上手な疲労回復の方法は?毎日の生活で気を付けたいポイントを解説 | 水と健康の情報メディア|トリム・ミズラボ - 日本トリム


疲労回復を促す生活習慣│知っておきたい5つの基本

仕事や家事、育児、介護など、日々の生活で疲れを感じることはありませんか?

疲労が溜まると、QOL(生活の質)が低下するだけでなく、思わぬ事故や体調不良につながることもあります。疲労に対して私たちができることは大きく2つあります。それは「疲労の予防」と「疲労の回復(回復促進)」です。どちらか一方だけでは十分ではなく、まずは予防策を実践し、それでも溜まってしまった疲労はできるだけ早く回復させることが大切です。

今回は、このうち「疲労の回復」に焦点を当て、生活の中で実践できる方法をご紹介します。

食事による疲労回復

疲労が溜まった身体を回復へと導くためには、エネルギーの産生や細胞の修復を助ける栄養素をバランスよく摂ることが大切です。
ここでは、疲労回復に特に役立つ栄養素と、それを多く含む代表的な食材をまとめました。

【炭水化物(ごはん、パン、いも類など)】
・エネルギー不足による疲労を回復するために必要です。

【ビタミンB₁(豚肉、ウナギ、カツオ、大豆製品など)】
・糖質の代謝を助け、脳や神経の疲れにも効果的です。

【ビタミンB₂(生卵、レバー、納豆など)】
・脂質の代謝を助け、筋肉の回復をサポートします。

【ビタミンB₆(マグロ、鶏ささみ、バナナなど)】
・タンパク質(アミノ酸)の代謝を助け、筋肉の疲労回復に役立ちます。

【ビタミンC(パプリカ、ブロッコリー、キウイなど)】
・抗酸化作用によって細胞の損傷を防ぎ、免疫機能の維持にも貢献します。[※] 

【ビタミンE(アーモンド、アボカドなど)】
・活性酸素を除去し、体内の酸化ストレスを軽減します。

【カルシウム(小魚、乳製品など)】
・神経伝達を安定させ、疲労感を和らげます。

【鉄(あさり、ひじき、レバーなど)】
・ヘモグロビンの材料となり、全身に酸素を運ぶことで疲労回復を助けます。

【クエン酸(梅干し、レモン、酢など)】
・疲労物質(乳酸)の分解を助け、疲れを和らげます。

【イミダペプチド(鶏むね肉、マグロ、カツオなど)】
・細胞の酸化防止作用が高く、脳疲労にも効果的です。また、疲労の蓄積が多い部位の回復を優先的にサポートするという特徴があります。

これらは、他のさまざまな栄養素と相互に補完し合いながら効果を発揮します。そのため、特定の食材に偏らず、いろいろな食品を組み合わせてバランスよく摂ることが大切です。

※. 免疫力が低下すると、睡眠不足などからくる体の炎症が長引き、細胞の修復が遅れることで疲労感が残りやすくなります。

入浴による疲労回復

入浴には、疲労を効果的に回復させる働きがあります。
その理由は、主に次の通りです。

体が温まることで血流を促進
温熱効果によって血管が拡張し、酸素や栄養素が細胞に行き渡りやすくなります。それと同時に、老廃物や疲労物質(乳酸など)の排出もスムーズに行われるようになります。

水圧による静脈・リンパの還流(元へ戻る流れ)促進
湯船に浸かることで体に水圧がかかり、皮膚近くの血管が刺激されます。その結果、老廃物を含む静脈血やリンパ液が心臓に戻りやすくなり、むくみや疲労の軽減につながります。

浮力による筋肉や脳の緊張緩和
水中では浮力の作用により、体重が地上の約1/9にまで軽くなるため、筋肉や関節への負担が減少します。これにより、肉体的なこわばりや精神的な緊張が和らぎ、リラックスが促されます。

ぬるめのお湯による副交感神経の刺激
38~40℃程度のややぬるい湯温は副交感神経を優位にし、心身をリラックス状態に導きます。この働きは、精神的な疲労の回復にも効果的です。

温冷水を使った「交互浴」

近年、スタンフォード大学の研究では、「交互浴」が疲労回復をより高める方法として注目されています。

【方法】
① 10~15℃の冷水シャワーを1分間浴びる
② 37~38℃の浴槽に半身浴で30秒浸かる
③ 再び冷水シャワーを30秒浴びる
※温浴30秒・冷水30秒を1セットとして10回繰り返す
※最後に冷水シャワーを1分浴びて終了

【効果】
・血管の収縮と拡張が繰り返され、血流が促進される。
・温冷の刺激で自律神経が整い、ストレス性の中枢神経疲労が緩和される。

【注意点】
・高齢者や持病のある方は医師に相談してから行う。
・真冬など寒い時期は冷水シャワーの温度を調節し、無理のない範囲で行う。
・水分を多く消費するため、入浴前後にコップ1杯の水を飲む。
・10セット(約12分)を超えないこと。これを超えると疲労が逆に蓄積して脱水などのリスクが高まる。

上記を守り、正しい入浴法を実践することで、疲労回復を効果的にサポートできます。

睡眠による疲労回復

質の高い睡眠は、体だけでなく脳の疲労回復にも欠かせません。睡眠中には心身を修復するさまざまな働きが同時に進んでおり、これを理解して活用することで、効率的に疲労を回復させることができます。

特に重要なのが、睡眠中に分泌される成長ホルモンです。成長期だけでなく大人にとっても必要で、筋肉・皮膚・内臓などの損傷した組織を修復する役割を担っています。成長ホルモンは午後10時から午前2時に最も多く分泌されるとされ、この時間帯に熟睡できることが体の回復のポイントです。

また、脳の疲労回復にも睡眠は不可欠です。脳は起きている間、常に活動を続けており、神経細胞の修復や老廃物の除去は主に睡眠中に行われます。さらに、日中に蓄積された情報の整理や記憶の定着にも、睡眠が欠かせません。

睡眠の質を高めるポイント
睡眠で重要なのは時間だけでなく、「深さ」も含めた睡眠の質です。浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)のサイクルが規則正しく繰り返されることが、疲労回復に欠かせません。
長時間寝ても、浅い眠りが続いたり途中で覚醒すると疲労は十分にとれません。

睡眠の質を高めるためには、生活習慣の見直しが有効です。
・就寝前にスマホやテレビを控える
・アロマで心を落ち着ける
・寝る90分前までに交互浴を済ませる
・夕方以降はカフェインを摂らない
・自分に合った寝具を選ぶ
・朝起きたら日光を浴びて体内時計を整える

寝る前の「IAP呼吸法」  

スタンフォード大学が推奨するIAP呼吸法を就寝前に2〜3回行うと、副交感神経が優位になり、より深い睡眠に導かれるとされています。

【方法】
① 5秒かけて鼻から息を吸い、お腹をパンパンに膨らませる(肩は上げない)
② お腹を膨らませたまま、5〜7秒かけて口からゆっくり息を吐く
③ 吐ききったら一度お腹をゆるめる
※①〜③を2〜3回繰り返す

この呼吸法は、腹腔内の圧力を高め横隔膜をしっかり動かすことで、就寝中の体の回復機能がスムーズに働くといわれています。実際に、起床時の肩こりが軽くなったという声もあるようです。

【補足】
・IAPは「Intra Abdominal Pressure(腹腔内圧)」の略
・横隔膜は自律神経と関わりが深く、ゆっくり呼吸して横隔膜を動かすことで副交感神経が優位になるとされています。
・詳しいメカニズムは、山田知生氏の著書『スタンフォード式 疲れない体』を参考にしてください。

運動による疲労回復

疲労を感じたとき、安静にすることが回復の近道と思われがちですが、軽い運動によって血流を促すことも疲労回復につながる場合があります。例えば、軽めのジョギングや水泳などの有酸素運動を20〜30分行うことで、脳や筋肉に酸素や栄養が届き、蓄積した疲労物質が排出されやすくなります。

さらに適度な運動は睡眠の質の向上にも役立ちます。ストレスで交感神経が高ぶり入眠しにくい人も、軽い運動で一時的に交感神経を刺激することで、その反動として副交感神経が優位になり、入眠しやすくなる効果が期待できます。

運動前後の「動的回復法」

軽い運動による回復効果をさらに高めるために、スタンフォード大学が提唱する「動的回復法」があります。このメソッドは、運動前のビフォーリセットと、運動後のアフターリセットから構成されます。

【ビフォーリセット】
中枢神経を刺激し、姿勢のクセや体のズレを和らげます。これにより、体から脳へのフィードバックがスムーズになり、無理なく運動できます。

【アフターリセット】
運動後の収縮した筋肉をほぐし、身体をリラックス状態に導きます。交感神経から副交感神経への切り替えもスムーズになり、回復をサポートします。

  • 代表的なエクササイズ

ビフォーリセット

【前スキップ+その場スキップ】
前スキップ:スキップしながら前進 10歩
その場スキップ:上に高く跳ぶ 10歩

【重心ジャンプ】
床に10m程度のラインを引く
両足を揃えて「左・右・左・右」と交互にジャンプしながら進む(10回)

【ヒールアップ・ランニング】
左右のかかとを交互にお尻につけるように、ゆっくり10回ずつ走る

アフターリセット

【ハムストリング・リセット】
床に寝転がり、腰を浮かさず両足を5秒かけてゆっくり上げる
上げきった状態を5秒キープし、5秒かけて下ろす
これを10回行う

【ファー・リセット】
右膝を床につけ、左膝を90度に曲げる
左手を左膝外側に置き、右腕を高く上げる
左膝を開こうとしつつ左手で内側に押し返す
右腕は斜め上方向に伸ばす
左右それぞれ10秒ずつ行う

※運動の具体的な効果については、山田知生氏の著書『スタンフォード式 疲れない体』を参照してください。

毎日の水分摂取も大切

疲労回復のために毎日の水分補給が重要であることは、意外と知られていないかもしれません。
十分な水分を摂ることで血液循環が良くなり、栄養素や酸素が体の隅々まで届きやすくなります。また、疲労の原因となる老廃物も尿として排出されやすくなります。

成人が一日に必要とする水分量は約2.5ℓといわれ、そのうち飲み水から摂る量の目安は約1.2ℓです。
ポイントは常温水を少量ずつこまめに飲むこと。これによって体内の巡りがスムーズになり、疲労回復をサポートします。

疲労には大きく「脳(神経)の疲労」「筋肉の疲労」「内臓の疲労」の3種類があります。中でも、内臓の疲労(特に胃腸の不調)は、ストレスの感受性を高めたり、身体的な倦怠感に繋がる原因となります。胃腸の調子を整えるためには「腸活」が有効ですが、水分補給もその一環です。特に胃腸ケアを意識する場合は、胃腸症状改善の効果が認められた電解水素水の摂取がおすすめです。

さいごに

疲労は、ものごとに対する意欲や感動を削り取り、私たちの活動時間を短くします。言い換えれば、疲労は人生を楽しむうえで大きな障壁となるのです。

さらに、疲労は年齢とともに感じやすく、溜まりやすくなります。その理由は、私たちの身体能力や回復力が徐々に低下していくためです。こうしたことから、疲労マネジメントはライフワークの一つと言えるでしょう。

疲労を「不可抗力」として漠然と捉えるのではなく、「マネジメント可能なもの」として明確に捉えることで、これからの人生は大きく変わっていくはずです。「予防」と「回復」、この二つの視点を意識しながら積極的に取り組むことで、人生をより充実させましょう。

以下の記事では、「疲労の予防」について解説していますので、合わせて参考にしてみてください。
【疲労予防で毎日が変わる!生活の中で意識したい4つのポイント】
https://www.nihon-trim.co.jp/media/2569/


- 監修者のご紹介 -

参考文献

「疲労回復におすすめの方法を、毎日の疲れが取れないあなたに」POWER PRODUCTION Magazine 江崎グリコ株式会社

https://cp.glico.jp/powerpro/citric-acid/entry19/

「心身の疲労を解消しましょう」とうきょう健康ステーション

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kensui/rest/yasumu.html

「入浴によって得られる作用」日本浴用剤工業会

https://jbia.org/knowledge4.html

「有酸素運動とストレッチで疲労回復」大正製薬

https://brand.taisho.co.jp/contents/tsukare/detail_86.html

大正製薬「大正製薬ナビ|ビタミンB1とは?糖質をエネルギーに変え、元気をつくるビタミン」

https://www.taisho-kenko.com/special/vitamin-mineral/vitamin-b1/

大正製薬「鉄分を多く含む冬の野菜で、疲労と鉄不足を解消!」

https://brand.taisho.co.jp/contents/beauty/425/

株式会社 落水商店「ポイントは加熱時間!効果的に卵の栄養を摂る食べ方とは」

https://www.taiyouran.com/update/health/1696.html?srsltid=AfmBOoqu1JZ4jB7TaJc59i4dNkq6z7OL6MZdN2aAK2kALlEprJ9yOoNX

エターナルフィット厚別「筋トレや減量にビタミンB2が欠かせない理由と摂取量の目安」

https://eternalfit.atsubetsu.nolabo.co.jp/?p=3152

森永製菓「鶏ささみレシピ特集。サラダからメインまで簡単メニューを紹介!」

https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=131&category=muscle

アストリション「スポーツとビタミンの関係|筋肉痛も回復できる?」

https://athtrition.com/170322/

大塚製薬「栄養素カレッジ|ビタミンC」

https://www.otsuka.co.jp/college/nutrients/vitamin-c.html

ユビー病気のQ&A「低カルシウム血症の場合、疲れやすくなるのはなぜですか?」

https://ubie.app/byoki_qa/clinical-questions/n_zsaausgy

イミダペプチド公式通販チャンネル「イミダペプチド(イミダゾールジペプチド)とは」

https://imida.jp/imida.html?cats_not_organic=true

花王株式会社「お風呂のコツはお湯の「温度」にあり!おすすめの温度設定を紹介」

https://www.kao.co.jp/health-care/bath/004/

Backyard Escapism「The Science Behind Sauna Use and Cold Water Exposure: Contrast Therapy Insights from Andrew Huberman」

https://backyardescapism.com/blogs/the-escapist/the-science-behind-sauna-use-and-cold-water-exposure-insights-from-andrew-huberman

書籍「スタンフォード式 疲れない体」山田知生 著