かかとがガサガサする原因とは?正しい足裏の角質ケア方法 | 水と健康の情報メディア|トリム・ミズラボ - 日本トリム

かかとがガサガサする原因とは?正しい足裏の角質ケア方法

気温が上がる春以降の季節には、ミュールやヒールサンダルを履いて、涼し気な装いを楽しみたくなります。
しかし、かかとがガサガサな状態だと人目が気になってしまい、靴下を履いたり、シューズを履いたり、と控えめな装いになりがちです。
たとえ素敵な洋服を持っていたとしても、足元の装いとのミスマッチから、着るのを諦めなければいけなくなることもあるかもしれません。

春夏シーズンを涼しくオシャレに楽しむためには、まずはかかとをきれいにしておく必要があります。
今回は、かかとがガサガサになってしまう原因と、足裏の角質ケアについて解説をしていきます。

かかと(足裏)の皮膚の特徴

かかとがガサガサになってしまう原因や、足裏の角質ケア方法について解説する前に、かかと(足裏)の皮膚の特徴を簡単に理解しておきましょう。

かかと(足裏)の皮膚の特徴は、大きく2つあります。
① もともと皮膚が厚く、角質肥厚にもなりやすい
② 皮脂腺がないので乾燥しやすい

それぞれについて、見ていきましょう。

もともと皮膚が厚く、角質肥厚にもなりやすい

体の表面を覆っている皮膚は、「表皮・真皮・皮下組織」の三層構造になっています。
このうち最も外側(表面)にある表皮の厚さは「平均約0.2mm」なのに対し、足裏の表皮は「約0.6mm」と三倍の厚みを持っています。
足裏は全体重を支えなくてはいけない部位ですので、もともと他の部位の皮膚よりも厚くなっているのです。

さらに足裏は、重いものを持ったときに受ける圧迫、歩行や走行による刺激、靴の中で生じる摩擦など、さまざまな刺激にも耐えなくてはいけません。そういった刺激から皮膚の内部を守るため、私たちの体は「古い角質」を利用して、足裏の皮膚をさらに分厚くしようとします。
通常であれば、古い角質はターンオーバー(皮膚の新陳代謝)によって剥がれ落ちます。
しかし、この古い角質を足裏に蓄積させることで皮膚を強固にして、足裏にかかる刺激を緩和させようとします。
この現象は「角質肥厚(かくしつひこう)」と呼ばれ、足裏の中でも特に刺激を受けやすい、かかとに多く見られます。

そして、この角質肥厚は「ガサガサかかと」の大きな要因としても知られています。

皮脂腺がないので乾燥しやすい

通常、皮膚は皮脂腺から分泌される「皮脂」によって皮脂膜を形成し、それによって皮膚の水分を保っています。
しかし、足裏には皮脂腺がないため、皮膚の内側に水分をとどめておくことができず、常に乾燥しやすい状態にあります。

また、足裏には皮脂腺の量とは対照的に、汗腺の量はたくさんあり、左右の足裏で1日にだいたいコップ一杯(200mL)の汗をかくと言われています。
そのため、足裏から水分がどんどん蒸発していって、皮膚の潤いが失われやすい状態にあるのです。
水分の蒸発を放置して、乾燥が進行してしまった皮膚も「ガサガサかかと」の大きな要因になります。

よくある角質トラブルと原因

上記のとおり、かかとの皮膚は厚く硬くなりやすく、乾燥もしやすい状態にあります。
そのまま放置しておくと、あかぎれを起こして、その部分に血がにじむこともあります。
さらに悪化した場合は、かかとがひび割れを起こして、歩くたびに痛みを感じることもあるのです。

適切なケアを行うためには、いくつかの原因を知っておく必要があるでしょう。
ガサガサかかとの原因は意外とたくさんの種類がありますので、それぞれについて学んでいきましょう。

空気の乾燥(冬場の外気)

冬になると空気が乾燥するため、全身の水分も失われがちです。
そのため、手や顔の乾燥をはじめ、かかとの乾燥も進んで、ガサガサ状態になることが多くあります。

上記でも説明しましたが、かかとの皮膚は、顔の皮膚のように皮脂腺から皮脂を分泌して水分調整することができないため、ガサガサが顕著に現れることになります。

手や顔をこまめに保湿ケアするのと同様に、かかともしっかりと保湿ケアをする必要があります。   

冷暖房機器による乾燥

冬場のヒーターやこたつ、ホットカーペット、床暖房などの使用によって、かかとの水分は失われていきます。

また、かかとの乾燥は夏場にも起きてしまうことがあります。
夏場は、室内で裸足になることが多く、また外出時にも裸足に近い履物を使用することが多いのではないでしょうか。そのような恰好で冷房の効いた室内や店内に長くいると、露出したかかとから水分が奪われ、乾燥してしまいます。
また、地面からの刺激が直接的にかかとへ伝わることも、ガサガサかかとの原因となります。  

刺激を受けやすい履物

ソールが硬い靴やソールが薄い靴、またインナーソールにイボ状の突起がたくさんついているものなどは、かかとへの刺激が大きくなるので、角質肥厚が起きやすくなります。たとえば、ハイヒールや学校で履くような上履き、健康サンダルなどが挙げられます。

また、サイズの大きい靴をブカブカの状態で履いていると、靴の中で足が動いて摩擦が生じます。
この摩擦も足裏への刺激になりますので、角質肥厚を招くことになります。
特にインナーソールがフラットなブーツと化繊タイツとの組み合わせコーデは、より一層、靴の中で足が滑ることになるため、極力控えた方が良いでしょう。    

重たいものの運搬

足裏やかかとは自分の体重を支えているため、毎日強い刺激を受けています。
ただ立っているだけでも大きな刺激を受けているわけですが、そこに「歩行による刺激」も加わることになります。
さらに、重たいものを持ちながら移動すると、刺激の大きさは相当なものになります。
たとえば、建設作業員の方や引っ越し業者の方などは、重たいものを運搬する機会が多いため、比較的、角質肥厚になりやすい傾向にあります。

また、「重たいものの運搬」という表現からは少しズレますが、妊婦の方や、小さなお子様を背負いながら家事をしているママさんなども、自分の体重以外の重さが加わるため、角質肥厚になりやすいと言えます。

ターンオーバーの遅れ

歳をとって代謝が低下してくると、皮膚の再生力が衰えて、ターンオーバーが遅れがちになります。
ターンオーバーが遅れると、古い角質もはがれにくくなり、かかとの皮膚は厚く硬くなっていきます。

また、若い人であっても、冷え性体質の人は血行不良で血液が末端にまで行きわたらず、それによってターンオーバーが遅れることがあります。この場合も、古い角質が蓄積して、かかとの皮膚は厚く硬くなっていきます。

かかとの水虫

「ガサガサかかと」は、水虫が原因となっていることもあります。
水虫とは、白癬(はくせん)という真菌が足の角質層に寄生して起こる感染性の皮膚疾患です。

足の水虫は、次の3つに分類されます。  
・趾間型(しかんがた)── 足指の間にできやすく、かゆみを伴う。いわゆる「じゅくじゅく水虫」。
・小水疱型(しょうすいほうがた)── 足の裏や縁などに小さな水疱として現れ、強烈なかゆみを伴う。  
・角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)── 足裏やかかとの角質が厚くなって乾燥する。かゆみはないが皮がむけたり、ひび割れすることがある。 

かかとでよく見られるのは「角質増殖型」で、かゆみがなく乾燥肌(ガサガサかかと)の症状と似ているため、治療せずにそのまま放置されることがよくあります。 

削りすぎ(過度のピーリング)

皮膚を削りすぎると、かかとのガサガサ状態がさらに悪化してしまいます。
皮膚を削り過ぎてしまう人の多くは、かかとのガサガサを一刻も早く除去しようとして、軽石などで力いっぱい皮膚を削ってしまう傾向があります。

上記でも説明したとおり、皮膚は強い刺激を受けると、その刺激から皮膚の内側を守るために、さらに皮膚を厚く硬くしようとします(角質肥厚)。
かかとをキレイにするための「自己流の角質ケア」が、実はガサガサかかとの「悪化原因」になっている、というケースは意外とよくあります。

足裏・かかとの角質ケア方法

上記のとおり、ガサガサかかとの原因にはいろいろなものがあります。
原因がいろいろあるということは、改善方法やケア方法も、それらに合わせたものでなければいけません。
もしも、いま取り組んでいるケア方法に改善効果が感じられない場合には、下記の方法を試されることをオススメします。

まずは皮膚科で水虫検査

ガサガサかかとの原因が水虫によるものなのか、それ以外のものなのかを確認しておく必要があります。
水虫が原因の場合はケア方法がまったく異なりますので、お門違いなケア方法を行ってしまう前に、皮膚科などに行って検査をしてもらって下さい。  

角質増殖型タイプの水虫に感染している場合、白癬菌が角質の奥深くにまで入り込んでいるため、根治するまでに数か月~数年かかってしまうこともあり、早めの受診が求められます。
水虫であるかどうかは、かかとの角質層を少し削って顕微鏡検査を行えば、わずか数分で分かります。
水虫治療の場合、一般的には塗り薬や飲み薬を使用しますが、詳しい方法は担当医にお尋ね下さい。

靴の見直し

足裏への負担が大きくなる靴や、かかとを露出させる靴を長時間履かないようにしましょう。
オシャレな靴はそういった靴が多いかもしれませんが、それらはここぞというときにとっておき、日常的に履くことは避けた方がよいでしょう。

日常的に履く靴は、かかとがカバーされていて、ソールが柔らかく、クッション性のあるものがオススメです。
特に、重たいものを運搬する仕事をしている人や、一日にたくさん歩くような人は、ソールにこだわることが重要です。
サイズが大きい靴を履いている人はインソールでサイズ調整をして、できるだけ摩擦を減らすようにするのがよいでしょう。

また、水虫予防の観点からは、毎日同じ靴を履き続けないようにしたり、白癬菌の温床となりやすいブーツ類の衛生管理などが求められます。 

血行をよくする

ターンオーバーが乱れないようにするためには、血行を良い状態に保つことが大切です。
定期的な運動やこまめな水分摂取を行い、血行を促進させましょう。 

食生活においては「肉、卵、乳製品、ジャンクフード」などのとり過ぎに注意し、代わりに「青魚、野菜、ワカメなどの海藻類」を、しっかり食べるようにすると血行の改善に役立ちます。

また、足裏をマッサージしたり、半身浴や足湯を行って体を温めることも有効です。

※下記の記事では、「血行不良を改善する方法」について詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてみて下さい。
【血行不良を防ぐには?原因や主な症状、予防について】
https://www.nihon-trim.co.jp/media/31436/ 

皮膚を傷めない角質ケア

かかとに蓄積された古い角質は、あかぎれやひび割れの原因になります。
また、雑菌や白癬菌の温床にもなりやすいので、適度に削ってオフする必要があります。 
ただし、やりすぎると「角質肥厚」が起き、逆効果となってしまいますので注意が必要です。

以下の手順を参考にして、「適度」な角質ケアを行いましょう。

①乾いた状態のかかとの角質を削る
・入浴後などのふやけた状態だと削り過ぎる危険性があるため、乾いた状態で削って下さい。
・軽石は目が粗く、削り過ぎてしまう危険性がありますので、できれば角質専用のやすり(フットファイルなど)を使って、角質を削るようにして下さい。
・「目の細かい面」と「目の粗い面」がある、両面タイプのやすりがオススメです。
・はじめは目の粗い面でこすり、仕上げに目の細かい面で整えて下さい。
・やすりがけは、力を入れずに一定方向に動かして下さい(往復がけはしないように)。
・かかとの外側から、かかとの中央に向かって放射状にかけると、皮膚へのストレスが軽減されます。
・一度に全部とろうとせず、何回かに分けて、様子を見ながら慎重に行うことがポイントです。
・2~3週間に1回程度が目安ですが、かかとの状態に合わせて、頻度を調節して下さい。         

②足を洗って入浴する(半身浴、足湯でもOK)
・入浴することで、血液やリンパの流れを促進します。
・温まり効果や保温効果をより大きくしたいのであれば、「黒酢足湯」もオススメです。      

③タオルドライした後、すぐに保湿クリームを塗る
・洗い上がりの足は、乾燥しやすい状態ですので、なるべく早く保湿クリームを塗って下さい。
・保湿効果のあるハンドクリームなどをかかとにすり込みます。
・症状に合わせて「尿素入りクリーム、ワセリン、ビタミンE入りクリームなど」を使い分けても良いでしょう[※]。

④マッサージをする
・マッサージは、かかとに柔軟性を与え、血行を促進します。
・保湿クリームをすり込みながらおこなうと効率的です。

⑤靴下を履く
・保湿クリームの有効成分が皮膚に浸透しやすくなります。

上記でも説明したとおり、ガサガサかかとは冬場だけでなく、夏場にも起こってしまうことがあります。
そのため、夏もきちんと角質ケア(保湿ケア)を行ってあげることが大切です。          

やすりを使ったピーリングが面倒くさいという方は、ケミカルピーリング(ピーリングパックなど)で角質ケアをする方法などもあります。

※. 皮膚に荒れやかゆみを感じる場合は、使用を中止して皮膚科を受診して下さい。

さいごに

血色のいい、ふっくらとしたかかとになると、ファッションを自由に楽しめるだけではなく、いろいろなイベントや活動にも積極的に取り組めるようになります。
例えば、友人宅へのお泊り会、温泉旅行(浴衣姿)、足ツボ、ヨガスクールなどなど──。

つまり、かかとを健康的な状態にするだけで、行動パターンや人との付き合い方も変わってくるわけです。
仮にそういったイベントに興味がない人であっても、ご自身のかかとがきれいな状態になると、きっと嬉しい気持ちになるはずです。
かかとがガサガサになっているだけで、行動やファッションが控えめになり、気持ちもくすんでしまうとしたら、もったいない話ですよね。
かかとをキレイにして、明るく楽しい毎日を送りましょう!


参考文献

eo健康「かかとのひび割れ・ガサガサを解消!美しいかかとを作る角質ケア方法」

https://eonet.jp/health/article/_4105086.html

アットダイム「1日に足の汗の量はコップ1杯分!すぐできる革靴の蒸れ、におい対策」

https://dime.jp/genre/474495/

興和株式会社「【医師監修】かかとがガサガサする原因、おすすめの角質ケア方法解説」

https://hc.kowa.co.jp/keratinamin/skin-problems-lab/kakato-gasagasa/

アンファー株式会社「最近ストッキングがかかとから伝線する」

https://www.angfa.jp/karada-aging/practice/body02/

アンファー株式会社「削っても削っても溜まる“かかとの角質” 今すぐできる、3つの角質ケア法!」

https://www.angfa.jp/karada-aging/practice/body13/

ココロートパーク「原因は乾燥?冷え?まさか水虫?目指せ!冬でもきれいな足裏&かかと」

https://coco.rohto.com/article/kiji/skincare/293/

大正製薬「冷えない体に 冷えと血行」

https://www.taisho-direct.jp/simages/m/contents/column/life/kekkoucold02/

日本皮膚科学会「ケミカルピーリング」

https://www.dermatol.or.jp/qa/qa25/index.html

書籍「「ガサガサかかと」が危ない!」高山かおる 著

書籍「市野式スーパーリフレクソロジー 足裏クリニック」市野さおり 著

雑誌「壮快(2020年2月号)」マキノ出版 出版