蒸留水とはどんな水?メリットや使い道、作り方、注意点を徹底解説
蒸留水という言葉を聞くと、「不純物がなくて体に良さそう」「病院や薬局で使われている水」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
一方で、純水や精製水との違いや、飲用に適しているのか、掃除や洗浄に使えるのかといった点について、よく知らない人も少なくありません。
蒸留水には便利な特性がある反面、注意すべき点もあります。
今回は、蒸留水の基本から活用法、注意点、作り方までをわかりやすく解説していきます。
蒸留水ってどんな水?

蒸留水は、水道水などの原水を沸騰させることで不純物や有機物を取り除き、その際に発生した水蒸気を再度冷やした水のことで、純水の一種です。
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目次
純水や精製水とは、何が違うの?
不純物を取り除いた水は、蒸留水だけではありません。純水や精製水と呼ばれるものもあります。みなさんは、この3つの違いがわかりますか?
純水とは不純物を含まない、またはほとんど含まない水の総称で、作り方や処理方法に決まりはありません。
精製水は水道水や地下水などの原水を、蒸留やろ過、イオン交換、逆浸透などの方法で精製処理を行い、不純物を取り除いた水の総称です。
蒸留水は精製方法のうち、蒸留処理のみを行った水を指します。
つまり、蒸留水も精製水も純水の一つであり、さらに言えば蒸留水は精製水の一種と言えるのです。
蒸留水は主に医療、科学分野で用いられる

蒸留水は純度の高さから、コンタクトレンズの洗浄や医薬品の希釈、科学実験など医学や科学の分野でも使用されています。身近なところでは、化粧水などスキンケア製品に含まれることもあります。
医薬品や洗浄液でも使用されるほどクリーンな蒸留水。飲んでも体に良さそうなイメージを抱きますが、口にしても問題はないのでしょうか?
蒸留水のメリットは?
蒸留水の主なメリットは、水質が一定であり、地域や季節による成分のバラつきが無いことです。
日本の水道水は、地域によって硬度や微量成分が異なりますが、蒸留水は外的要因に左右されにくく均一な状態を保ちます。そのため、デリケートな素材の洗浄や、水質の変化を避けたい用途において、非常に扱いやすい水だと言えます。
また、変質や腐敗の原因となる有機物をほとんど含まないため、密閉状態であれば長期保管しても水質が低下しにくい点も大きな特徴です。
余分な物質を含んでいないシンプルな性質だからこそ、他の物質と意図しない化学反応を起こすリスクが非常に低く、特定の用途において安定した成果をもたらしてくれます。
蒸留水はおいしくない?

水のおいしさは、適度なミネラル分によって感じられるもの。蒸留水はミネラルがすべて取り除かれているためコクがなく、ミネラルウォーターなどと比べるとおいしくない、物足りないと感じる方もいらっしゃるようです。
蒸留水をそのまま飲み続けるのは危険?
さまざまな成分を溶かす性質のことを「溶解性」と言いますが、蒸留水には不純物が含まれていないため溶解性が高く、医療や工業の現場で使われることもあります。そのような蒸留水を大量に飲み続けると、人体が持つミネラルやその他の成分を溶かして排出してしまうことがあり、場合によってはカルシウムや鉄、亜鉛などの必須栄養素であるミネラル類が不足してしまい、病気を引き起こす可能性もあります。
また、スーパーマーケットなどでは無料で持ち帰られる水や、長期保存できる非常用水がありますが、これらも純水の場合があるため注意しましょう。スーパーマーケットの純水はそのまま飲むのではなく、調理に使うのがおすすめです。非常用水も普段はなるべく飲まず、消費期限が迫っている場合は調理に使うほうが無難です。
加湿器に蒸留水を使うのはOK?

飲用にはあまり適さない蒸留水ですが、加湿器に使用するのはどうでしょうか? カルキが含まれていないため、加湿器に白いカルキ汚れがつかず、掃除も簡単そうですよね。でも実は、多くの家電メーカーは水道水以外の使用は推奨していません。
その理由は、塩素処理している水道水は雑菌が繁殖しにくいのに対し、塩素を含まない蒸留水などの純水やミネラルウォーターはカビや雑菌が繁殖しやすい環境になるためです。
蒸留水の家庭での使い道
蒸留水の「不純物を含まない」という特性は、ご家庭での日常使いにも役立ちます。
ここでは、ご家庭における蒸留水の便利な活用術をご紹介します。
窓や鏡の拭き掃除

窓ガラスや鏡を水拭きしたあと、乾くと白いウロコのような跡が残ることがあります。この跡の正体は、水道水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分です。
水分が蒸発すると、これらの成分が結晶として表面に残り、「スケール」と呼ばれる白い汚れになります。スケールは、水道水の硬度が高い地域ほど発生しやすく、ガラスや鏡の透明感を損なう原因になります。そこで役立つのが蒸留水です。
蒸留水にはミネラルなどの不純物がほとんど含まれていないため、乾燥しても結晶が残らず、白い跡がつきません。スプレーして拭き取るだけで、二度拭きの手間をかけずにクリアな仕上がりになります。窓や鏡など、透明感を保ちたい場所の掃除には、蒸留水が役立ちます。
観葉植物のケア

室内に飾る観葉植物のケアにも、蒸留水が適しています。
水道水で葉水を与え続けると、蒸発後にミネラル分が残り、葉の表面にスケールとして蓄積することがあります。すぐに大きな悪影響は受けませんが、ホコリが長期間葉を覆った場合には、日光がうまく受け取れずに光合成を妨げたり、気孔が塞がることで呼吸や蒸散も呼吸や蒸散がしにくくなったりすると言われています。そのため、スケールを放置した場合にも、似たようなことが起こることが懸念されます。
また、スケールが付着していると、葉の美しい緑色や自然なツヤが損なわれ、せっかくのインテリアとしての魅力が半減してしまいます。不純物を含まない蒸留水を使えば、白い跡を残さず葉を清潔に保ち、美しい見た目を長く楽しむことができるでしょう。
蒸留水は家庭で作ることができる?
蒸留水作りは難しそうに見えますが、実はご家庭にある鍋やボウルなどの身近な道具だけで簡単に実践できます。
その工程は非常にシンプルで、まるで小学校の理科の実験のようなワクワク感も楽しめます。また、この原理を理解しておけば、災害時などに安全な水を確保する手助けになるかもしれません。
まずは基礎知識として、自宅のキッチンでその工程を体験してみましょう。
蒸留水を作る際に必要な道具
ご家庭で蒸留水を作るために必要な道具は、以下のとおりです。
【深さのある鍋】
・目安として10cm以上の深さがあれば作りやすい
・ステンレス製、ホーロー製、どちらでも可
【耐熱容器】
・耐熱性のガラスボウルや陶器など
・鍋の内径より一回り小さいもの
【蒸し目皿】
・鍋の底に入れ、その上に耐熱容器を置くためのもの
・鍋底からの直火熱を防ぐためのもの(蒸留水の沸騰、蒸発を防止)
・百円ショップで購入可
【鍋の蓋】
・鍋の口を隙間なく塞げるもの
・裏返した際、中央に向かって傾斜ができる形状のもの
・なるべく中の様子が見えるガラス製のもの
・蒸気穴がある場合は、アルミテープ等で塞いでおく
【氷】
・冷却用として使用
・市販のロックアイス1kg、または製氷皿3〜4杯分が目安
【タオルや布巾】
・氷が溶けて水になったものを吸い取るために使用
【水道水】
・蒸留水の原料(原水)として使用
【耐熱手袋】
・やけど防止用として使用
蒸留水の作り方

自家製蒸留水は、以下の手順で作ることができます。
①鍋と容器のセッティング
・蒸し目皿を鍋の底に置き、水道水を入れる
・蒸し目皿がひたひたに浸る程度まで水を入れ、その上に耐熱容器を置く
【補足】
・水量の目安は「鍋底から3~4cm」ですが、蒸し目皿の高さに合わせて調整する必要があります。
・水量が多すぎると、容器が浮いて不安定になるため、容器がしっかりと安定して置ける水量にしてください。
・また、沸騰時にお湯が跳ねて容器に入らないよう、水量は容器の高さの半分以下に調整してください。
②蓋と氷を乗せて点火
・蓋を裏返しに乗せ、その上に氷を盛って点火
・沸騰後は「弱火~中火」にする
【補足】
・蓋を裏返しにすることで、取っ手部分に蒸留水が集まるため、蒸留水が溜めやすくなります。
・取っ手部分から蒸留水が滴り落ちることが不衛生に思われる場合は、取っ手部分を取り外し、蓋の裏側に付け替えるとよいでしょう。
・ただし、付け替え後に取っ手がぐらつく場合は、危険ですのでこの方法はやめてください。
・また、付け替え後に蓋と取っ手の間にすき間ができる場合は、アルミテープで塞いでください。
・沸騰後の火加減が強すぎると、蒸気圧で蓋が持ち上がり、蒸気が逃げてしまうので注意してください。
③冷却と水の回収
・蓋の上の氷が溶けてきたら、こまめにタオル等で水を吸い取り、新しい氷を追加して常に冷たい状態をキープする
【補足】
・水道水が沸騰すると、水蒸気になって上昇していきます。そして、氷で冷やされた蓋の裏(取っ手側)で結露し、水滴になって耐熱容器に落ちる(溜まる)という流れです。
④取り出し
・容器に水が溜まったら火を止める
・耐熱手袋を着用し、少し冷ましてから慎重に取り出す→完成
さいごに

蒸留水は不純物をほとんど含まない、とても純度の高い水です。
その特性を知っておくことで、家電のお手入れや掃除など、日常のさまざまな場面で上手に活用することができます。
一方で、飲用には向かない場合もあるため、正しい使い方を理解しておくことが大切です。「体に良さそう」というイメージだけで判断せず、特徴や注意点を踏まえながら取り入れていくことで、より安心して使うことができるでしょう。
- 監修者のご紹介 -
参考文献
精製水ONLINE「蒸留水とは?」
https://www.seiseisui.com/chiebukuro/purified-water/type/#i
クリクラ「そもそも精製水とは何?蒸留水や純水との違い」
https://www.crecla.jp/blog/2020/04/post-356.html
山神水道企業団「おいしい水の要件」
http://www.yamagami-suidou.or.jp/datafile/pdf/anzen/info.pdf
うるのん「ミネラルが不足しがちな生活だとどうなる?」
https://ulunom.tokai.jp/column/detail/61
うるのん「無料で持ち帰れるスーパーの水の安全性は?注意したい4つのポイント」
https://ulunom.tokai.jp/column/detail/208
うるのん「精製水と蒸留水の違いとは?どちらも同じもの?」
https://ulunom.tokai.jp/column/detail/209
うるのん「蒸留水は飲めるのか?危険性は?」
https://ulunom.tokai.jp/column/detail/212
ウォーターサーバー比較「純水は「体を壊す水」、続けて飲むと、体調を壊す【藤田紘一郎先生の水で健やかVOL.25】」
https://incorporationlive.com/column/fujita-column/water-by-which-deionized-water-makes-itself-ill/
Panasonic「【加湿空気清浄機】加湿方式と使用する水について」
https://jpn.faq.panasonic.com/app/answers/detail/a_id/15038/
兼松エンジニアリング株式会社「蒸留水とは?特徴や作り方を解説|注目の芳香蒸留水についても紹介」
https://kanematsu-mwextract.jp/archives/557
東京都水道局「水の硬度」
https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen/topic/02
動画「ハイポネックス ジャパン|葉が白く汚れないようにするためには【Life with Houseplant】2502-2」
https://www.youtube.com/watch?v=yIOkh-uKcKk
観葉植物の専門店 彩植健美「今日からすぐ出来る!観葉植物管理10の事」
https://www.saisyokukenbi.jp/blog/column/3702/
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