出汁取りの基本とポイント 出汁の味を活かした簡単レシピもご紹介! | 水と健康の情報メディア|トリム・ミズラボ - 日本トリム

出汁取りの基本とポイント 出汁の味を活かした簡単レシピもご紹介!

「だしを取る」ときくとなぜか目を背けてしまう、そんな方も結構おられるのではないでしょうか?

一部の人にとって「だしを取る」ことは、とても難しい行為であると感じるようです。

しかし、だしの原料はとてもシンプルで、取り方も意外と簡単です。お金や時間もそれほどかからない割に料理の味が格段に良くなりますので、使わない手はないでしょう。

今回はそんな魅力タップリのだしについて、いくつかのポイントを交えながらご紹介していきたいと思います。

料理における出汁の重要性

私たちが感じる味覚には、甘味・塩味・酸味・苦味の他に「旨味」があります。

この旨味を料理に加えたいときに使用するものが「だし」です。

だしとは「魚・昆布・きのこ」などから旨味成分を抽出した汁のことで、漢字で書くと「出汁(以下、漢字表記)」となります。

きちんと取った出汁を料理に使うと、香りが豊かになり、味も格段に良くなります。また、出汁をしっかりときかせると、他の食材の旨味も引き立ち、調味料を過剰に使って味付けをする必要がなくなります。

近年の日本の食生活では、糖分や塩分の過剰摂取が心配されていますが、出汁を上手に使えばそういった心配もなくなるというわけです。

出汁は「おいしい料理」を作るだけではなく、「健康的な料理」を作る上でも、とても大きな役割をもっていると言えるでしょう。

出汁は何から取るのか

旨味を抽出したもの全てを「出汁」と呼ぶのであれば、出汁は海外でも使用されていると言えます。

例えば、フランス料理では「フォンドヴォー(牛由来)」、中華料理では「豚骨スープ(豚由来)」等々です。

また、珍しいものでいえばトマトジュースや豆乳を出汁として使用している料理などもあります。

ただ、私たち日本人が一般的に使用している出汁は、主に次の4つになります。

昆布(旨味成分:グルタミン酸)
食材の味や香りを活かす薄味料理に最適です。
昆布の種類は日高昆布・羅臼昆布・利尻昆布などが有名です。

かつお節(旨味成分:イノシン酸)
かつおの身を加熱・乾燥させ、それを削ったものを煮出して出汁を取ります。
かつお節から取られた出汁は「みそ汁・お吸い物・煮物」など、幅広く料理に使用できます。

煮干し(旨味成分:イノシン酸)
煮干しとは、主にカタクチイワシやマイワシを食塩水で煮て乾燥させたものを言います。
イワシの他には、アジやトビウオ(アゴ)なども挙げられます。
煮干しの出汁は濃厚なため、濃い目の味つけの料理に適しています。

干し椎茸(旨味成分:グアニル酸)
植物性の素材ですが、出汁(戻し汁)には旨味成分であるグアニル酸が豊富に含まれています。
そばつゆやそうめんつゆ、お雑煮やみそ汁などに使用されます。

出汁の取り方

出汁の種類は上記に挙げたものだけではなく、他にも様々なものがあります。そして、それらの出汁は組み合わせることによって「相乗効果」が生まれ、単体の出汁よりも味や香りが良くなるのです。

一流の料理人は、そういった出汁どうしの相性や配分バランスを熟知しています。また、火加減の調節も絶妙で、素材の下ごしらえの知識なども豊富です。

私たちが出汁を取ることに難しさを感じてしまうのは、このような一流の料理人と「同じ技法で出汁を取らなければならない」といった、誤った認識を持っているからではないでしょうか?

しかし、出汁は少しくらい手抜きをしても十分においしく取ることができます。難しそうな出汁料理のレシピ本を読む前に、まずは次の方法で出汁を取ってみましょう。

・煮出し法(かつお節を使った例)
・水出し法(昆布を使った例)

手抜きをした取り方であっても「それなりに美味しい出汁が取れる」ということがお分かり頂けるかと思います。

素材にこだわったり、複数の出汁の組み合わせを考えたりするのは、それからでも十分でしょう。

煮出し法

①まず1リットルの水を鍋で沸騰させます。
②沸騰したら火を止めて、そこにかつお節を20グラムほど入れます。
③1~2分経ってから、鍋の中の熱湯をこし取れば完成です[※]。

かつお節の種類は何でも構いませんが、最初の内は手に入りやすい「花かつお」で試してみるとよいでしょう。量の目安は片手で軽くソフトボールをつかむくらいです(最初は大体で構いません)。

こし取る器具は「万能こし器」にキッチンペーパーをしいたものを使えばOKです。

【煮出し法のメリット】
・強い「味・香り・コク」を取ることができます
・かつお節の場合、しっかり煮出すと生臭さが揮発によって低減します

【煮出し法のデメリット】
・出汁がにごりやすくなります
・長く煮出していると雑味が出てきます

※. この方法は「煮出し法」を節略化したものです。コクを強く出したい場合や濃い味を狙う場合には、ここから更に素材を煮出すことになります。

水出し法

1リットルの水に出汁用の昆布を20グラムほど入れて、冷蔵庫で一晩から二晩おけば完成です。

たったこれだけで、クセのないスッキリとした味わいの出汁を取ることができます。

昆布の種類は何でも構いませんが、最初の内は手に入りやすい「羅臼昆布」で試してみるとよいでしょう。量の目安はスマートフォン2台分くらいの「大きさ」です(最初は大体で構いません)。

昆布の他に「かつお節・煮干し(頭とハラワタをとったもの)・干し椎茸」なども「水出し法」で取ることができます(使用量はそれぞれ異なります)。

【水出し法のメリット】
・加熱していないので、素材が持つ繊細な香りを楽しむことができます
・お吸い物やサッパリ系の料理に適しています
・出汁がにごりにくいので、見た目がキレイです

【水出し法のデメリット】
・煮出し法に比べてクセが出にくい分、素材らしさが弱くなります

美味しい出汁を取るポイントは?

上記の方法で出汁取りを体験してから、徐々にレシピ本などでポイントを学んでいくとよいでしょう。

ただし、出汁はこだわりだすとキリがなく、それによって「手軽さ」が損なわれることも考えられます。

毎日取れるくらいの「手軽さ」を念頭におきつつ、バランスをとりながら学ぶことをオススメします。

ここでは、比較的簡単なポイントだけをご紹介します。

こし取った後の素材は搾らない

こし取った後の素材に含まれている出汁を絞れば、旨味成分をたっぷり含んだ「濃い出汁」が取れると思われがちです。

確かに素材にはまだ旨味成分が残っていますので、絞り出すことによっていくらか抽出することはできます。

しかしそれと同時に、素材がもつ「えぐみ」も一緒に抽出されますので、出汁の味が悪くなってしまいます。

なんとなくもったいない気持ちにかられますが、素材は絞らないようにしましょう。

80℃のお湯で取ると上品な風合いに

かつお節や昆布の旨味が一番「上品」に取れるのは、80℃くらいのお湯を使用したときです。

 簡単に80℃くらいのお湯をつくるには、ガラスボウルを使用します。

沸騰させたお湯をガラスボウルに移し替えると、ガラスの持つ冷たさによって、お湯の温度が80℃くらいにまで引き下げられます。

この80℃くらいのお湯の中にかつお節や昆布を入れて1分ほど置き、最後にこせば、上品な風合いの出汁が完成します。

水道水をそのまま使わない

出汁の味を良くする要素は「良質な食材」と「適切な取り方」だけではありません。

「使用する水」によっても、出汁の味に大きな影響を及ぼします。

日本の水道水は衛生確保のため、水道法に基づいた水質基準による管理が徹底されています。

しかし、水道水には水質の安全性(病原菌に対する消毒効果)を保つための塩素が含まれており、この塩素の臭いは出汁の香りを若干打ち消してしまいますので、蛇口から出ている水をそのまま使用するのはオススメできません。脱塩素能力の高い浄水器を通した水(浄水)、または市販の水を使用すると良いでしょう。 

ただし、硬度の高すぎる水を使用すると、水中に含まれている多量のミネラルが影響して雑味が出てしまうこともありますので、市販の水を購入する際は「軟水」を選ぶとよいでしょう。

整水器の活用

「素材の味をもっと引き出したい」または「水出し法による抽出時間を短くしたい」とお考えであれば、電解水素水(アルカリイオン水)を使用すると良いでしょう。

電解水素水とは、整水器と呼ばれる機器から水道水に含まれた塩素や不純物を除去し、更には電気分解によって生成される「水素」を含んだアルカリ性のお水です。

電解水素水は「抽出力」が高いため、単なる浄水や軟水よりも素材の旨味をしっかりと引き出してくれます。

以下のサイトでは、電解水素水(アルカリイオン水)の抽出力を味覚センサーを用いて科学的に検証しています。

参考|アルカリイオン整水器協議会「昆布だし」
https://www.3aaa.gr.jp/userinfo/index/16

また、電解水素水は出汁取りのほか、炊飯やアク抜き等においても優れた特性を見せます。電解水素水は様々な料理に幅広く活用されていて、ネット上でも電解水素水を使ったレシピが続々と公開されています。

ここでは、電解水素水を使った簡単おすすめレシピを2つご紹介したいと思います!

香ばしごぼうとサンマの炊き込みご飯

香ばしごぼうとサンマの炊き込みご飯

< 材料(4~5人分)>
・サンマ…1尾
・まいたけ…1房
・大葉…4〜5枚
・ショウガ…1個
・ごぼう…1本
・米…2合
・塩…少々
・すだちまたはレモン…お好みで

【A】
・酒…大さじ2
・醤油…大さじ1
・みりん…大さじ1/2

【カツオ出汁】
・電解水素水…2カップ
・かつお節 8g

<作り方>
①:下準備をする
米は研ぎ、水けを切っておく。ショウガ、大葉は千切りにする。
大葉は電解水素水にさらし、キッチンペーパーなどで水けを切っておく。
★電解水素水にさらすことで色味が鮮やかになり、風味が引き立ちます。

②:ダシを取る
【カツオだし】を合わせて7分ほど置いておく。
だしが取れたら、ザルなどでこし、【A】と合わせておく。

③:魚を準備する
サンマは半分に切り、内臓を取り除く。
電解水素水でよく洗い、水けを切ったら塩を振っておく。
5分ほどしたら、キッチンペーパーで拭き取る。
★電解水素水で処理することで、臭みが気になりにくくなります。

④:米を炊く
土鍋に米を入れ平らにならす。
まいたけはほぐしながら加え、ショウガ、サンマの順で乗せる。
②の調味だしを鍋の縁から注ぎ、蓋をしたら強火にかける。
ふつふつしてきたら、弱火にして約10分間炊く。
火を止めて、約10分間蒸らす。

⑤:ごぼうを揚げる
ごぼうはピーラーで薄くリボン状に剥く。
電解水素水にさらにアクを取ったら、キッチンペーパーでしっかり水けを拭き取る。
フライパンに油を1cmほど注ぎ(分量外)中火で熱したら、ごぼうをきつね色になるまで揚げ、油を切っておく。
★アク抜きに電解水素水を使用することで、短時間でアク抜きが出来ます。

⑥:仕上げる
米が炊けたら、サンマの頭、大きい骨を取り除き、⑤のごぼう2/3を手で砕きながら加えて、さっくりと混ぜ合わせる。
器に盛り付けたら、1/3残して置いたごぼう、大葉を好きな量飾って完成。
お好みですだちやレモンをかけると風味が増して秋らしい味わいが増します。

▼レシピ詳細は、日本トリム【公式】インスタグラムよりご覧頂けます。
 https://www.instagram.com/p/CUJg20zhh5u/

サクッとジュワッと揚げ出し大根

サクッとジュワッと 揚げ出し大根

< 材料(2人分)>
・大根(2cm幅)…2個
・切り餅…2個
・電解水素水…500ml
・昆布…10cm
・片栗粉…適量
・揚げ油…適量
・すりおろししょうが、千切りゆず…お好みの量

【A】
・醤油…大さじ3
・みりん…大さじ2
・砂糖…小さじ1
・ゆず汁…小さじ1

<作り方>
①:大根を下準備する
大根の皮をむき、さっと水にくぐらせ、耐熱皿に並べる。
ふんわりとラップをしたら、600Wの電子レンジで約5分加熱する。
鍋に電解水素水、昆布を入れ5分くらいかけて沸騰直前まで煮る。
レンジで温めた大根を鍋に入れて軟らかくなるまでさらに煮る。
バットに取り、手で持てるくらいまで冷まして、ペーパータオルで水けを拭く。

②:出汁を作る
①の鍋の昆布を取り出し、【A】を入れて煮詰める。
★電解水素水で取った出汁で煮ると、大根に味がしみやすいです。

③:揚げる
フライパンに揚げ油を3cmほど注ぎ、170℃くらいに熱する。
①の大根に片栗粉をまぶし、全体が優しい揚げ色になるまで揚げる。
餅は、半分に切りぷくっと膨らむまで油で揚げる。
※餅は1/2、または1/4に切って揚げてください。
揚げ時間は4~5分程を目安にし、揚げ過ぎないように注意して下さい⚠

④:仕上げる
器に大根と餅をのせて、熱々の②の出汁をかける。
お好みの量のすりおろししょうがと千切りのゆずを飾る。

▼レシピ詳細は、日本トリム【公式】インスタグラムよりご覧頂けます。
 https://www.instagram.com/p/CY-ew3fARbI/

さいごに

~ 身体の為にも塩生活から出汁生活へ ~

近年の私たちの食生活は「塩分の過剰摂取」がよく問題視されています。塩分を過剰に摂取すると高血圧になりやすく、その状態が続けば動脈硬化が進行してしまいます。そして、最終的には「脳卒中」や「心臓病」で命を落とすことにもなりかねません。そういった病気へのリスクを軽減するためにも、減塩を意識した食生活にシフトする必要があります。

しかし、今まで濃い味になれてきた私たちの舌は薄味の料理では物足りなさを感じてしまいます。

そこで試して頂きたいのが、今回ご紹介した「出汁」です。出汁に含まれている旨味成分が、減塩料理の物足りなさを補ってくれるのです。しっかりとした味わいを感じたいけれど、塩分は控えたい。そのような悩みをお持ちの方は、ぜひ一度「出汁料理」を作ってみてはいかがでしょうか。


参考文献

東京ガス「ウチコト:「水出し」と「煮出し」はどう違う?出汁の使い分けや保存方法を解説」

https://tg-uchi.jp/topics/6703

書籍「野﨑洋光のだし革命 トマトジュースと豆乳で和食がつくれる!」野﨑洋光 著

書籍「和食のきほん、完全レシピ」野﨑洋光 著