「おいしい水の要件」7項目を知る | 水と健康の情報メディア|トリム・ミズラボ - 日本トリム

「おいしい水の要件」7項目を知る

「おいしい水ってどんな水?」という疑問を持ったことがある方も多いのではないでしょうか。

おいしい水がどのようなものなのかを示す指標の一つが、「おいしい水の要件」です。水中に含まれているミネラルや残留塩素の量、水温などといった7つの項目について数値が定められています。

では、具体的にどのような項目があり、基準値はどのようになっているのでしょうか。ここでは、「おいしい水の要件」について詳しく見ていきます。

おいしい水の要件とは

おいしい水とはどのようなものなのか―この疑問に応えるべく、昭和59年、厚生省(当時)は「おいしい水研究会」を設立しました。

「おいしい水研究会」は、安全でおいしい水の提供を目的の一つとして発足されたものであり、調査は主に水道水を対象として行われました。そして味に影響する以下の7つの項目について具体的な数値を定め、「おいしい水の要件」としたのです。

要件を決めた具体的な方法については明らかにされていませんが、各地で行われた利き水試験や、アンケート調査の結果を参考にしたと言われています。

  • 蒸発残留物 30~200mg/L
  • 硬度 10~100mg/L
  • 遊離炭酸 3~30mg/L
  • 過マンガン酸カリウム消費量 3mg/L以下
  • 臭気強度 3以下
  • 残留塩素 0.4mg/L以下
  • 水温 最高20℃以下

これらの項目と数値については、この後詳しく見ていきます。

おいしい水の要件7項目

蒸発残留物

蒸発残留物とはその名の通り、水が蒸発した後に残る物質のことです。その主な成分はミネラルです。

ミネラルがまったく含まれていない純粋なH₂Oは無味無臭であり、あまりおいしいとは言えません。私たちが普段飲んでいる水にはミネラルが適度に含まれていることによって、まろやかさやコクが感じられるのです。一方で蒸発残留物の量が多すぎると、苦みや渋みが生じます。

そのため「おいしい水の要件」では、この数値を30~200mg/Lとしています。

硬度

硬度とは、ミネラルの中でも特にマグネシウムとカルシウムの合計含有量を示す指標です。これらが多いものが「硬水」、少ないものが「軟水」と呼ばれます。

WHOの分類では、以下のようになっています。

  • 軟水 0~60mg/L
  • 中硬水 60~120mg/L
  • 硬水 120~180mg/L

硬度の高いものはややクセが強いため好みが分かれやすく、低いものはまろやかで飲みやすい味といわれています。「おいしい水の要件」で定められている硬度の数値は10~100mg/Lであり、軟水~中硬水に分類されます。

遊離炭酸

遊離炭酸とは、水中に溶けている炭酸ガスのことです。炭酸飲料などでもわかるように、炭酸ガスは適度に含まれていると清涼感が生まれますが、多すぎると飲みづらく感じられてしまいます。そのため「おいしい水の要件」では3~30mg/Lと定められています。

過マンガン酸カリウム消費量

過マンガン酸カリウム消費量とは、わかりやすく言うと見ずに含まれる有機物の指標です。水道水の原水となる河川の水などには有機物が含まれていますが、これらは微生物によって分解されるほか、近年取り入れられている高度浄水処理によって除去されます。

しかし原水に含まれる量があまりにも多いと、処理しきれずに残ってしまうことがあります。そしてにおいのもととなったり、塩素と反応することでトリハロメタンが生成されたりしてしまうのです。

「おいしい水の要件」ではこの数値を3mg/L以下としています。

臭気強度

臭気強度、すなわち「におい」は、私たちにとってもわかりやすいものの一つです。

私たちが飲んでいる水には何らかの物質が含まれており、完全な無臭ではありません。ただしにおいが強すぎると、不快で、おいしく感じられません。実際、植物プランクトンによるカビ臭や藻臭などを感じたことがある方もいるかもしれません。

そこで「おいしい水の要件」では、臭気度を3以下と定めています。これは、測定する水を無臭の水を使ってにおいがなくなるまで薄めたときの希釈倍数です。

残留塩素

塩素は水道水を消毒するために使われるものです。私たちが安全な水道水を利用するために塩素は必要不可欠なものであり、水道法では蛇口での残留塩素を0.1mg/L以上保持するよう定められています。

ただしこれが多すぎると、「カルキ臭」と呼ばれる独特のにおいが生じることになります。そのため、浄水器を設置するなどして残留塩素を除去している家庭も多いと思います。

「おいしい水の要件」では、残留塩素の値を0.4mg/L以下としています。

水温

「おいしい水の要件」最後の項目は、水温です。

生ぬるい水はあまりおいしく感じられません。冷やすことによって清涼感が得られるほか、カビ臭などのにおいも気にならなくなるといった面もあるようです。

そのため「おいしい水の要件」では、水温を最高20℃以下としています。

まとめ

それでは最後に、「おいしい水の要件」についてまとめておきます。

  • おいしい水の供給を目的として、「おいしい水研究会」によって「おいしい水の要件」が定められた
  • 蒸発残留物すなわちミネラル成分は、30~200mg/L
  • マグネシウムとカルシウムの合計含有量の指標である硬度は、10~100mg/L
  • 水に溶けている炭酸ガスである遊離炭酸は、3~30mg/L
  • 過マンガン酸カリウム消費量すなわち有機物は、3mg/L
  • 臭気強度(測定する水を無臭の水を使ってにおいがなくなるまで薄めたときの希釈倍数)は、3以下
  • 残留塩素はカルキ臭の原因となることがあるため、0.4mg/L以下
  • 水温は高すぎるとおいしく感じられないため、最高20℃以下

<参考文献>
一般社団法人浄水器協会
(http://www.jwpa.or.jp/)
「おいしい水とは」一般社団法人長野県薬剤師会
(http://www.naganokenyaku.or.jp/modules/meisuicat/content0009.html)