精製水とは 医療用・工業用精製水の作り方や用途について | 水と健康の情報メディア|トリム・ミズラボ - 日本トリム

精製水とは 医療用・工業用精製水の作り方や用途について

「精製水」と呼ばれる水を、ドラッグストアなどで見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。

精製水は、医療や工業などさまざまな分野で活用されている水の一つ。また最近では、毎日の生活の中に精製水を取り入れる方も増えています。

精製水とはどのような水?その用途とは?詳しく見ていきます。

精製水とは

精製水とは、簡単に言うと水道水を生成して純度を高めた水のことを指します。精製水は大きく、医療用と工業用の2つに分けられます。

医療用の精製水については、日本薬局方の中で次のように定義されています。

本品は,イオン交換,蒸留,逆浸透又は限外ろ過などを単独あるいは組み合わせたシステムにより,「常水」より製したものである.
本品は,製造後,速やかに用いる.ただし,微生物の増殖抑制が図られる場合,一時的にこれを保存することができる.

引用:「第十七改正日本薬局方」

さらに精製水の性状、純度試験、導電率についても規定されています。

日本薬局方の中では、精製水のほかに、水道法の水質基準に適合した水である「常水」、精製水を減菌した「減菌精製水」、精製水を蒸留また超ろ過を行った「注射用水」といった分類が設けられており、それぞれの医療用途に適したものが用いられています。

一方、バッテリー液の補充や機器の洗浄などに使われる工業用の精製水についてはこのような定義はありません。それぞれの製造業者が独自に基準を決めて製造しています。工業用の精製水は医療用のものと比べて安価ですが、医療用途に使うことはできません。

通販やドラッグストアなどで精製水を購入する場合には、用途に合わせたものを選ぶことが大切です。

精製水の作り方

日本薬局方の中で述べられているように、精製水の作り方にはイオン交換、蒸留、逆浸透膜ろ過などがあります。

同じ精製水でも、製法ごとに違った呼び名で呼ばれることもあります。

イオン交換

陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を用いて脱イオン化し、純度を高めた水のことを「イオン交換水」と言います。

蒸留

原水を加熱し、発生した水蒸気を冷却して再び液体にしたものを「蒸留水」と呼びます。原水に含まれる物質は揮発せずに残ることから、純度の高い水を取り出すことができます。

逆浸透膜ろ過

水分子以外の物質を通過させないという性質を持つ半透膜を用い、不純物の混ざった水に浸透圧以上の圧力(逆浸透圧)をかけることにより、水だけを取り出すというものです。逆浸透(Reverse Osmosis)から、「RO水」と呼ばれます。

これらの方法を使い、水に含まれる不純物をできる限り除去して純度を高めた水は「純水」とも呼ばれます。精製水と純水には明確な区別はなく、ほぼ同じようなものとして扱われています。

精製水の用途

精製水は医療や工業だけではなく、私たちの身近なところでもさまざまに活用されています。

特にお馴染みなのが、コンタクトレンズの洗浄です。コンタクトレンズは目の中に入れるものですから、不純物の含まれていない精製水を使うのが望ましいとされています。コンタクトレンズの洗浄に使う精製水は、医療用のものか、「コンタクトレンズ用」と記載されているものがおすすめです。

また、車の洗浄や加湿器の給水に精製水を使うと、水アカが残りにくくなると言われることもあります。これらの用途には、工業用の精製水もお使いいただけます。

精製水の使い方として最近注目を集めているのが、スキンケアです。肌に刺激を与えるような不純物が含まれていないので、安心して使うことができると評判です。

精製水とグリセリン、さらに好みのアロマオイルなどを組み合わせて手作りの化粧水を楽しんでいる方もいます。洗顔後のふき取りや、パックとしての使い方もあります。

精製水を使う上で気を付けなければならないのが、保存の仕方です。精製水には塩素や防腐剤などが含まれていないため、一度開封すると雑菌が繁殖する恐れがあるのです。精製水は直射日光のあたらない冷暗所で保管し、開封後はなるべく早く使い切るようにしましょう。

まとめ

それでは最後に、精製水についてまとめておきます。

  • 精製水は大きく、医療用と工業用とに分けられる
  • 精製水の作り方には、イオン交換、蒸留、逆浸透膜ろ過などがある
  • コンタクトレンズの洗浄や加湿器の給水、スキンケアなどにも精製水を使うことができる

<参考文献>
「RO浄水器ってどんなもの?」一般社団法人浄水器協会
(http://www.jwpa.or.jp/ro/ro-junsui.html)
「第十七改正日本薬局方」厚生労働省
(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/JP17.pdf)