浄水器の取り付けは自分でできる?依頼時の費用は?

浄水器を購入するにあたり、気になるのは価格と品質。しかし、実際に購入するにあたっては、それらに加え「取り付けの難しさ」や「取り付けの費用」が気になっている人も多いようです。
「高性能な浄水器は、取り付けが難しそう」
「浄水器の取り付けは、自分でやらないといけないのかな?」
「業者に取り付けてもらう場合、どれくらいの費用が必要なのかな?」
これらの疑問に対するアンサーは、その製品の販売会社に聞かないと正確には分かりません。しかし、一般的な傾向や費用相場を知っておけば、大まかな判断基準ができ、製品選びの助けになるでしょう。
今回は、浄水器の取り付けの難易度や、業者に依頼した時の費用相場などについて解説します。
目次
浄水器の種類を知る
浄水器を購入する前に、まずは浄水器の種類について、大まかに知っておくとよいでしょう。
浄水器の種類を知ることで、生活スタイルや目的に合わせた浄水器選びができますし、欲しい浄水器が何らかの理由で取り付けできない場合でも、代替候補を簡単に見つけられるようになります。
「水道に取り付ける浄水器」の代表的なタイプは、以下のものが挙げられます。
【蛇口直結型】
蛇口の先端に直接取り付けるタイプの浄水器です。必要に応じて浄水と原水(そのままの水道水)を切り替えて使用できます。価格は比較的安価で、自分で取り付けやすいのが特徴でしょう。ほとんどの場合、工具不要で取り付けられるものが多いです。
【蛇口一体型】
水栓のスパウト(パイプ)部分に浄水機能が内蔵されてあるタイプの浄水器です。見た目がスマートで、キッチンのデザイン性を高めることができます。しかし、蛇口の交換が必要なため、一般的には専門知識や工具が必要となるでしょう。
【据え置き型】
浄水器本体をキッチンカウンターなどに置き、ホースを通じて蛇口と接続するタイプです。ろ過性能の高いしっかりとした浄水設備の割に取り付けは簡単で、賃貸住宅にお住まいの方にとっても、原状回復が容易な点が大きなメリットでしょう。また、引っ越しの際にも持ち運びが可能なため、長期的に使用できるのも魅力的です。ただし、本体を置くための場所を確保する必要があります。
【アンダーシンク型】
シンク下の収納スペースに浄水器本体を設置するタイプです。既存の水栓の横に浄水専用の水栓を別途取り付ける方式と、水道水と浄水を切り替えられる複合水栓に交換する方式があります。キッチンをすっきりと使えるのが最大のメリットでしょう。しかし、取り付けには給水管からの分岐工事を行わなければならないため、専門業者に依頼する必要があります。
【セントラル型】
家全体の水を浄水するために、給水管に直接取り付けるタイプです。家中のすべての蛇口から浄水が出るようになりますが、設置工事は大がかりになります。専門業者による工事が必要で、費用も比較的高額になることが多いでしょう。
※. 水道(給水装置)工事は、水道法に基づき、国家資格である給水装置工事主任技術者が施工または監督を行う必要があります。
自分で取り付けられるタイプ
浄水器の中には、自分で取り付けやすいタイプがあります。以下のタイプは、説明書通りに作業を行えば、DIYが苦手な方でも比較的簡単に取り付けることができます。
蛇口直結型
蛇口直結型は、最も取り付けやすい浄水器です。取り付け手順は非常にシンプルで、多くの場合以下のステップで完了します。
①蛇口先端に取り付けられている泡沫器(ほうまつき)を、回して取り外す
②浄水器に付属してある変換アダプターを選び、蛇口先端に取り付ける
③取り付けた変換アダプターの先端に、浄水器本体を取り付ける
ほとんどの場合、取り付け用の工具は必要なく、手で締めるだけで取り付けが完了するでしょう。蛇口の形状によっては専用のパーツが別途必要になる場合もありますが、多くの製品では様々な形状に対応できるよう複数の変換アダプターが浄水器に付属しています。取り付け時間は、5分程度です。
据え置き型
据え置き型も比較的簡単に設置できるタイプです。大まかな取り付け方法は、以下の通りです。
①蛇口先端に取り付けられている泡沫器(ほうまつき)を、回して取り外す
②浄水器に付属してある変換アダプターを選び、蛇口先端に取り付ける
③取り付けた変換アダプターの先端に、パーツ(分岐水栓・切替コック)を取り付ける
④浄水器本体を、キッチンのカウンターやワークトップ(作業スペース)に置く
⑤分岐水栓と浄水器本体を、専用ホースでつなぐ
据え置き型には、「1wayタイプ」と「2wayタイプ」があります。1wayタイプは、本体に吐水パイプがあるタイプで、作られた浄水は本体からパイプを通じて出てくる形になります。
2wayタイプは、本体で作られた浄水を、ホースを通じて蛇口先端に取り付けたパーツ(分岐水栓・切替コック)にまで戻し、そこから吐水することになるため、上記⑤のステップでは、「入水ホース」と「出水ホース」の2本の専用ホースでつなぐことになります。蛇口直結型と比べると少し工程が増えますが、説明書に沿って行えば、簡単に取り付けることができます。ほとんどの場合、取り付け用の工具は必要なく、10~15分程度で取り付けが完了します。
業者に取り付けてもらうタイプ
以下のタイプは、配管工事や電気工事などの専門技術が必要になることがあるため、通常は専門業者に取り付けてもらうことになります。素人が挑戦すると、水漏れが起きるリスクや、家屋を損傷させるリスク、そして、場合によってはケガをするリスクもあるため、やめておいた方がよいでしょう。
蛇口一体型
蛇口一体型の取り付けが難しい理由は、以下の通りです。
・既存の蛇口を取り外す作業が必要
・水道管との接続部分の処理が専門的
・シーリング材の適切な使用など、防水処理の知識が必要
・取り付け後の水圧調整が必要な場合がある
蛇口一体型は見た目がシンプルなため、簡単に取り付けられるように思われがちですが、取り付けの難易度は高めです。正しく取り付けないと水漏れの原因となり、キッチン周りに深刻な被害をもたらす可能性があります。
アンダーシンク型
アンダーシンク型の取り付けが難しい理由は、以下の通りです。
・カウンターやシンクに穴を開けなければならないことがある
・給水管への接続が必要で、配管工事の知識が要求される
・水漏れが起きると、収納内部や床下に被害が広がりやすい
・専用の工具が必要となることが多い
アンダーシンク型はシンクまわりの見た目がスッキリとしている反面、シンク下のスペースには浄水器本体や、給水管から分岐された管など、複雑な装置が設置されることになります。そのため、取り付けに要する時間は比較的長く、2時間程度かかるのが一般的です[※]。
また、アンダーシンク型を賃貸住宅に取り付ける場合は、大家さんや管理会社への許可が必要となり、通常は専門業者や指定業者への依頼が、許可条件に含まれることになります。
※. 浄水専用水栓をシンクに取り付けるための穴あけ工事や、シンク下のスペースの形状に合わせた特殊な施工が必要になる場合は、所要時間がさらに長くなることもあります。
セントラル型
セントラル型の取り付けが難しい理由は、以下の通りです。
・家の給水管本管への接続工事が必要
・配管の一時的な切断や接続変更など高度な技術が必要
・設置場所の確保や固定に関する構造的知識が必要
・電気配線が必要なタイプもある
・水圧や流量の計算、調整が必要
セントラル型の取り付けは、半日〜1日の作業となることが一般的で、場合によっては水道の一時的な停止が必要になります。マンションなどの集合住宅では、管理組合の承認が必要なケースもあるでしょう。
取り付けてもらう場合の費用
浄水器の基本取り付け費用は、大よそ以下のようになります。
蛇口直結型 | なし(基本的には自分で取り付ける) |
据え置き型 | 10,000~30,000円 + 出張費2,000~3,000円 |
蛇口一体型 | 10,000~30,000円 + 出張費2,000~3,000円 |
アンダーシンク型 | 10,000~30,000円 + 出張費2,000~3,000円 |
セントラル型 | 40,000~50,000円 + 出張費2,000~3,000円 |
ただし、上記の金額は、あくまでも「基本取り付け費用」です。以下のような条件によっては、専用の水栓やパーツ、追加工事などが必要になることもあり、総額がかなり大きくなることもあるでしょう。
・蛇口の形状が特殊な場合(シャワー機能付きの蛇口など)
・シンクやカウンターなどに、穴をあける工事が必要な場合
・給水管の形状や配置が特殊で、アクセスや工事がしにくい場合
・セントラル型の浄水器で、埋設工事が必要な場合
・コンクリートやタイルでできた地面に埋設工事をする場合 など
取り付け費用が無料のケース
家電量販店や浄水器メーカーによっては、取り付け費用が本体価格に含まれていたり、「設置無料キャンペーン」が実施されている場合もあります。購入前に「工事費込みかどうか」、「追加料金が発生する場合はあるか」などを確認しておきましょう。
さらに、自治体によっては、水道水の安心利用を促進する目的で、一部費用の補助を行っている場合もあります。特に、アンダーシンク型やセントラル型など、高額な浄水器の設置を検討している方は、こうした制度も活用できるか調べておくと良いでしょう(詳しくは、各自治体のWebページをご確認ください)。
事前に確認すべきこと
浄水器を購入する際、あるいは取り付け依頼を行う際には、事前に確認しておくべき大切なポイントがあります。後になって「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、しっかりと確認をしておきましょう。
事前に確認すべき項目は、以下のとおりです。
蛇口の形状とサイズ
・蛇口直結型や据え置き型の多くは、対応している蛇口の種類が限られている
・シャワー付きや、楕円形などの特殊な形状の蛇口になっていないかを確認する
・スマートフォンなどで蛇口を撮影し、それを業者に渡して判断してもらう方法もある
設置スペースの有無
・据え置き型やアンダーシンク型を使う場合、本体を置く場所があるかを調べておく
・据え置き型の場合、電源コードの配置もある程度イメージしておく
設置後のメンテナンス体制を確認する
・故障や水漏れなどのトラブルが起きた場合、どこに連絡すればよいのかを確認しておく
・アフターサービスがしっかりしているかどうか、口コミやレビューなども参考にする
フィルターの交換の費用
・交換は自分でできるのか、それとも業者にやってもらうのかを確認しておく
・フィルターの価格と業者にやってもらう場合の費用も、確認しておく
賃貸住宅に取り付けられるか
・配管工事や穴あけが必要なタイプは、管理会社や大家さんの承諾が必要
・無断で工事を進めると、高額な原状回復費用を請求される恐れがある
セントラル型の懸念点やメンテナンス方法
・給水管のおおもと部分に浄水器を取り付けるため、使用方法によっては、そこから枝分かれした管の中で細菌が繁殖するリスクがあるとも言われている
・一度細菌が繁殖すると、元に戻すのに多くの費用と時間が必要になるので、正しい使用方法や定期点検などについて、しっかりと確認しておく必要がある
・基本的に、ろ過フィルターに水を通すと水流は弱くなる。セントラル型では、トイレやシャワーなど、強い水流が求められる設備で支障が出ないよう、あえてろ過性能を落として水流の強さを保っていることがある。そのため、どの程度のろ過性能なのかを確認しておく。
さいごに
水道水をよりおいしく、より清浄にするために、浄水器の使用は有効な手段のひとつです。
ただ、近年では浄水機能に加えて、健康面へのアプローチも視野に入れた製品が登場しています。たとえば、水をろ過した上で、さらに電気分解を行うことで、胃腸の働きをサポートするような水を生成できる機器もあり、注目を集めています。水の選び方は、味や清浄さだけでなく、ライフスタイルや健康意識によっても変わってくるもの。浄水器の取り付けを検討されている方は、こうした選択肢にも目を向けてみると、新たな発見があるかもしれません。
- 監修者のご紹介 -
参考文献
「用途で分けた浄水器のタイプ」一般社団法人浄水器協会
http://www.jwpa.or.jp/jo_youto.htm
Impress Watch「シンク下で完結する浄水器、東レ「トレビーノ ブランチ」を付けてみた【いつモノコト】」
https://www.watch.impress.co.jp/docs/series/itsmo/1343061.html
株式会社ユーピー「Water Message|他店で買った浄水器や還元水生成器、取り付け致します!」
https://www.up-x.com/setting/
株式会社ジョインハウス「浄水器専門店|浄水器設置補助金制度導入地域について」
http://mizu.joinhouse.co.jp/hojyokin.php
厚生労働省健康局水道課「元付け型浄水器等の衛生管理の徹底について(平成14年(2002年)通達)」
https://www.kyuukou.or.jp/materials/file/file-h14.08.30.pdf
マルチピュアジャパン株式会社「マルチピュアBLOG|【注意点まとめ】セントラル浄水器/オール浄水器のデメリットって?」
https://blog.multipure.co.jp/central-water-purifier/
書籍「浄水器かしこい選び方・使い方」池裕次郎 著
