やさしい洗顔で美肌づくり│肌本来の力を引き出そう!

「毎日洗顔しているのに、肌の調子がなぜか整わない」
「きちんとケアしているはずなのに、吹き出物や乾燥が絶えない」
そんな悩みを感じたことはありませんか?
もしかすると、その原因は“洗顔方法”にあるかもしれません。洗顔は、すべてのスキンケアの土台であり出発点です。
今回は、洗顔の基礎知識や肌にやさしい洗顔方法などについて解説していきます。
目次
洗顔の重要性
私たちの顔の肌は、一日中さまざまな汚れにさらされています。
朝目覚めた瞬間から皮脂や汗の分泌が始まり、外出すれば花粉、ほこり、排気ガスなど大気中の微細な粒子が肌に付着します。
さらに、メイクをしていれば化粧品の成分が残り、触れた手からも雑菌や皮脂が移ってしまいます。
室内にいても、エアコンの風で舞い上がるハウスダストや、調理中に飛ぶ油分などが肌に付着するのです。
こうした汚れを落とさずにいると、清潔感を損なうだけでなく、毛穴が詰まってニキビの原因となったり、古い角質と混ざり合って、肌のくすみを引き起こしたりします。
また、肌に細菌が付着した状態で傷ができると、毛嚢炎(もうのうえん)などの感染症を起こし、痛みを伴うこともあります。
さらに、汚れや皮脂、古い角質が過剰にたまると、肌のターンオーバー[※]にも影響を及ぼし、本来のハリや透明感が失われてしまいます。
こうしたトラブルを防ぐのが洗顔です。
洗顔には、清潔感を与え、肌トラブルや感染症のリスクを減らし、肌の持つ本来の美しさを保つ役割があります。
また、適切な洗顔を行うことで、その後に使う化粧水や乳液の浸透も良くなるため、スキンケア全体の効果を高めることにもつながります。
※. 肌の細胞が新しく生まれ変わるしくみのこと
肌を守る二重のバリア
肌のバリア機能は、大きく「角質層」と「皮脂膜」という2つの要素から構成されています。この二重のバリア機能によって、私たちの肌は汚れや刺激から、ある程度守られています。
この2つは、スキンケアやコスメの話題において、とても有名なキーワードなのですが、はじめて聞く人からすると、まったくイメージが持てないと思いますので、簡単に説明をしていきましょう。
角質層(かくしつそう)
角質層は皮膚の一番外側にある層で、厚さは約0.02mmしかありません。この薄い層の中に、たくさんの角質細胞が積み重なっていて、その隙間には、うるおい成分が埋まっています。この構造は「レンガ造りの壁」にそっくりで、イメージ例として、よく用いられます。
レンガ・・・角質細胞
レンガの間に埋められているモルタル・・・うるおい成分
うるおい成分というのは、セラミドなどでできた「細胞間脂質」や、アミノ酸などでできた「NMF(天然保湿因子)」のことを指し、その名の通り「うるおいを保つ(水分を保持する)成分」です。
健康な角質層では、角質細胞とうるおい成分がギュッと密に集まっていて、角質層のさらに内側にある「表皮細胞」や「真皮」を、物理的な刺激から守っています。
また、液体の浸入に関しては、かなり強いバリア力があり、水1滴ですら奥へ通過させることはありません。
皮脂膜(ひしまく)
皮脂膜とは角質層の外側にある「アブラの膜」のことで、毛穴から出る皮脂(アブラ)と汗腺から出る汗(水分)が混ざり合ってできています。皮脂膜は、肌の表面を薄くコーティングするように覆っていて、以下のような役割を果たしています。
・物理的刺激や外的環境(風、紫外線、ほこりなど)から角質層を保護
・肌の水分蒸発を防ぎ、うるおいを保つ
・弱酸性を保ち、雑菌の繁殖を抑える
また、皮脂膜の上には「常在菌」と呼ばれるさまざまな菌がすみついていて、これらのうち、いくつかの菌は肌のバリア機能に一役買っているため、その意味でも皮脂膜の存在は大切といえます。
間違った洗顔による悪影響
熱いお湯でゴシゴシとこするように行う洗顔は、間違った洗顔の典型です。
このような洗顔を行うと、肌のバリア機能が破壊され、深刻な肌トラブルを招きかねません。
では、具体的にどのような点が問題なのでしょうか?
熱いお湯の使用について
熱いお湯は汚れを落とす力が強いため、その点においては有用といえます。しかし同時に、肌を守るために必要な皮脂膜まで洗い流してしまう点が大きな問題です。
皮脂膜が失われた肌は外部刺激に対して無防備な状態となり、水分の蒸発も激しくなります。その結果、乾燥が進んで、さまざまな肌トラブルを引き起こしてしまうのです。
ゴシゴシ洗いについて
ゴシゴシとこするような洗いは、繊細な皮膚の表面に強い物理的刺激を与えてしまうことが問題です。これにより、角質層の構造が乱れ、細胞間脂質やNMFといった貴重なうるおい成分が流出してしまいます。また、この摩擦による刺激は、最終的に肌の炎症反応を引き起こし、赤みやヒリヒリ感の原因にもなるのです。
つまり、「熱いお湯+ゴシゴシ洗い」は、大切な皮脂膜と角質層の両方を破壊するダブルパンチとなります。このことを知らずに間違った洗顔を続けていると、肌の老化は加速度的に進行してしまいます。
洗顔の基本ステップ
肌のバリア機能を守りながら汚れを効果的に落とすには、いくつかの重要なポイントがあります。
以下のステップを参考にして、肌にやさしい洗顔を実践してみてください。
タオルの準備と手洗い
正しい洗顔を行うには、準備段階から気を配る必要があります。
まずは、柔らかくて清潔なタオルを用意しましょう(ゴワゴワに硬くなったタオルでは、肌に刺激を与えてしまいます)。
次に、手をしっかり洗って清潔にしてください。手洗いは、意外と見落とされがちですが、実はとても大事な工程です。手には目に見えない雑菌やほこりが付着しており、そのまま洗顔すると顔に広がって肌荒れの原因になります。まずはハンドソープで手を洗い、清潔な状態で洗顔をスタートさせましょう。
水温の設定
洗顔に使用する水は、入浴時に使用するような熱いお湯は避け、常温水を使用するようにしましょう。
ただし、冬場の常温水は冷たすぎて洗顔がしづらいと思いますので、その場合は少しだけ温めても構いません。どれくらい温めればよいかの判断は、「夏場の常温水の温度」を目安にします。手で触ってみて、「冷たくはない」または「洗顔に使用しても辛くはない」と感じられる程度の水温が適温です。
一方、「ぬるい」または「温かくて気持ちいい」と感じられる水温は、洗顔に使用する水としては温めすぎです。冷たい水を足すなどして、水温を調整してから使用するようにしましょう。
洗顔の実践
基本的に洗顔料は使用せず、手のひらに水をため、その水をやさしく顔にあてて洗顔します。重要なのは、手のひらが直接肌に触れないようにすることです。ちゃぷちゃぷと手の中にためたお水を、下からかぶせるようにして洗ってください。
これだけで通常の汚れは十分に落とせますが、なんとなく心もとないと感じられる方もいるかもしれません。そういった方には、水の膜を使ってやさしく洗顔ができる「こんにゃくパフ」がおすすめです。
こんにゃくパフは、アトピー性皮膚炎を患っている方の洗顔や、ニキビ肌に悩まれている方の洗顔、そして赤ちゃんの肌洗いなどにも適している洗顔アイテムです。価格は600~800円ほどで、安いものだと100円ショップでも売っていますので、一度試してみてもよいでしょう。
洗顔料を使用する場合
皮脂のテカリや汚れがかなり目立つ場合には、洗顔料を使用しても構いません。その際は、洗顔料を十分に泡立てて、Tゾーンや汚れのある部分だけをやさしく洗うことがポイントです。そして、この場合も手のひらを肌に直接つけて洗うのは厳禁です。泡だけを肌につけ、その泡をゆらすようにして洗ってください。
また、肌のざらつきがひどい場合にも、洗顔料を使用しても構いませんが、スクラブ入り(細かなツブツブ入り)の洗顔料で物理的にざらつきをとろうとするのは、おすすめできません。ざらつきを解消するには、保湿をしっかりと行うことが大切です。角質層を十分に潤せばターンオーバーが正常になり、不要な角質もたまりにくくなります。その結果、ざらつきは徐々に解消されていくでしょう。
タオルドライ
洗顔後のスキンケアと言えば、化粧水などが挙げられますが、実はタオルドライもスキンケアと並ぶくらいに重要です。
使用するタオルは、なるべく柔らかいものを選び、それをやさしく押し当てるようにして、手早く水分を拭きとっていきましょう。
タオルドライを雑に行うと(タオルをこすりつけるようにしてふき取ると)、やさしく洗顔した効果がなくなってしまいますので、注意してください。
化粧水&乳液(クリーム)
タオルドライをしたら、すぐに化粧水を塗り、さらにその上から乳液やクリームを塗ってください。
洗顔直後の肌は、洗顔前の肌と比較すると、バリア機能が弱まりますので、その分だけ水分が蒸発しやすくなっています。そのため、タオルドライの後は、のんびり鏡を見つめて肌の状態を確認するのではなく、すぐに化粧水や乳液などで塗って、保湿を行ってください。
メイクを落とす場合
メイク落としの際にも、肌にやさしいアプローチを心がけることが大切です。
たとえば、肌にやさしいクレンジング方法として、水で湿らせたコットンにスクワラン100%の保湿オイルを3~5滴たらしてクレンジングする方法もあります[※]。このオイルを垂らしたコットンを、そっと肌の上にすべらせるだけで、メイク料は浮き上がってきます。これを顔全体に行って、まんべんなくオイルをなじませたら、通常の洗顔と同様に、常温水でちゃぷちゃぷと洗顔をしてください。
一般的なメイクであれば、夜のクレンジングと洗顔は、これだけで十分です。
※. 事前にパッチテストを行い、肌に異常が見られる場合は使用しないでください。
腸活も大切
美しい肌を目指すなら、洗顔だけでなく、腸内環境を整えること(腸活)も重要です。主な理由としては、以下の点が挙げられます。
老廃物や毒素の排出がスムーズになるため
腸内環境が乱れると、便秘に陥りやすくなります。便秘になると、腸内にある内容物の腐敗が進み、そこから毒素がうみだされます。その毒素は血液を通じて全身を巡り、肌荒れを引き起こすことがあるのです。
しかし、腸内環境が整っていると、便秘が予防されるため、老廃物や毒素の排出がスムーズになり、肌トラブルの原因が減少していきます。
免疫力が高まり炎症を抑えられるため
腸には免疫細胞の約70%が集中しており、腸内環境が整うと免疫機能が安定します。これにより、ニキビや肌荒れなどの炎症性トラブルが軽減していきます。
ホルモンバランスが整いやすくなるため
腸内環境が乱れると、ストレスホルモンの分泌が過剰になったり、女性ホルモンの分泌バランスが崩れることがあります。これらのホルモン異常は肌に悪影響を与えますが、腸内環境を整えることでホルモンバランスが整い、結果的に肌への悪影響を軽減することができます。
水分・栄養の吸収力が高まるため
腸が健康であれば、食事からの水分や栄養素の吸収がスムーズになり、肌に必要な栄養も届きやすくなります。その結果として、うるおいのある肌を維持しやすくなるのです。
このように、腸内環境と肌の健康は深く関連しているため、正しい洗顔とあわせて腸活を実践することで、より効果的な美肌ケアが可能になるでしょう。
さいごに
洗顔や腸活について解説してきましたが、美しい肌を維持するためにはもう一つ重要な要素があります。それは、適切な水分補給です。
肌の水分は、体の内側からあがってくるものです。どれだけ外側から化粧水や乳液でケアをしても、体内が水分不足の状態では、肌のうるおいを保つことはできません。
やさしい洗顔、腸活、水分補給の三つを意識して、うるおいのある健やかな肌を目指しましょう。
以下の記事では、乾燥を防ぐ上手な水分補給の仕方について解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
【乾燥肌には水分補給!乾燥を防ぐ上手な水分補給の仕方とは】
https://www.nihon-trim.co.jp/media/28407/
- 監修者のご紹介 -
参考文献
吉木伸子著『いちばん正しいスキンケアの教科書 吉木メソッドで美肌になる!』西東社
「酸性イオン水について」アルカリイオン整水器協議会
https://www.3aaa.gr.jp/faq.html#qa9
レーザースキンクリニック「クリニック直伝!脱毛後の肌荒れ、毛嚢炎を防ぐ方法」
https://www.laserskinclinic.jp/column/p1820/
さくらクリニックながれやま「皮膚のメカニズム」
https://sakura-clinic-nagareyama.jp/skin/
サンスター株式会社「Club Sunstar|肌の乾燥に大きくかかわる「角質層」の厚さはどれくらい?」
https://www.club-sunstar.jp/article/column/baby/2427/
株式会社リツメイ・コーポレーション「こだわり商品研究所|【皮脂を補うスキンケア】皮脂とは?皮脂について考えてみました」
https://www.kodawari-lab.com/labo/hishi.html
東京医療保健大学「皮膚の常在細菌について」
https://www.thcu.ac.jp/research/column/detail.html?id=110
一般社団法人 皮膚臨床技術研究会「医師向け教科書【理論編】」
https://jstcd.or.jp/textbook_01/#c3_1
大正製薬「腸活ナビ|更年期のイライラ…腸内細菌の働きで改善!?」
https://brand.taisho.co.jp/contents/chokatsu/047/
書籍「水だけ洗顔で、一生美肌!」平田雅子 著
