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粉吹き肌になってしまう原因と予防策について

表皮の角層細胞がめくれあがり、白く粉を吹いたような状態になる粉吹き肌。
「毎日シッカリと洗顔(洗体)をしているのに、なぜか肌の表面が粉っぽい・・・」
「美容液をぬって潤いを与えているのに、なぜか肌の表面が粉っぽい・・・」
清潔にしても、潤いを与えても、肌が粉っぽくなる人は、正しい「粉吹き肌」対策ができていないのかもしれません。
今回は「粉吹き肌」になる原因や、予防策などについて解説をしていきます。

肌の仕組み

粉吹き肌の原因や予防策をお話しする前に、まずは「肌の仕組み」について、少しだけ学んでおきましょう。

肌の構造は、大まかに説明すると「真皮」と「表皮」の二段重ねになっています。
位置関係は、真皮の上に表皮がある状態で、普段私たちが見ている肌(皮膚)は「表皮」です。
表皮は0.2mmほどの厚みを持っていて、その薄い膜の中には4つの層が存在しています。

・角層(かくそう)・・・角質層(かくしつそう)ともいう
・顆粒層(かりゅうそう)
・有棘層(ゆうきょくそう)
・基底層(きていそう)

このうち、真皮のすぐ上にあるのが基底層で[※1]、その上に有棘層、顆粒層、角層という順番で重なっています。
最も上層(外側)にある角層の厚さは0.02mmほどで、食品用ラップを「二枚重ね」したくらいの厚みしかありません。
しかし、この薄い層の中にもしっかりとした構造があり、その構造の断面イメージは、よく「レンガの壁」に例えられます。

【角層をレンガの壁で例えると…】
レンガの部分 ── 角層細胞(角質細胞ともいう)
目地の部分 ── 細胞間脂質

角層細胞は細胞間脂質をはさみながら、10~20ほどの層を形成しています。
通常、これらの配置には整列性があり、それこそ「レンガの壁」のように美しく並んで(重なって)います。

角層には、肌の健康状態を維持するための重要な役割があり、次の2つの機能をもっています。
保湿機能 ── 水分と柔軟性を保つ
バリア機能 ── 外的刺激要因(乾燥、刺激物質、アレルギー物質など)を防ぐ

角層の構成要素である角層細胞は、表皮の最下層にある基底層で生み出されます。
基底層では毎日新しい細胞(ケラチノサイト)が生み出され、その細胞が4週間ほどかけて角層にまで押し上げられ、そこで角層細胞となるのです(これを「角化」といいます)。

角層細胞は上記の役割を担い、2週間後には垢やフケとなって少しずつ自然にはがれ落ちます。

基底層で細胞が生まれ、
角層(角質層)にまで押し上げられ、
垢やフケになってはがれ落ちる。

この一連の代謝サイクルを「ターンオーバー[※2]」と言い、世間一般では「お肌の新陳代謝」などと呼ぶこともあります。

※1. 厳密には、真皮と表皮の間には「基底膜」が存在します。
※2. ターンオーバーの周期は、部位や年齢によって異なる場合があります。

粉吹き肌になってしまう原因

「粉吹き肌」とは、表皮の角層細胞がめくれあがり、白く粉を吹いたような状態になっている肌のこといいます。
この粉吹き肌は、一体何が原因で引き起こされるのでしょうか。

ここでは3つの主な原因について、解説していきたいと思います。

乾燥肌

角層には、通常、十分な水分や細胞間脂質(主にセラミド)が含まれおり、それによって細胞間脂質の整列性が保たれ、角層細胞も「規則的な並び」を維持することができています。
そして、この規則的な並びが維持されていることによって、上記で説明した「角層のバリア機能」が十分に発揮されることになるのです。

しかし、肌が乾燥して角層内の水分や細胞間脂質が減少してくると、規則的な並びが崩れ始めてバリア機能が弱まります。
バリア機能が弱まることによって、肌は外的刺激の影響を受けやすくなり、その結果、角層細胞の剥離が生じて肌が粉を吹いたような状態になってしまうのです。

ターンオーバーの乱れ

不規則な生活習慣などによってホルモンバランスが崩れると、ターンオーバーが乱れます。
ターンオーバーが乱れると、肌の代謝サイクルの周期が異常に遅くなったり、早くなったりします。
周期が遅くなると、古い角層細胞が肌の上からなかなかはがれ落ちなくなり、その結果、肌がゴワゴワと厚くなってしまうのです(これを「角質肥厚(かくしつひこう)」といいます)。

逆に周期が早くなると、基底層でつくられた細胞が、異常に速いスピードで角層へと押し上げられることになります。
急速に角層へ押し上げられた細胞は、正常な「角化」が行われないため、角層細胞としては未熟な状態です。
そういった未熟な角層細胞でつくられる肌(表皮)は、水分保持力が低く、外的刺激や乾燥にも弱いため、結果的に「粉吹き肌」に陥ってしまうのです。

誤ったスキンケア(肌の洗浄方法)

誤ったスキンケア(肌の洗浄方法)が、粉吹き肌を引き起こす原因になることもあります。 
特に「清潔感」を過剰に意識している人などは、以下のような方法で洗顔や洗体をしていることがあり、それらが粉吹き肌の原因となっていることもあるようです。
健康的なお肌作りのために肌を清潔に保つことは大切ですが、やり過ぎると角層を傷めて「バリア機能」が低下してしまうことになりますので、注意した方が良いでしょう。

・一日に何回も(頻繁に)肌を洗っている
・力を入れてゴシゴシと肌を洗っている
・40度以上のお湯で肌を洗っている
・水圧の高いシャワーを直接顔にあてて洗っている
・洗浄力の強い洗浄剤を使用している
・洗浄剤を直接肌につけてから泡立てている
・目の粗いナイロンタオルなどを使用して洗体している

粉吹き肌を放置すると…

仕事や家事などに追われている状況では、肌の健康状態は後回しにされがちです。
しかし、そのような状況が続くと、いつの間にか「後回し」が「ほったらかし」になることもあるのではないでしょうか。

粉吹き肌を放置すると、あなたの外見の印象が悪くなるだけではありません。
ニキビやひび割れといったお肌のトラブルを招くことにもなりますし、乾燥が進めばかゆみを生じることもあります。
また、かゆみに反応して掻いてしまうと、湿疹(皮膚炎)ができて、さらに強いかゆみを生じることもあるのです。

粉吹き状態にならない為に

粉吹き肌を予防するには、肌に対して「丁寧」かつ「こまめ」に接する必要があります。
そうすることで、お肌のトラブルが予防できるだけではなく、健康的な肌を手に入れることもできるでしょう。

以下の予防策を参考にして、継続的なお肌作りに取り組まれることをオススメします。

予防策①:基礎化粧品を使ってスキンケアをする

粉吹き肌を防ぐためには、「基礎化粧品」の活用も有効です。
まずは化粧水を使って肌に水分をたっぷりと補い、次に乳液やクリームを使って肌に油分を補います。 

化粧水を塗って肌がシットリすると、その状態に満足してしまい、乳液やクリームをつけない人もいるようです。
しかし、化粧水によって補われた水分はしばらくすると蒸散してしまいますので、その蒸散を防ぐためにも乳液やクリームなどでカバーする必要があるのです。

化粧水や乳液などを塗るベストなタイミングは、洗顔直後と入浴直後です。
具体的にはタオルで水分を拭き取った直後になります。
このタイミングは「最も乾燥しやすいタイミング」とも言えますので、時間を置かずにできるだけ早く塗るようにしましょう。
また、これらはできるだけ肌への刺激が少ない方法で塗るようにしましょう。

手の平を肌にこするようにして塗る→ ×
手でパンパンと叩きながら肌に塗る→ ×
手で優しく包み込み、軽く押さえながら塗る→ ○

予防策②:肌への刺激をできるだけ抑える

上項でも触れましたが、肌に強い刺激を与えると「バリア機能」を低下させてしまう可能性があります。
肌を洗浄する際には、刺激の少ない洗浄剤(洗顔料や石鹸、ボディーソープなど)を使用して、やさしく撫でるように洗いましょう。

また、使用する洗体タオル(ボディタオル)や洗顔パフも、できるだけ肌への刺激が少ないものを選ぶことが大切です。
最近では、蒟蒻から作られた「こんにゃくパフ」や「こんにゃくボディタオル」なども、お肌にやさしい洗浄グッズとして人気を集めています。  

予防策③:水分補給をする

水分補給をして、適切な体内水分量を保つことも粉吹き肌の予防につながります。

粉吹き肌の原因の一つである「乾燥肌」──。
この乾燥肌の原因は「空気の乾燥」だけではありません。
実は体内水分量(体水分量)の低下も、乾燥肌の原因になるのです。

※下記の記事では、「体内水分量と乾燥肌の関係性」について解説しています。
ぜひ参考にしてみて下さい。
【乾燥肌には水分補給!乾燥を防ぐ上手な水分補給の仕方とは】
 https://www.nihon-trim.co.jp/media/28407/

さいごに

近年では、男性も女性のようにスキンケアを行うのが一般的になりつつあります。
このような傾向は、異性に対するアピールが強まったというよりは、身だしなみやマナー、美意識の大切さが女性と同じくらいに浸透してきたことを表しているのかもしれません。

肌の状態を整えると「健康管理ができている人」、「細かな点にまで配慮ができる人」という印象を与えることができます。
ビジネスシーンにおいても、プライベートシーンにおいても、スキンケアは大切です。
まだスキンケアに関心を持てない人であっても、身だしなみやマナーの一環として捉えれば、スキンケアに対する見方も変わってくるのではないでしょうか。


参考文献

花王「スキンケアナビ - 表皮の構造と働き」

https://www.kao.com/jp/skincare/skin/structure-02/

花王「スキンケアナビ - 表皮の角化」

https://www.kao.com/jp/skincare/skin/work-01/

itwrap「「サランラップ」と「クレラップ」は、どう違う!?意外と知らないラップの基礎知識」

https://uf-polywrap.link/articles/XQWiI

資生堂「資生堂、角層細胞間脂質の新評価法を確立」

https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003142

資生堂「ワタシプラス|【知って、なるほど化粧品】どうして肌は乾燥するの?」

https://www.shiseido.co.jp/sw/beautyinfo/DB009095/

メディプラス乾燥予防研究所「乾燥で体が粉吹き状態になるのはなぜ?スキンケアでうるおい美肌へ」

https://mediplus-orders.jp/media/30kofukihada/

医肌研究所「肌が乾燥して「粉吹き肌」に!気になる原因と対策」

https://medical.shiseido.co.jp/ihada-lab/article/ih06.html