AGE(終末糖化産物)とは? | 水と健康の情報メディア|トリム・ミズラボ - 日本トリム

AGE(終末糖化産物)とは?

私たちの体は加齢によって老化していきます。
歳をとるにつれて「脳、血管、骨、肌」などが傷み衰えていくことは自然の摂理ですので、誰も止めることはできません。
老化を止めることができないのであれば、せめて遅らせたいと願うのが人情ですが、私たちはそういった思いとは裏腹に、みずから老化のスピードを早めてしまうことがあります。

老化を早める主な原因の一つに食べ物(食べ方)が挙げられますが、より踏み込んで言うと「糖質」が挙げられ、さらには「AGE(終末糖化産物)」という物質が大きくかかわっています。

老化を促進する物質「AGE(終末糖化産物)」――。
なんだか手ごわそうなイメージがありますが、一体どのようなものなのでしょうか。

今回は、近年注目を集めている「AGE(終末糖化産物)」について解説をしていきます。

AGE(終末糖化産物)とは?

AGEとは「Advanced Glycation Endproducts」の略で、日本語では「終末糖化産物」と訳されます。
サイトや書籍によっては「AGEs:蛋白糖化最終生成物」という形で記載されることもありますが、いずれも同じものを指しています。

AGEを説明するにあたっては、名前の一部に含まれている「糖化」という言葉を先に説明した方が分かりやすいでしょう。
糖化とは、食事などから摂取した余分な糖が体のたんぱく質と結びついて、細胞などを劣化させる現象のことをいいます。この現象を引き起こす代表的な糖は、皆さんもよくご存知の「ブドウ糖」です。

ブドウ糖はパンやごはんなどの炭水化物が消化酵素によって分解されたもので、これが私たちの脳や筋肉を動かす主なエネルギー源となっています。しかし、エネルギーとして消費されずに余ってしまったブドウ糖は、まず備蓄用として肝臓や脂肪細胞などに貯えられ、それでもなお余った分は体内のたんぱく質と結びついて糖化現象を引き起こします。ここでいう「体内のたんぱく質」とは、皮膚や血管だけを指しているのではなく、脳や骨の内外にあるコラーゲンなども含んでいます。
これらの「体内のたんぱく質」と「余った糖」とが結びつき、最終的に生成される物質が「AGE(終末糖化産物)」なのです。

AGEはどのような病気や老化現象を招くのか

糖化が起きると、その部分は徐々に茶色く変色していき、進行するにしたがって黒味も帯びてきます。
そして、それと同時にその部分は、まるでチョークのように硬くもろくなっていき、最終的にはAGEが生成・蓄積されていきます。

これら一連の現象が、肌で起きればシミやシワなどを招き、血管で起きれば動脈硬化や心筋梗塞などを招きます。
また、脳で起きれば認知症や脳梗塞などを招き、骨で起きれば骨粗しょう症や変形性関節症などを招くのです。
さらに、糖化は糖尿病や糖尿病の三大合併症(神経障害、網膜症、腎症)にも深く関与していると言われていますので、十分な注意が必要です。

もちろんこういった病気や老化現象は加齢によっても起こりえますが、AGEが蓄積されると、そのリスクやスピードが一気に跳ね上がってしまうのです。
このようなことにならないためにも、AGEの蓄積は完全に阻止したいところです。
しかし、AGEの根源ともいえる糖質は、私たちが食事でとるエネルギーの半分以上を占めており、生きる上で欠かすことのできないエネルギー源です。
そのため、体内でAGEが生成されてしまうのは、ある程度は仕方がないことだと言えます。

私たちが気をつけなければならないことは、その蓄積を「最小限に抑える」ということです。
まずは、自身の食生活を見直すところから始めていきましょう。

AGEの多い食品

AGEが体内に蓄積される主な原因は私たちの食生活にありますが、その蓄積パターンには大きく二通りあると言われています。
一つは上記でも説明した通り、パンやごはんなどの炭水化物[※]の摂り過ぎで高血糖状態が長く続き、その結果、体内のたんぱく質と糖が結びついて、AGEが生成・蓄積されていくパターン。
そして、もう一つは「食品(食物)に含まれているAGE」を摂取することによって、体内に蓄積していくパターンです。
前者のパターンで注意すべき食品は、炭水化物[※]を多く含む食品ですので、パンやごはんなど、それほど想像に難くないでしょう。
しかし、後者のパターンで注意すべき食品は、AGEを多く含む食品ですので、すぐにピンとくる人は比較的少ないのかもしれません。

[※]厳密には、炭水化物に含まれる「糖質」

普段みなさんは、さまざまな観点から食品を選んでいると思いますが、老化のスピードを速めないためには「AGEの含有量」という観点もあわせて持っておく必要があるでしょう。
以下のリストは、AGEの含有量が多いといわれている食品群です。
また、リストの最後には比較対象として、日常的に食べられている食品群も併せて記載しています。

(単位[KU]:Kiro Unitの略。AGEの含有量を示す基本的な単位)

【ファーストフード食品】
・ハンバーガー(牛肉) 4876KU/90g
・フライドポテト 1522KU/100g

【肉】
・フランクフルト(豚肉/5分間焼いたもの) 10143KU/90g
・鶏胸肉(皮つき/チキンカツ/25分間揚げたもの) 8965KU/90g

【魚】
・サケ(10分間揚げる) 1348KU/90g
・マグロ(醤油をつけて10分間焼いたもの) 4602KU/90g

【乳製品】
・アメリカ製プロセスチーズ 2603KU/30g
・パルメザンチーズ 2535KU/15g

【脂肪性食品】
・アーモンド(ローストしたもの) 1995KU/30g
・ピーナッツバター 2255KU/30g

【比較対象食品】
・ご飯 9KU/100g
・食パン(中心部分) 7KU/30g
・白砂糖 0KU/5g
・人参 10KU/100g
・バナナ 9KU/100g
・牛乳 12KU/250mL
・コーラ 16KU/250mL

AGEは高温調理された食品に多く含まれる

上項ではAGEの多い食品をいくつかご紹介しましたが、実は同じ食品であっても調理の仕方によって、AGEの量は大きく変化することがあります。
例えば、魚を調理して食べる場合「刺身、煮魚、焼き魚」などの選択肢があるわけですが、AGEの量を低く抑えるのでしたら「焼き魚よりも煮魚」、「煮魚よりも刺身」を選んだ方がよいのです(味付けを除く)。
つまり、高温で長時間調理をするほどAGEは増えるため、こんがり焼き目をつけたり、油を使って揚げたりするような調理方法は、老化抑制の観点からいうと出来るだけ避けた方が良い調理方法といえます。

また、このことは電子レンジを使った加熱調理も例外ではありません。
例えば「無脂肪牛乳」を電子レンジで加熱した場合、AGEの含有量は次のように変化します。

・無脂肪牛乳 1KU/250mL
・無脂肪牛乳(電子レンジで3分加熱) 86KU/250mL

老化抑制の観点において理想的な調理方法は、AGEが最も少ない「生の状態」で、その次に「蒸す(茹でる)」、「煮る」と続きます。調理をする際や出来あいの料理を選んで食べる際には、以下の順番を目安にAGEの摂取量を抑えるようにしましょう。

① 生
② 蒸す(茹でる)
③ 煮る
④ 炒める
⑤ 焼く
⑥ 揚げる

(AGE含有量:①が最も少なく⑥が最も多い)

AGEの生成・蓄積を抑えるポイント

炭水化物(糖質)を多く含む食品を避けること、そして、高温で長時間調理された食品を避けること──。
AGE対策では、この二つの取り組みを優先的に意識するとよいでしょう。
そしてこれらに加え、下記のような取り組みも有効だと言われていますので参考にしてみて下さい。

食物繊維を最初に食べる

食物繊維を最初に食べ、次にたんぱく質、その次に炭水化物──。
このような順番で食べると体が痩せやすくなるという話は「食べる順番ダイエット」としてよく知られていますが、実は糖化対策としても有効です。
炭水化物(糖質)を最初に食べると、血糖値が急激にあがり、体は高血糖状態に陥ります。
高血糖状態とは血中に余分な糖が多くある状態ですので、このような食べ方を続けていると、AGEの生成を促進することになります。
こうならないためにも、毎日の食事では “野菜ファースト”を心掛けるようにしましょう。
ただし、ポテトサラダやカボチャサラダは、食物繊維と一緒に糖質も多く含んでいますので、最初に食べるものとしてはオススメできません。
食物繊維をサラダから摂取する場合には、葉物野菜でつくられた「グリーンサラダ」がオススメです。

ビタミンB1・B6を積極的に摂る

ビタミンB1・B6は、AGEの蓄積を抑制する働きを持っていると言われています。
例えば、ビタミンB1の誘導体である「ベンフォチアミン」という医薬品を糖尿病のラットに投与する実験では、神経中のAGEが有意に低下したと報告されているようです。
また、ビタミンB6の誘導体である「ピリドキサミン」という医薬品を糖尿病のラットに投与する実験でも、皮膚のコラーゲン繊維のAGEが有意に低下したと報告されているようです。
こういった医薬品は携帯性があって便利ですし、AGE対策としても一定の効果が期待できそうです[※]。
しかし、このようなものに頼らなくても、ビタミンB1・B6は身近な食品からも十分に摂取することができます。
以下のリストを参考にして、毎日の食事からビタミンB1・B6を摂るようにしてみてはいかがでしょうか。

【ビタミンB1を多く含む食品】
・豚肉
・真鯛
・マグロ
・カツオ
・玄米ごはん
・枝豆
・絹ごし豆腐 など

【ビタミンB6を多く含む食品】
・鶏肉
・鮭
・マグロ
・カツオ
・赤パプリカ
・さつまいも
・バナナ など

※.医薬品を使用する際は、医師や薬剤師の指示に従って下さい

食後に運動をする

運動をして筋肉を使用すると、エネルギー源である糖質が消費されるため、血糖値の上昇が抑えられます。
血糖値の上昇が抑えられると、糖とたんぱく質の結びつきも抑えられるため、糖化予防になるというわけです。
血糖値は食後から1時間ほど経った頃にピークとなりますので、そのタイミング(血糖値が上がりきったタイミング)で糖を使うと、長時間、高血糖状態になることを避けられます。また、食べた直後に運動をすると消化を妨げる恐れがありますので、そういった意味でも食後から1時間ほど経った後に運動をする方が良いとされています。
運動の種類には、有酸素運動(ウォーキングやジョギングなど)と無酸素運動(筋トレや短距離走など)がありますが、食後の運動はどちらでも構いません。
また、運動場所も公園やジムに行く必要はありませんので、気軽に自宅でお風呂掃除をしたり、窓ふきをしたりして体を動かしてみてはいかがでしょうか。

さいごに

AGEの生成・蓄積を予防するためには、毎日の食事を改善することが一番です。
しかし、完璧に予防をしようとすると、食事の内容や方法にかなりの制限がかかるため、継続が難しくなります。
一時的にベストな食事へ切り替えることよりも、継続的にベターな食事を繰り返すことの方が、長い目でみればよほど効果があるでしょう。
できることから始め、できる範囲で継続していく、この心掛けが大切です。

そして、こういった改善や心がけは、若者世代も例外ではありません。今はまだ若く「老化」という言葉は自分とは無縁のように思えるかもしれませんが、早期にAGE予防を意識するとしないとでは、5年後10年後、そして老後の体の状態に大きな差が生じることになります。
人生100年時代とも呼ばれる今、長く美しく、そして健康的に生きていくために、今日からAGE予防を始めましょう。


参考文献

おおた内科消化器科クリニック「AGE(終末糖化産物)」

https://ota-clin.com/agingcheck/age/

同志社大学 生命医科学部 糖化ストレス研究センター「糖化ストレスとは」

http://www.yonei-labo.com/gsrc/index.html

リバーシティクリニック東京「糖化と骨 - 抗糖化コラム」

https://rivercity-clinic.jp/imc/anti-glycation/column_28/

FUJIFILMサプリメント「健康習慣コラム|糖質Q&A - 糖質の正しい摂取量」

https://ls-jp.fujifilm.com/supplement/article/how-many-carbs-should-you-eat/

森永製菓「プロテイン公式サイト|ビタミンB群の働き、多く含まれる食品を紹介」

https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=96&category=beauty

雑誌「ゆほびか(2018年5月号)」マキノ出版 出版

書籍「数字でわかる老けない食事AGEデータブック」山岸昌一 監修

書籍「老けたくないなら「AGE」を減らしなさい」牧田善二 著

書籍「「糖化」をふせいで老いない・病まない体になる!」久保明 著