ウォーターサーバーを深掘り!購入前に知っておきたい基礎知識

冷水や温水などを好きなタイミングで手軽に得られるウォーターサーバー。飲用はもちろん、料理用や調乳用など幅広く活用できるため、導入を検討している人が増えているようです。
ウォーターサーバーは一見するとどの機種も同じように見えますが、実は機能や形状に大きな違いがあります。機種選びで失敗しないためには、まず全体的な分類や機能の概要を把握しておくことが大切です。
今回は「ウォーターサーバーを購入する前に知っておくべき基礎知識」について解説します。また、それらの基礎知識に加え、「意外に知られていない便利でユニークな機能」や「ウォーターサーバーの問題点」などについてもご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
ウォーターサーバーの分類
ウォーターサーバーを選ぶ際には、ついつい新機能やデザインに目がいきがちです。しかし、それらに注目する前に、ウォーターサーバーの基本的な分類(タイプ)を押さえておくことが大切です。実際に購入したあとで、「もっと自分に適したものがあった」、なんてことにならないように機種の違いをザックリと学んでおきましょう。
給水方式の違い
ウォーターサーバーの給水方式は、主に「ボトル型」と「水道直結型(浄水型)」の2つに分けられます。
【ボトル型】
ボトル型は、ミネラルウォーターやRO水[※1]などが入った専用ボトルを本体上部(または下部)にセットして給水するものです。一般的なボトルサイズは6~12Lほどですが、メーカーや機種ごとにサイズは異なり、ボトルキャップの規格も異なることが多いようです。ボトルは宅配業者によって定期的[※2]に届けられ、それを自分自身で本体にセット、またはストックします。
※1. 不純物がほぼ完全に除去された純水に近い水。不純物だけでなくミネラルも含まないため、のどごしが軽く、コクがないという声もあります。
※2. 宅配の周期は調整することができます。また、ボトルの発注は臨時的に行うこともできます。
【水道直結型(浄水型)】
水道直結型は、ご家庭内にある水道栓をウォーターサーバー本体につなげて給水するものです。給水された水(水道水)は、ウォーターサーバー内でろ過され、その後、浄水として使用されます。ボトル型と違って水道が給水源になるため、大量に使用しても水切れになることがなく、ボトルをセットする労力や、ストックするスペースは不要です。しかし、災害や清掃のために断水が起きると水が飲めなくなります。また、水道から給水するため、基本的には設置場所が制限され、水の種類も選ぶことはできません。
設置方式の違い
ウォーターサーバーの設置方式は、主に「床置き型」と「卓上型」の2つに分けられます。
【床置き型(ロングタイプ)】
床置き型は、本体を床に設置するタイプのウォーターサーバーです。床に設置して使用するため、出水口はある程度高くする必要があり、本体の高さは約1~1.5mほどのものが多いです。本体に高さを出すことで、本体下部(内部)にスペースが作られ、機種によってはそのスペースにボトルをセットすることもあります。
【卓上型(ショートタイプ)】
卓上型は、テーブルやカウンター、キッチンシンクなどに置くタイプのウォーターサーバーです。コンパクトで軽いため、設置場所をより自由に選ぶことができ、本体移動の負担も抑えることができます。しかし、本体の設置場所によっては、高い位置でボトルの交換作業を行わなければならないことがあります。また、本体がコンパクトである分、ボトルサイズも小さくなり、交換頻度が高くなる可能性があります。
導入メリット
ウォーターサーバーを導入しても、それほどメリットがないと思っていませんか?それは、ウォーターサーバーを「好きなときに水が飲める機器」程度にしか捉えていないからかもしれません。ウォーターサーバーには、以下のようなメリットがあり、私たちの暮らしを助けてくれます。
冷水と温水がすぐに使える
ウォーターサーバーは、冷水と温水がすぐに使えるので便利です。冷水の場合、冷蔵庫のドアを開閉したり、容器のフタを開閉する作業はなくなり、レバーやボタン一つで冷水を飲むことができます。温水の場合、ホットドリンクやインスタント食品のために、わざわざお湯をわかす必要がなくなります。
ボトルを玄関先まで届けてくれる
ウォーターサーバーを導入すれば、ボトルを玄関先まで配達してくれます。そのため、わざわざペットボトルの水をスーパーやコンビニに買いに行く必要がありません。「仕事が忙しくて買い物に行く時間がない」「アパートの2階まで重い水を持ち運ぶのが大変」という人でも、手軽に美味しい水を確保できます。
災害時でも水を確保できる
地震などの災害が起こると、断水などで水が供給されなくなるリスクがあります。ウォーターサーバーを導入すれば定期的に水が届くので、継続的な水の備蓄が可能です。消防庁によると、災害時に備えて一人当たり1日3L、最低3日分(9L)の水を備蓄しておくことが推奨されています。常にこの量をストックできるようにボトルを発注しておけば、万が一断水が起こった場合でも安心です。
あまり知られていない便利機能
ウォーターサーバーの機能をより細かく調べてみると、機種ごとにさまざまな機能や工夫が見られます。これらの機能や工夫はあまり知られていませんが、実はとても便利です。ウォーターサーバーを選ぶ際のポイントにもなりますので、チェックしておきましょう。
【本体下部へのボトルセッティング(下置きタイプ)】
本体の上部ではなく、下部に内蔵するような形でボトルをセットできる機種もあります。重たいボトルを持ち上げなくてもいいので、セッティングが楽です。
【ボトルスライド方式】
下置きタイプの中には、さらにセッティングが楽に行えるように、ボトルを専用のバスケットに入れ、片手でスライドインするだけでセットが完了する機種もあります。
【温度調節機能】
一般的な水温設定としては、「キンキンに冷えた冷水」、「やや冷たい常温水」、「飲みやすい熱さの温水」、「アツアツの熱湯」が定番です。しかし、機種によっては温度を細かく調節できる機能がついているものもあります。
【音声ガイダンス機能】
本体の動作状況やフィルターなどの交換部品が正しく交換できているかなどを、音声で分かりやすくガイドしてくれる機種もあります。
【ジョグダイヤル操作】
多機能化が進む中、直感的に操作が行えるように、ジョグダイヤルを採用している機種もあります。
【チャイルドロック機能】
子供が誤って操作しないよう(熱湯による火傷を防ぐなど)、二重にロックがかけられる機種もあります。
【LED照明】
出水口にLED照明がついている機種もあります。出水時に照明が点灯することで、暗い場所でも容器に注いだ水の量が見やすくなります。
【非常時出水用バルブの付属】
停電しても手動で出水できるよう、専用バルブを付属している機種もあります(常温水のみ対応)。
【密閉型ワンウェイボトル】
通常、使用後の空ボトルは置き場所にスペースをとりますが、中身がなくなると自動的にペシャンコになる使い捨てのボトルもあります。
【トレイ部分の拡大・可動】
トレイ部分に奥行きをもたせていたり、可動式になっている機種もあります。奥行きがあることで、重たいお釜や鍋を置いたまま注水することができます。また、可動式(高さ調整が可能)になっていることで、背の高い水筒も傾けずに置くことができ、水ハネも防げます。
ユニークで斬新な機能
ウォーターサーバーの中には、以下のようなユニークで斬新な機能を備えた機種もあります。
コーヒーマシン一体型ウォーターサーバー
ウォーターサーバーでコーヒーをつくることが多い人にとっては、まさに夢のような機器です。一体型のため、省スペースに置くことができ、水の補充の手間も減らすことができます。さらに、補充用のコーヒーは、水と一緒に注文することもできるため、大幅な時短になります。オフィスでの導入事例では、多くのビジネスパーソンから高い評価を得ているそうです。
炭酸水が作れるマルチサーバー
ボトル内の水(天然水やRO水など)を使って、炭酸水を作ることができるウォーターサーバーもあります[※]。作り方は機種ごとに異なりますが、一例としては以下のようなものがあります(Kirala Smart Serverの場合)。
①炭酸シェイカー(専用容器)に、ボトル内の冷たい水を入れる
②シェイカーをサーバーの所定位置にセットする
③炭酸ボタンを押し、シェイカー内にガスを注入する
④シェイカーを振り、炭酸の強度をお好みで調節したら完成
(例:3回ほど振ると微炭酸、20回ほど振ると強炭酸)
作った炭酸水にひと手間加えれば、レモンスカッシュやハイボールなども作れます。また、飲用のほか、コスメやヘッドスパ用に利用することもできるようです。
※. 別途、炭酸カートリッジの購入が必要になります。
ブランドとのコラボデザイン
ウォーターサーバーは家電の中でも比較的サイズが大きく、圧迫感があります。しかも、室内のさまざまな場所に設置されることが想定される家電ですので、機種選びで「外観デザイン(色・形)」にこだわることは重要です。
・プレーンでミニマルなデザイン
・ポップでかわいらしいデザイン
・天然木を使用した家具のようなデザイン
・クラシックで重厚感のあるデザイン など
さまざまなバリエーションがありますので、インテリアにあわせて選択するとよいでしょう。
一方、ウォーターサーバーの中には、人気ブランドとの合作(タイアップやコラボレーション)でつくられた機種もあります。生産台数や受注期間に制限があるものもあり、いつでも購入できるとは限りませんが、インテリアにプレミアム感やスペシャル感を出したい方にはオススメです。
ウォーターサーバーの問題点
ウォーターサーバーには、以下のような問題点が指摘されています。
【ボトル内で菌が繁殖する可能性】
水を使うと、ボトル内には空気が入ります。空気中には必ず菌がいるため、それらの菌がボトル内で繁殖する心配があるのです。また、長期間の使用によって、ボトルの取り付け口に菌やカビが繁殖した場合、そこからボトル内の水を汚染する可能性も指摘されています。
【ビスフェノールAが溶出する可能性】
多くのボトルでは、原料に「ポリカーボネート樹脂」を採用しています。ポリカーボネート樹脂は「ビスフェノールA(BPA)」[※1]が原料のため、水中にビスフェノールAが溶出する可能性が指摘されています。ウォーターサーバーの多くは、これらの問題点に対して十分な対策がなされていますが[※2]、機種によっては対策が不十分なものもあるかもしれませんので、購入前にメーカーサイトなどで確認をしておいた方がよいでしょう。
※1. 内分泌系(ホルモンを分泌して体の機能を調節する腺や器官の集まり)への影響が懸念されている物質。動物の胎児や子供を使った実験では、神経や行動、乳腺や前立腺への影響、思春期早発(年齢不相応の早い性成熟)等が認められたと報告されています。
※2. 空気浄化システムの搭載、本体内の自動熱水除菌システムの搭載、ボトル原料の変更など、メーカーによって様々な対策を行っています。
“自分に合った水のある暮らし”を選ぶ
近年、日常的な飲水が健康維持に欠かせない習慣のひとつとして、一般的に知られるようになりました。飲水習慣を継続させるためには、なにより手軽さが求められ、そのこともあってウォーターサーバーに着目している人が増えているのかもしれません。自宅や職場にウォーターサーバーを置く人もいれば、キッチンまわりで浄水器や整水器を使う人もいます。
どの方法も、きれいな水をすぐに飲めるという点では共通していますが、ライフスタイルや目的によって選び方は変わります。たとえば整水器のように、手軽にきれいな水を得られるだけでなく、「健康をサポートする水Ⓡ」として効果[※]が認められたものもあります。さらに、整水器で生成される電解水素水は抽出力にも優れており、だし取りやお茶、炊飯、アク抜きなど、日々の調理に幅広く活用できます。
飲むための水を選ぶとき、健康面や料理のしやすさといった視点も加えることで、“自分に合った水のある暮らし”が見つかるはずです。
※. 家庭用医療機器として承認されている整水器には、「胃腸症状の改善」が効果として認められています。
さいごに
近年、水道水のPFAS(ピーファス)汚染問題が、メディアなどでも取り上げられることが多くなりました。それに伴い、「きれいで安全な水」に対する人々の関心は、これまで以上に高まっています。ウォーターサーバーや浄水器、整水器に対して注目が集まっている背景には、こういった防衛心理も働いているようです。
水は私たちの生活を支えるものであると同時に、体の主要な構成要素でもあります。これから機器選びをされる方は、「生活面での利便性」だけを見て判断するのではなく、ぜひ「健康面への有益性」も一緒に考えていただければと思います。
- 監修者のご紹介 -
参考文献
「Q&A集」一般社団法人ミネラルウォーター協会
https://minekyo.net/publics/index/7/
「逆浸透膜浄水器(RO浄水器)」一般社団法人浄水器協会
http://www.jwpa.or.jp/ro/ro-what.html
「備えよう!いざという時の非常物品」東京消防庁
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-hino/anshin/sonae.html
株式会社コスモライフ「コスモウォーター|らくらくボトル交換」
https://www.cosmowater.com/commit/maintenance/
株式会社コスモライフ「コスモウォーター|便利なワンウェイ宅配システム」
https://www.cosmowater.com/commit/delivery-system/
株式会社コスモライフ「天然水の安全・衛生面への取り組み」
https://www.cosmowater.com/commit/safety/
プレミアムウォーター株式会社「グッドデザイン賞受賞の新ウォーターサーバー 『QuOL(キュオル)』が登場!」
https://premium-water.co.jp/news/20191001-950/
プレミアムウォーター株式会社「停電でもウォーターサーバーは使える?災害時の備蓄水としての活用!」
https://premium-water.net/feature/w20210512-2/
プレミアムウォーター株式会社「ウォーターサーバーのお手入れ方法」
https://premium-water.net/waterserver/maintenance/
株式会社ナック「クリクラ|ウォーターサーバーの仕組みとは?なぜお湯や冷水がすぐ出るの?温度についても解説!」
https://www.crecla.jp/article/ws_mechanism/
株式会社ナック「マルチサーバー クリクラShuwa」
https://www.crecla.jp/lineup/shuwa/
アクアクララ株式会社「アクアウィズ|コーヒーマシン搭載のウォーターサーバー」
https://www.aquaclara.co.jp/product/server/with/
アクアクララ株式会社「アクアウィズ(アクアクララ・ネスレ共同開発のコーヒーマシン一体型ウォーターサーバー)」
https://www.aquaclara.co.jp/with/
株式会社Kirala「《公式》炭酸水がつくれるウォーターサーバー 「キララウォーター スマートサーバー」」
https://www.kirala.jp/natural/
厚生労働省「ビスフェノールAについてのQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kigu/topics/080707-1.html
雑誌「特選街(2019年9月号)」マキノ出版 出版
雑誌「ESSE(2019年11月号)」扶桑社 出版
書籍「浄水器かしこい選び方・使い方」池裕次郎 著
