二日酔いの予防と解消 3つの基礎知識と、水分補給のススメ | 水と健康の情報メディア|トリム・ミズラボ - 日本トリム

二日酔いの予防と解消 3つの基礎知識と、水分補給のススメ

二日酔いを経験されたことがある方、多いのではないでしょうか。

吐き気、頭痛、だるさ、筋肉痛…楽しいお酒の思い出が台無しになるほどのつらーい症状に悩まされることも少なくありません。

では、そもそも二日酔いはどうして起こるのでしょうか?予防するためにはどうしたら良い?二日酔いになってしまったときの対処法は?水分補給の重要性とは?

お酒を楽しく飲むために知っておきたい二日酔いの知識をまとめました。

二日酔いとは


二日酔いとは、お酒を飲んだ翌日に頭痛や吐き気などの不快な症状が起こることを言います。(「宿酔(しゅくすい)」とも言います。)
二日酔いの症状には以下のようにさまざまなものがあります。

  1. 吐き気、嘔吐
  2. 頭痛
  3. 体のほてり
  4. だるさ
  5. 筋肉痛
  6. のどの渇き
  7. 下痢 など

これらの症状が単独で現れることもあれば、いくつもの不快症状が同時あるいは時間差で生じることもあります。また飲んだお酒の種類や量、またその人の体質によっても二日酔いの症状は異なるようです。

二日酔いの原因

二日酔いは、そのメカニズムがはっきりと解明されているわけではありません。一般的には、次のような原因があるのではないかと考えられています。

血中アセトアルデヒド値の上昇

従来、アルコールを分解する際に生じた有害物質「アセトアルデヒド」が二日酔いの主な原因であると考えられてきました。しかし実際には、二日酔いとアセトアルデヒドの関係を示すデータは少なく、むしろ二日酔い状態であっても血中のアセトアルデヒド値はそれほど高くないということがわかってきたのです。現在では、アセトアルデヒドが二日酔いの直接的な原因ではないと考えられるようになってきました。

ただしアセトアルデヒドの分解が遅い人は少量のお酒でも酔いやすく、また二日酔いが起こりやすいとも言われています。また、アセトアルデヒドそのものではなく、その後遺症によって二日酔いが生じている可能性はあります。

脱水症状

飲酒中は、アルコールによって尿量を調整する抗利尿ホルモンの分泌が抑制されることにより、尿量が増加します。
お酒として水分を多く摂っているようでも、実は飲んだ以上の水分を排出してしまっていることも多いのです。このようにして体が脱水状態に陥ることにより、頭痛やのどの渇き、めまいなどの様々な二日酔いの症状が現れるとも言われています。

抗利尿ホルモンは、二日酔いの状態では分泌が増加し、尿量を減少させます。抗利尿ホルモンの分泌量がどのくらい変化したかということが、二日酔いの重症度に関係するとも言われています。

低血糖症

アルコールを摂取すると、肝臓は優先的にアルコールを分解しようとすることにより、その他の働きが抑制されます。特に、糖を合成し、貯蔵したり、必要に応じて供給したりといった働きがストップしてしまいます。そのため体が低血糖に陥りやすく、だるさや筋肉痛などが起こりやすくなると言われています。

炎症反応の亢進

二日酔いで頭がズキズキ痛むという人も多いように、アルコールには炎症を亢進する作用があると言われています。
アルコール自体が炎症を起こすというよりも、アルコールが炎症反応に関わっている物質を血管周辺に増加させることにより炎症が進むと考えられます。

胃腸障害

アルコールは胃粘膜に直接刺激を与えると同時に、胃酸の分泌を促して胃酸過多による胃炎を起こしやすくします。
そのため、吐き気や下痢、食欲不振などといった胃腸の症状が起こりやすくなると言われています。

離脱障害

二日酔いは、一種の離脱症状だと考える人もいます。薬物と比べれば低いものの、アルコールにも依存性があり、それが体から抜けていく際に吐き気や震え、発汗などといった自律神経症状が現れるということです。

このほか、アルコールに含まれる不純物なども二日酔いの原因として挙げられています。二日酔いは、単一の原因によって起こるわけではなく、さまざまな要因が複雑に重なり合って起こるというわけです。

二日酔いの予防

では、二日酔いを予防するためにはどうしたらよいのでしょうか。そのポイントをいくつか挙げてみたいと思います。

飲み過ぎない!

当たり前のことですが、二日酔いにならないためのもっとも良い方法は、飲み過ぎないということです。酔うとついつい理性が効かなくなってしまうものですが、飲む前に「○杯でやめておく」「○時になったら飲むのをやめる」などといったルールを自分で決めておくほか、周りの人にも協力してもらい、深酒を防ぐように心がけましょう。

飲むペースが早いと肝臓でのアルコールの分解が追い付かなくなるので、ゆっくり飲むことも大切です。いろいろな種類のお酒を飲む「ちゃんぽん」は、飲んだ量がわからず、飲みすぎにつながりやすいため、二日酔いの原因になると言われています。お酒の種類を変えるときには同時にペースも変えるよう心がけましょう。

食事を取る

空腹時の飲酒はアルコールの吸収を早めることになり、悪酔いや二日酔いにつながります。お酒を飲む前には、軽いものでもよいので何か口にしておくことが大切です。また、お酒と共に食事やおつまみを取ることによって、低血糖に陥るのを防いだり、飲み過ぎを予防したりという効果も期待されます。

二日酔い予防の薬・サプリ

最近では、お酒を飲む前に飲んでおくと二日酔いを予防できるというドリンクやサプリメント、医薬品なども増えてきています。その働きは主に肝臓でのアルコールの分解を助けるなどといったものです。中には一定の効果を持つものもありますが、二日酔いを完全に予防できるというものではありません。「薬を飲んでいるから大丈夫」と言って普段以上に飲みすぎてしまえば、逆にひどい二日酔いになってしまうこともあります。

まずは二日酔いにならないようなお酒の飲み方を心掛けた上で、補助的なアイテムとして上手にこれらを活用していくとよいと思います。

二日酔いの解消法

ついつい飲みすぎて二日酔いになってしまった…というときには皆さんはどうしていますか?よく言われる二日酔いの解消法について、その効果を考えてみたいと思います。

入浴・運動は脱水に注意

二日酔いになってしまったときは、お風呂やサウナに入ったり、運動をしたりして汗をかくとよいと思っている方も多いのではないでしょうか。

確かに、汗をかくことによってアルコールの一部を体外へ排出することはできます。ただし二日酔いのとき、体は脱水状態にあることが多いと言われています。この状態で汗をかくとさらに脱水が進み、危険な状態に陥ることもあります。

入浴する際には必ず水分補給をし、無理のない範囲で行うようにしましょう。また、運動やサウナは心臓や肝臓に負担をかけることも多いので注意が必要です。

迎え酒はNG!

二日酔いのときにお酒を飲むと二日酔いが治るなどと言われることがありますが、これは正しい対処法ではありません。アルコールによって脳がマヒし、不快な症状を感じなくなっているだけのこと。内臓にはさらに負担がかかっており、後でよりひどい二日酔いが生じることになります。
また、迎え酒が迎え酒を生んでアルコール依存症につながることもあるので注意しましょう。

薬は効く?

最近では、二日酔いに効くといったドリンク類なども多く販売されるようになっています。これらは主に肝臓でのアルコールの分解を早めたり、体外への排出を促したりする作用のあるものです。二日酔いの症状をすぐに解消するわけではありませんが、症状軽減に一定の効果を持つものもあります。

また、胃腸の不調が現れている場合には、二日酔いへの効能が記載された胃腸薬を服用するのも一つです。一方、二日酔いで頭痛が生じているときに頭痛薬を使うことについては、慎重になったほうがよいと言われています。

頭痛薬を服用することにより、アルコールの分解を行う肝臓が同時に頭痛薬の分解もしなければならなくなり、さらに大きな負担がかかってしまうのです。さらに頭痛薬は副作用として胃腸の不調を生じさせることもあります。二日酔いで薬を服用する場合には、薬剤師に相談するようにしましょう。

二日酔いと水分補給

二日酔いを予防・解消するためには、なくてはならないものがもう一つあります。

それが、「水」です。

先にも述べたように、二日酔いには脱水症状が大きく関係しています。ですから、飲酒する際に水分補給をきちんと行うことが、二日酔い予防につながるのです。水分補給は、お酒を飲む前・最中・後のそれぞれに飲むと良いとわれています。

飲酒前

「喉がカラカラに渇いた状態で飲むお酒がおいしい!」という方も多いかもしれませんが、この飲み方はおすすめできません。

飲酒前にはコップ一杯程度の水を飲む習慣を付けましょう。脱水症の予防になると同時に、アルコール濃度を抑えて肝臓への負担を軽減することができます。
胃を膨らませておくことで飲み過ぎの予防にもつながります。

飲酒中

飲酒中も同様に、脱水や飲み過ぎを予防したり、アルコール濃度を抑えたりするために、適宜水を飲むようにすると良いと言われます。

強いお酒を飲むときに共に提供されるチェイサーですが、これには舌をクリアにして味覚を楽しめるようにするという意味と、アルコール濃度を薄めて体への負担を減らすという2つの意味があるそうです。強いお酒を飲むときだけではなく、ビールやカクテルを飲む合間にも、このようなチェイサーを用意しておくのがおすすめです。

飲酒後

お酒を飲んで帰った後、そのまま寝てしまうという方も多いかもしれませんが、これもNG。アルコールの利尿作用によって体は脱水状態になっていますから、このままにしておくと翌日は二日酔い…ということになりかねません。
お酒を飲んだ後は失われた水分をきちんと補給してから眠るようにしましょう。

それでも二日酔いになってしまったというときにも、水分補給を行い、アルコールの代謝を促すことが大切。冷たすぎる水は体に負担をかけますので、常温を、少しずつ飲むようにしましょう。また、二日酔いの時には水分だけでなく塩分や糖分も失われていますので、スポーツドリンクなどを補給するのもおすすめです。

まとめ

それでは最後に、二日酔いについてまとめておきます。

  • 二日酔いとは、お酒を飲んだ翌日に吐き気や頭痛などの不快症状が生じることを言う
  • 二日酔いはアセトアルデヒド値の上昇、脱水症状、胃腸障害、離脱症状などの要因が複雑に絡み合って生じると考えられている
  • 二日酔いを予防するためには、飲み過ぎないこと、お酒と共に食事を摂ることなどを心がけるとよい
  • 二日酔いの予防・解消のためには、飲酒前・中・後に水分補給を行うことがもっとも大切である

<参考文献>
「二日酔いのメカニズム」 厚生労働省 e-ヘルスネット
(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-005.html)
「医師880人に聞く、二日酔い対策の決定版とは?」日経Gooday 2014年12月5日
(https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/special/14/102900007/120300005/)