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血糖値を下げるには?効果的な食事や運動について

糖質の摂り過ぎは「高血糖」を招き、さらには動脈硬化や糖尿病などの大きなリスク要因となります。動脈硬化や糖尿病は40歳以降の中年層や高年層に多く見られますが、その危険因子は若年層から進行していることもあるため、糖質や血糖値に関する知識の習得は予防の観点で全世代の必須課題と言えるでしょう。

今回は、血糖値を下げる食事方法や食べ物、運動方法について解説をします。

血糖値とは何か

血糖値とは、血液中に溶け込んでいるブドウ糖の濃度のことで、mg/dLの単位で表されます。つまり、1dLの血液の中に何mgのブドウ糖が含まれているかを示すのが血糖値というわけです。健康な人の血糖値は、およそ「70~130mg/dL」の間を推移するのが標準です。

1日のうち、もっとも血糖値が高くなるタイミングは食後で、その時の血糖値を「食後血糖値」と言います。食後血糖値は食後2時間以内にピークを迎え、「140mg/dL未満」に収まるのが標準です。しかし、血糖値がなかなか下がらず、食後2時間後に計測した血糖値が「140mg/dL以上」ある場合は「食後高血糖」と診断されます。

また、血糖値は糖尿病にかかっているかどうかを判断する際の有力な指標にもなります。空腹時血糖値が「126mg/dL以上」の場合や、75g経口糖負荷試験[※]の食後2時間値が「200mg/dL以上」の場合には糖尿病と診断されます。しかし、一般的な血糖値検査では空腹時血糖値だけを測るため、食後に血糖値が急激な上昇をしているかどうかまでは分かりません。実際、空腹時血糖値は標準的であっても、食後血糖値は異常な上昇を見せる場合があります。そのような状態は、正常型と糖尿型の境界線上(グレーゾーン)にあるということから「境界型」と呼ばれたり、その発見のしにくさから「隠れ糖尿病」と呼ばれたりもします。

※. 75gのブドウ糖を飲んで、血糖値と血中インスリンの推移をみる検査です。「75gOGTT」とも言います。

血糖値が上昇する仕組み

私たちが食事からとった食べ物や飲み物は、胃や腸で消化されて栄養素が吸収されます。

栄養素の中でも炭水化物は、ブドウ糖(単糖)にまで分解されてから吸収され、肝臓を通って血中に送り込まれます。血中のブドウ糖は全身の臓器や器官に供給され、最終的には、さまざまな機能を働かせるためのエネルギー源として使用されるのです。

食べ物などから摂取した炭水化物がブドウ糖として吸収され、血中に送り込まれるため、誰であっても一時的には血糖値は上昇します。しかし、健康な人であれば、食後血糖値は急激に大きな上昇は見せず、ある程度まで上昇すると、それ以上は上がることはありません。これは、膵臓のランゲルハンス島と呼ばれる細胞群から分泌される「インスリン」というホルモンの働きによるものです。インスリンが血中のブドウ糖を肝臓や筋肉などの細胞の中に取り込ませ、血糖値を高くなり過ぎないようにコントロールしているのです。

しかし、このインスリンの量が不足したり、働きが悪くなってしまうと、血中に糖分が残ることになります[※]。その結果、血中にブドウ糖がだぶつき、血糖値が下がらない状態、つまり「高血糖状態」になるわけです。

※. 膵臓が十分なインスリンを作れなくなることを「インスリン分泌低下」、インスリンの効きが悪くなることを「インスリン抵抗性」といいます。

血糖値が上がりにくい効果的な食事

血糖値を上げるものは糖質だけですので、極端な話をすると糖質をまったく摂らなければ基本的に血糖値は上がりません。しかし、糖質は多くの食品や飲み物、そして調味料などに含まれており、完全に断つことはとても難しいです。糖質量が少ない食事メニューに変更するなど、比較的取り組みやすい方法で血糖値の上昇を緩やかにしましょう。

以下では、血糖値の急上昇を防ぐための方法や、糖質量が少ない食材などを紹介します。

食前の入浴

食前に入浴をすると血糖値の急上昇を抑えることができます。入浴をして体が温められると、リラックス状態になって内臓が活発に働きだします。もちろん膵臓も活発に働きだしますのでインスリンの分泌量がアップします。この状態で食事をすると、糖質がスピーディーに処理されて、食後血糖値の急上昇が抑えられるというわけです。湯船にまで浸かることがオススメですが、どうしても入れない場合には、温かいシャワーを浴びるだけでも構いません。

よく噛んで食べる

数回噛んですぐに飲み込むような早食いをしていると、脳が満腹感を感じる前に次から次へと食べ物がお腹に送り込まれるため、食べ過ぎてしまいがちです。仮に一つ一つの食べ物に含まれている糖質量が少なくても、食べ過ぎてしまうと糖質の摂取総量は多くなり、血糖値を急上昇させてしまう原因になります。

「ひとくち30回」を目安にして、よく噛んで食べると、比較的少ない量でも満腹感を感じることができます。また、噛む回数が増えると同時に食事のスピードもゆっくりになりますので、それも血糖値の急上昇を抑えることにつながります。食べ物を口に入れた後は、いったん箸を置いてみて下さい。噛むことに意識が向き、自然と咀嚼回数も増えるはずです。

食べる順番を考える

最初に食べる物を野菜にする、いわゆる「野菜ファースト」という食べ方で糖質の吸収を抑えましょう。先に食物繊維を摂ることで糖質の吸収を緩やかにする働きが得られます。実際には、野菜だけではなくキノコや海藻など、とにかく糖質が少なく、食物繊維の多い物から食べましょう。

また最近では、糖質をほとんど含んでいなければ、何から食べても構わないとする食べ方もあります。炭水化物(糖質)を摂るのは最後ということだけ守れば、最初に食べるものは肉や魚などでも構わない「カーボラスト」と呼ばれる食べ方です[※]。

※. 炭水化物を最後に食べることで、食後高血糖を15~20%抑えられると言われています。

おすすめの食材【オリーブオイル】

オリーブオイルは糖質の吸収を抑え、危険な血糖値スパイク(血糖値の乱高下)を防いでくれます。また、オリーブオイルに豊富に含まれているオレイン酸は、LDL(悪玉)コレステロールを下げて血液をサラサラにする働きもあるため、動脈硬化の予防にも繋がります。

ただ、オリーブオイルにもグレードがあり、品質の低いものではその効果は十分に得られないと言われています。購入する際は、製造日からあまり日数が経っていない新鮮な「エキストラバージンオリーブオイル」を選び、毎日大さじ1~2杯(15~30ミリ)ぐらいを目安に摂取するのが良いでしょう。

おすすめの食材【トマト】

トマトにはさまざまな栄養素が含まれていますが、代表的な栄養素といえば、なんといっても「リコピン」でしょう。リコピンはファイトケミカルの一種で、血糖値を下げる作用があることに加え、ビタミンEの100倍以上ともいわれる抗酸化作用があります。リコピンをしっかりと吸収するためには、トマトをペースト状にまですり潰したり、加熱したりすることがポイントです。

また、トマトには糖質の代謝を促して血糖値を安定させる「α-リポ酸」や、インスリンの効きをよくする「オスモチン(皮に多く含まれる)」が含まれていますのでオススメです。ただし、品種改良によって作られた、いわゆる「フルーツトマト」と呼ばれるものは、そのトマト自体に多くの糖質が含まれていますので、たくさん食べることは避けた方が良いでしょう。

おすすめの食材【その他】

上記の他にも、血糖値に良い影響を与える食材はたくさんあります。料理のバリエーションを考える際には、ぜひ下記の食材(栄養素)も参考にしてみて下さい。

・オクラ(ペクチン)── 水溶性食物繊維であるペクチンは血糖値を下げる効果があります。
・ゴボウ(イヌリン)── 水溶性食物繊維であるイヌリンは糖質の吸収を抑制し血糖値の上昇を抑えます。
・海藻類(フコイダン)── ヌルヌルの水溶性食物繊維フコイダンが、糖質の吸収を遅らせます。
・お酢(酢酸)── 食べたものを胃に留め、腸での糖質の吸収を緩やかにします。
・梅干し(クエン酸)── 糖質の代謝を高める作用があり、インスリンの働きも良くなります。
・緑茶(カテキン)── お茶の渋み成分カテキンは、腸での糖質の吸収を遅らせてくれます。
・ブロッコリー(スルフォラファン)── スルフォラファンはインスリン抵抗性の改善効果が期待できます。
・玉ねぎ(ケルセチン)── インスリンの感受性を高め、血糖値を安定させる効果があります。
・ニガウリ(コロソリン酸)── 種やワタ部分には、糖分解促進成分コロソリン酸が含まれています。
・舞茸(βグルカン)── βグルカンの分子が糖質を絡めとり、糖質の吸収を減少させます。
・タコ(タウリン)── 肝臓の働きを助けるとともに、高血糖時のインスリン分泌を促します。
・鮭(アスタキサンチン)── 酸化を防ぐとともに、糖代謝を改善し、インスリンの作用も高めます。

血糖値を下げるには運動も大切

筋肉細胞と脂肪細胞の中にはGLUT4と呼ばれるたんぱく質が潜んでおり、血中にインスリンが増えてくるとGLUT4が細胞の表面に出てきます。細胞の表面に出てきたGLUT4はブドウ糖(糖質)の取り込み口となり、ブドウ糖を細胞の中へ招き入れます。つまり、GLUT4を細胞の表面に出現させれば、ブドウ糖はスムーズに細胞に取り込まれ、その結果、血糖値が下がるというわけです。

いまの話では、インスリンがGLUT4出現のカギになっていましたが、実は運動もGLUT4を細胞の表面に出現させることができ、インスリンと同様の働きをすることから「運動のインスリン様作用」と呼ばれています(運動をするとGLUT4の数を増やすこともできます)[※]。

一般的に食後の運動は有酸素運動をする方が多いかもしれませんが、ある実験によると、有酸素運動を連日行うと6ヶ月目くらいから血糖値を下げる効果が鈍化するが、筋トレは6ヶ月目くらいから徐々に効果が表れ始めると報告されています。また、その実験では、どちらか一方の運動を継続的に行うのではなく、「有酸素運動+筋トレ」の組み合わせ運動の継続こそが、もっとも効果的に血糖値を下げるとも報告されています。

筋肉はブドウ糖の受け皿や貯蔵庫としての役割を担っていますので、筋トレも行い、筋肉量を減少させないようにしなければいけません。少しの筋トレで最大の筋肉増量効果を狙う場合には、太ももやお尻、胸などの大きな筋肉を重点的に鍛えることが大切です(スクワット、ヒップエクステンション、腕立て伏せなど)。

なお、運動を行うタイミングについては、例えば朝食後や夕食後にまとめて一回45分の運動を行うよりは、毎食後に15分ずつ分散して行う方が効果的だと言われています(それぞれ食後30分以内に行うと良いでしょう)。

※. 糖尿病による合併症が進行している場合、その病気によっては運動が逆効果になることもありますので、必ず担当医に事前確認をして下さい。

東北大学による研究

現在、糖尿病患者に見られるインスリン抵抗性は「食事療法、運動療法、投薬治療」によって改善が図られています。しかし、それらの改善方法は、緻密な糖質計算や不断の運動、薬の副作用などを考えると、どれも続けるにあたって大変困難な方法と言えます。

近年、それらの改善方法に加えて、より簡単な改善方法が東北大学と日本トリムの共同研究によって報告されています。そこでは、インスリン抵抗性の改善にあたっては電解水素水の日常的な飲用も有効であると述べられています。この研究内容に関しては以下のサイトで詳しく解説されていますので、ぜひアクセスしてみて下さい。

東北大学「電解水素水飲用でインスリン抵抗性高値を改善 2型糖尿病患者の病態改善に期待」
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2021/08/press20210802-01-water.html

さいごに

糖尿病に悩まされている人の数は5億3700万人に達し、いまや全世界の成人10人に1人が糖尿病になっていると言われています。また、この糖尿病患者数は増加傾向にあり、2045年までには7億8300万人に達すると予測されています。

糖尿病は、日本においても多くの人が罹患していて、誰でも一度は聞いたことのある悪名高い病気です。しかし、そのような状況にあっても、未発症者においては糖尿病や高血糖に対する知識が乏しく、乱れた食生活を送る人がたくさんいます。「糖尿病や動脈硬化は誰もが必ずかかるもの」、それぐらいの認識をもって、若いうちからそれらの病気に対する知識を深めておくことが賢明と言えるでしょう。


参考文献

糖尿病情報センター「糖尿病とは」

https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/010/010/01.html#01

ダイヤモンド・オンライン「結局、オリーブオイルが最強の油である理由」

https://diamond.jp/articles/-/145391?page=2

わかさ生活「わかさの秘密|イヌリン-成分情報」

https://himitsu.wakasa.jp/contents/inulin/

糖尿病ネットワーク「【世界糖尿病デー】糖尿病とともに生きる人は世界に5.4億人 「明日を守るための糖尿病教育」がテーマ」

https://dm-net.co.jp/calendar/2022/037075.php

書籍「糖質と血糖値の教科書」麻生れいみ 著

書籍「炭水化物の摂り方・選び方パーフェクト事典」竹並恵里 著

書籍「最新版 よくわかる血糖値を下げる基本の食事」松葉育郎 著

書籍「決定版 糖質オフの教科書」牧田善二 著

書籍「糖質制限完全マニュアル 血糖値が安定すればやせられる」山田悟 著

書籍「面白いほどわかる 糖質の新常識」前川智 著

書籍「最新版 よくわかる血糖値を下げる基本の食事」松葉育郎 著

雑誌「一個人(2018年12月号 NO.219)」ベストセラーズ 出版