起床時に口の中がネバつくのはなぜ?原因と対策について解説 | 水と健康の情報メディア|トリム・ミズラボ - 日本トリム

起床時に口の中がネバつくのはなぜ?原因と対策について解説

「朝起きると、口の中がネバネバして気持ち悪い・・・」
そんな不快な状態に悩まされていませんか?
このような状態が毎朝続くと、たとえ十分な睡眠をとっていても気分は晴れません。

口の中がネバつく原因として、まず思い浮かぶのは「口の中の不衛生」だと思いますが、実はそれだけではありません。唾液の分泌量の減少や生活習慣の乱れなど、いくつかの要因が関係している可能性があります。原因と対策をしっかり理解することで、すがすがしい朝を迎えることができます。

今回は、起床時の口のネバつきの原因とその対策について、わかりやすく解説します。

起床時の口のネバつき、主な原因とは?

口の中のネバつきの原因は、いくつか考えられます。
主な原因について、それぞれ見ていきましょう。

就寝前の口腔ケア不足

自分ではしっかり歯磨きしたつもりでも、実際には食べカスやプラークが歯のすき間に残っていることがあります。   

プラークとは、細菌(ミュータンス菌など)や、その代謝物(不溶性グルカンなど)、唾液の成分などが混ざりあってできるバイオフィルムの一種です。このプラークには粘着性があり、雑なブラッシングや、軽く口をゆすぐだけではなかなか取り除けません。取りきれずに残ったプラークは、睡眠中に増殖し、起床時の口のネバつきの原因になります。

また、口腔ケアでおろそかにされがちなのが、舌苔(ぜったい)の除去です。舌苔とは、舌の表面にコケのように広がる黄白色の付着物で、細菌やその代謝物、剥がれた口腔粘膜の細胞、食べカス、唾液の成分などが混ざり合ってできています。少量であればそれほど問題はありませんが、ベッタリとすくえるほどに付着している場合は、就寝前にきちんと除去しないと、翌朝のネバつきの原因となることがあります。

さらに見落としがちなのが、歯ブラシやうがい用コップなどの衛生状態です。特にコップは、うがいのたびに唾液が付着するにもかかわらず、十分に洗わず使い続けている人も少なくありません。こうした不衛生な状態では、底にカビが生えることもあり、そのようなコップでうがいをすると、ネバつきの原因になることがあります。

唾液分泌量の減少

 唾液は口の中の浄化(自浄作用)に大きく関わっています。たとえば、食べかすや細菌、老廃物などを物理的に洗い流したり、リゾチームやラクトフェリン、IgA(免疫グロブリンA)といった唾液中の抗菌成分や免疫物質によって、細菌の増殖を抑制したりします[※]。

そのため唾液の分泌量が減少すると、これらの自浄作用が低下して、口の中の細菌が増殖しやすくなります。その結果、口の中でネバつきを感じやすくなるのです。

唾液の減少は、後述の「水分摂取量の不足(脱水)」によっても起きますが、加齢・ストレス・糖尿病・薬の副作用などが原因の、いわゆる「口腔乾燥症(ドライマウス症候群)」によっても起きることがあります。

※. このほか、口の中が酸性に傾いたときに中和して(pHを調整して)、虫歯を予防する作用(緩衝作用)などもあります。

口呼吸の習慣

睡眠中に口呼吸をしていると、起床時に口の中がネバつきやすくなります。その理由は、口の中が乾燥し、唾液が減少するためです。

唾液は、口の中で細菌や食べカスを洗い流し(自浄作用)、粘膜を保護してくれています(保湿作用)。しかし、口呼吸によって外気が口の中に入り続けると、唾液の蒸発が進み、こうした作用が低下します。

また、唾液中の水分が失われると、「ムチン[※]」などの成分が濃縮され、それによって唾液の粘性が高まり、ネバつきを感じやすくなります。さらに、唾液が減ることで抗菌成分も減少し、細菌がつくり出すネバネバした代謝物が蓄積しやすくなることも、ネバつきの一因です。

口呼吸は、日中にも口内乾燥の原因となりますが、睡眠中はそもそも唾液の分泌が少なくなるため、口呼吸による乾燥の影響は、より顕著になります。

※. 粘性をもたらす糖タンパク  

ストレス

唾液には、「漿液性(しょうえきせい)唾液」と「粘液性唾液」の二種類があります。

漿液性唾液は、副交感神経が優位なときに分泌されるサラサラした唾液で、リラックス時に多く見られます。
一方、交感神経が優位になると、ネバつきのある粘液性唾液が分泌されやすくなります。

たとえば、寝る前にイライラしたり、不安で眠れなかったりすると、自律神経のバランスが崩れ、口の中がネバつく原因になることがあります。また、暑さや寒さ、湿度などの「環境要因」によって寝つけない夜が続くことも、交感神経を優位にさせるため、口の中がネバつく原因になることがあります。

水分摂取量の不足

上記でもふれましたが、水分の摂取量が不足すると唾液の「量」だけではなく、「質(粘性)」にも影響を及ぼします。

唾液には、ムチンや抗菌成分、酵素などの成分が含まれています[※]。通常はこれらが十分な水分によって薄められ、サラサラした状態に保たれていますが、水分が不足すると、成分が濃縮され、水分による希釈効果が弱まります。その結果、唾液の粘性が増し、口の中でネバつきを感じやすくなるのです。炎天下でマラソンをしていると口の中がネバつくのは、こうした唾液の変化も関係しているようです。

睡眠中も程度の差はありますが、熱帯夜などに軽度の脱水に陥りやすく、起床時にネバつきを感じることがあります。

※. 唾液の約99.5%は水分でできており、残りの約0.5%にこれらの成分が含まれています。

胃酸の逆流

胃酸の逆流が、口の中のネバつきの原因になることもあります。

通常、胃酸の逆流の到達範囲は食道までであることが多く、これは「逆流性食道炎(GERD)」として、よく知られています。

しかし、「咽喉頭逆流症(LPRD)」においては、胃酸の逆流は口の中(口腔内)にまでおよび、それがネバつきの原因になることがあるのです。咽喉頭逆流症がどのようにしてネバつきを招くのか、そのメカニズムは2つあります。

まず、胃酸の逆流が口の中におよぶと、口の中のpHバランスが酸性に傾きます。すると、酸性環境を好む細菌が増殖しやすくなり、それらが作り出す物質によって、口の中がネバつきやすくなるのです。

次に、胃酸は強い酸性のため、口の中の粘膜を刺激して、炎症を起こすことがあります。炎症が起きると、粘膜の保護を目的として、ムチンを含む粘液の分泌が促進され(粘液過多になり)、それがネバつきの原因になることもあります。   

胃酸の逆流は、夜間の就寝中に特に起こりやすく、それが朝の不快症状として自覚されるケースも多いようです。  

ネバつきを防ぐために今日からできること

ネバつきを防いで、スッキリとした朝を迎えるには、生活習慣の見直しが必要かもしれません。

以下の生活習慣を取り入れることで、軽度のネバつきは改善される可能性があります。ただし、口の中のネバつきが強く、長期にわたって見られる場合には、医療機関への受診をおすすめします。

寝る前の口腔ケアを徹底する

就寝中には唾液の分泌が減少することもあり、就寝前の口腔ケアは日中以上に重要です。 徹底した口腔ケアを行う場合、歯ブラシ・舌ブラシ・フロス・マウスウォッシュの4つのツールの使用は欠かせません。特に歯ブラシは、高性能な電動歯ブラシにかえることで、時短が見込めるだけでなく、より丁寧な口腔ケアができるためおすすめです。

ちなみに、マウスウォッシュについては、アルコール系と非アルコール系とがあり、前者は「アルコールの揮発性の高さによってドライマウス(口腔乾燥症)が進行するのでは?」という心配の声がよくきかれます。しかし、「リステリン®」のメーカーであるKenvueでは、少なくとも「リステリン®」においては、アルコール系・非アルコール系、いずれの使用もドライマウスとは関係がないと考えているそうです[※]。ただし人によっては、アルコール系の強い刺激を痛く感じ、口の中でのゆすぎ時間が短くなってしまう(十分にゆすげない)可能性はあるかもしれません。

※. Kenvueでは「ドライマウスと関係はない」とする一方で、すでにドライマウスと診断されている方には、製品使用前に医師への相談を推奨しています。   

よく噛む習慣で唾液を促す

よく噛む習慣で唾液の分泌を促すことも、ネバつき予防に貢献します。

主な理由は、以下の3つです。

唾液腺の機能維持・強化につながる
・日中に咀嚼や発声、ガムなどで唾液腺をよく使うことで、唾液腺の機能低下(萎縮)を防ぐことができる
・その結果、唾液分泌の「反応性」が高まり、夜間でも必要なタイミングで多少は出やすくなる可能性がある

口腔内環境が整う
・唾液には抗菌・洗浄・緩衝作用があるため、日中によく出すことで舌苔や細菌の蓄積を減らすことができる
・その結果、睡眠中のネバつきの元になる「菌のベース量」を減らせる効果がある

口呼吸やドライマウスの予防につながる
・よく噛む習慣は、顔面や舌の筋力維持、口唇閉鎖力にも関わり、口呼吸の予防にも貢献する

しかし、日中の覚醒時にいくら唾液を多く出せるようになっても、睡眠中は副交感神経が優位になり、唾液腺の活動は自然と低下します。そのため、日中の分泌量が、そのまま睡眠中の分泌量に反映されるわけではありませんので、その点は覚えておきましょう。

鼻呼吸の習慣化

日中の活動時から鼻呼吸を意識しましょう。

横たわれる場所がある際は、ときどき疑似的な睡眠形態(横たわって目を閉じる状態)をとり、鼻呼吸を練習するのもよいでしょう。

また、鼻呼吸の習慣化を他の健康習慣と結びつけて修得したい場合には、瞑想(メディテーション)が有効です。座禅もしくは楽な姿勢で座り、目を半開きにして、ゆっくりと鼻から息を吸い、ゆっくりと鼻から息を吐くことで、リラックス効果を得つつ、鼻呼吸の練習にもなります。

それでもなお、口呼吸が治らず、何らかのアイテムを使って矯正したいということであれば、「マウステープ」を使用して、口呼吸を物理的に防止する方法もあります。

就寝前にストレスを溜めない

就寝前にストレスを高める原因は多くありますが、代表的な原因(元凶)は、スマホやPCの使用です。これらの使用は、ディスプレイを長時間凝視し続けることで、目からブルーライトの刺激を多く受け、眼精疲労や脳疲労といった身体的なストレスを招きます。特に、脳へのストレスは、判断力を鈍らせ、精神的なストレスを助長します。  

たとえば就寝前に、感情が不安定になるようなメールを読んだり、腹の立つようなSNSコメントを読んだりすると、通常であれば難なくスルーできていたものでも、脳疲労(前頭葉の疲労)によって、過剰に反応し、過激な返信をしてしまいがちです。これが、言葉の応酬や、水掛け論に発展することもあり、就寝前の精神状態を大きく乱します。特に、ビジネスパーソンは仕事での脳疲労もあり、就寝前のデジタルデバイスの使用は、ストレスをより顕著なものにする可能性があります。

以下の記事では、スマホやSNSなどから一定期間距離を置き、心身のバランスを整える「デジタルデトックス」について詳しく解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。
【「デジタルデトックス」とは?デジタルツールの過剰使用による弊害】
https://www.nihon-trim.co.jp/media/33077/

水分補給の習慣

唾液の約99.5%は、水分でできています。そのため、水分補給が十分に行われないと脱水によって唾液の分泌が抑制され、「口腔乾燥症(ドライマウス症候群)」を招きやすくなります。就寝前にはコップ一杯の常温水を飲んで、睡眠中の脱水を防ぎましょう。特に、冷暖房をつけたまま寝る場合は、不感蒸泄(気づかないうちの水分喪失)が進みやすいため、枕元にコップ一杯の水を用意しておくとよいでしょう。

また前述のとおり、口の中のネバつきの原因には、胃酸の逆流(咽喉頭逆流症など)も挙げられます。この場合は、適切な治療に加え、日常的な「胃へのケア」も大切です。たとえば、胃に刺激を与えるような飲食物(極端に熱い・冷たい・辛い)を控えることも、その一つでしょう。

さらに積極的な胃のケアを行うのであれば、「電解水素水」を日常的に飲むこともおすすめです。電解水素水は、医療機器として認可された整水器によって生成される、水素を含むアルカリ性のお水で、胃腸症状の改善効果が認められています。日々の水分補給をしながら、胃腸のケアもできるため、まさに一石二鳥の飲み方といえるでしょう。

さいごに

朝起きて口の中のネバつきに気づいたとき、最初におとずれるのが不快な気分です。次に、「なんでこんなにネバネバしているのだろう?」という疑問や不安を抱きます。朝一番の気分や思考がネガティブだと、一日のスタートは最悪です。

一方、口の中がスッキリしていれば、身支度や朝食もスムーズに進み、気持ちよく一日を始められます。日々を前向きに過ごすためには、朝のコンディションを整えることが大切です。

まずは、今回ご紹介した対策を参考に、生活習慣を見直すところから始めてみてはいかがでしょうか?


- 監修者のご紹介 -

参考文献

西宮クローバー歯科「口がネバネバするのはどうして?」

https://www.nishinomiya-clover.com/faq/1461.html

ティーアンドケー株式会社「唾液のチカラとは?」

https://www.comfort-tk.co.jp/drymouth/

日本口腔外科学会「口腔外科相談室|口の中が乾燥する」

https://www.jsoms.or.jp/public/soudan/kouku/kanso/

日本訪問歯科協会「サラサラ唾液とネバネバ唾液」

https://www.houmonshika.org/oralcare/c142/

PMC「Antoon J M Ligtenberg et al.|The Effect of Exercise on Salivary Viscosity」

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5192515/

同友会グループ「第20回 『気にしていますか? 夜間熱中症』」

https://www.do-yukai.com/walk/020.html

キッセイ薬品工業株式会社「唾液のチカラ - 近ごろ「かわき」が気になる方へ」

https://www.kissei.co.jp/patient/dry/saliva/

PMC「Na Cui et al.|Laryngopharyngeal reflux disease: Updated examination of mechanisms, pathophysiology, treatment, and association with gastroesophageal reflux disease」

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11056915/

エスクァイア「食後に咳込んでしまうのはなぜか? その7つの理由を医師が解説」

https://www.esquire.com/jp/menshealth/wellness/g62251254/why-do-i-cough-after-eating/

栗林歯科医院(東京・丸の内)「Q. マウスウォッシュはアルコールありとノンアルコールで効果に差があるのか?」

https://www.kuribayashi-dc-tokyo.com/2024/06/21/blog-12/

篠原先生の部屋「ドライマウスの原因」

http://www.drymouth-info.net/doctor/shinohara/07.html