、電解水素水により細胞生存率が浄水に比べ上がり(図2)、細胞内活性酸素量の上昇が抑制される(図3)。

(2)アルコール存在下では、電解水素水によりADH活性が減少(図4)、ALDH活性が上昇し(図5)、細胞内アセトアルデヒド量は減る(図6)。

(3)電解水素水による肝細胞保護作用機序の概略ㅤㅤ
■結論
電解水素水は、エタノールが肝細胞内で代謝されることでつくられる有毒なアセトアルデヒドの「量」を減らすことで、活性酸素種の生成を抑制し、エタノールから肝細胞を保護することを確認しました。そのメカニズムとして、電解水素水が「ALDHの活性を高めることでアセトアルデヒドの分解を早くする」、一方で「ADHの活性を低下させることでエタノールからアセトアルデヒドの生成を抑制する」という2つの代謝酵素への作用によることを明らかにしました。また、試験管の実験では、電解水素水がエタノールとアセトアルデヒドの濃度に直接的には影響を与えないことも明らかにしました。これらの結果は、電解水素水が代謝酵素という細胞内の調節機能に作用していることを示すものです。さらに、電解水素水中に溶存している水素が、本成果であるエタノール毒性への肝細胞の保護効果に主要な役割を担っていることを報告しています。

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■研究方法
本研究では、ヒト肝臓細胞株HepG2を、浄水または電解水素水で希釈調製した細胞培養用培地を用い培養し、エタノール添加等による細胞毒性、細胞内のアセトアルデヒド濃度の測定に加え、細胞内のADHとALDHの活性を測定しました。

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■今後の期待
アルコールによる健康障害は大きな社会問題の一つであり、電解水素水がそれらの問題の改善に貢献できる可能性が示されたと思います。特に、本研究で見出されたアルデヒドの分解酵素(ALDH)の活性を電解水素水が高める点に注目しています。肝臓でエタノールを分解したときに生じるアセトアルデヒドは、飲み過ぎ時に起きる頭痛や吐き気、二日酔いの原因物質でもあります。このアセトアルデヒドは反応性が高いため、細胞内成分の傷害や活性酸素種の産生を介して肝細胞を傷つけ、アルコール性肝傷害の原因となることも分かっています。電解水素水は、アルコールによる肝臓へのダメージを予防する効果が期待できます。さらに、ALDHはアルデヒドだけでなく、環境中の有害物質や酸化ストレスによる過酸化脂質の分解にも関わっています。電解水素水の飲用が様々な解毒作用やストレスの軽減にも寄与する可能性が考えられ、今後、細胞試験や飲用試験により明らかにしていきたいと考えています。

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■研究支援
本研究は、株式会社日本トリムによる共同研究費、およびWaseda University Grant for Special Research Projects 2020C-375、Waseda university Advanced Research Center for human Science, MEXT JSPS KAKENHI [grant numbers: 17K08621, 20H03408]、Takeda Science Foundation、JSBBA(Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry) の支援により行われました。
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■論文概要
タイトル
「Electrolyzed Hydrogen Water Protects against Ethanol-Induced Cytotoxicity by Regulating Aldehyde Metabolism-Associated Enzymes in the Hepatic Cell Line HepG2」 
(和訳:電解水素水は肝細胞株HepG2中のアルデヒド代謝関連酵素を制御することによってエタノールによる細胞毒性を防ぐ。)

主な共同研究関係者
研究代表者:

早稲田大学 人間科学学術院 教授 原 太一 博士(医学) 
共同研究者:
早稲田大学 人間科学学術院 矢野 敏史 博士(農学)
共同研究者:
早稲田大学 人間科学学術院 王 縉雲               
共同研究者:
株式会社日本トリム MD室  室長  樺山 繁 博士(農学)

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掲載先
Antioxidants誌: Antioxidants 2021, 10(5), 801;
https://doi.org/10.3390/antiox10050801
▼オープンアクセス論文のため下記よりご覧いただけます(英語サイト)
https://www.mdpi.com/2076-3921/10/5/801

Antioxidants誌は、MDPI社によって刊行されている査読付き学術雑誌。活性成分、生物学的関連性のプロセス、天然物、作用機序、応用、利用法に関する新しい知見やアイデアに焦点を当てた抗酸化物質の科学技術に関する先進的学術誌。

(参考論文)
1:PLoS ONE (2017) 12 2  e0171192(九州大学-東京大学-日本トリム共同論文)
和訳タイトル「電解水素水は同水素濃度の水素水に比べ HT1080 細胞の細胞内活性酸素消去能力が強い」
電解水素水の抗酸化効果は、水素分子だけでなく他の活性成分があることが示唆されている。その候補としては、電解強度に依存して増える白金である。
▼詳しくはこちら
https://www.nihon-trim.co.jp/research/971/

2:Scientific Reports (2020) 10:10126 (東京大学―日本トリム共同論文)
和訳タイトル「電解水素水大量生成のための効率的電解触媒としての単層化白金ナノ粒子」
電解水素水の生体に対する様々な潜在的効果の根源は特徴的な白金コート電極にある。
▼詳しくはこちら
https://www.nihon-trim.co.jp/research/585/

3:Biochemical and Biophysical Research Communications (理化学研究所―日本トリム共同論文)
和訳タイトル「電解水素水の抗酸化および抗炎症効果による慢性ストレス応答の緩和」
電解水素水の飲用はストレス耐性を強くする。
▼詳しくはこちら
https://www.nihon-trim.co.jp/research/1067/

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