健康寿命ってどんなもの?寿命との違い、健康寿命をのばす方法
目次
健康寿命とは
「健康寿命」とは、WHOによって提唱された指標のひとつで、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことを指します。
具体的に言うと、「寿命」から「寝たきりになったり介護が必要になる期間」を差し引いたものです。
寿命 | |
健康寿命 | 要介護期間 |
長寿大国と言われる日本ですが、寿命が長いことと健康であることは必ずしも一致しません。寿命と健康寿命の差が大きくなれば、本人にとってはもちろん、介護をする人にとっても負担が大きくなります。そのため、より健康的に生きられる期間、すなわち健康寿命をのばすことが大切だと考えられているのです。
この記事では平均寿命と健康寿命の差や、地域別でみた比較、さらに健康寿命をのばす方法について詳しく解説していきます。
平均寿命と健康寿命の推移
日本人の平均寿命と健康寿命の推移は次のとおりです。年次からみた変化や、寿命と健康寿命の差についても着目してみましょう。
性別 | 年次 | 平均寿命 | 健康寿命 (日常生活に制限のない期間) |
平均寿命と健康寿命との差 (日常生活に制限のある期間) |
男性 | 2010年 | 79.55 | 70.42 | 9.13 |
2013年 | 80.21 | 71.19 | 9.01 | |
2016年 | 80.98 | 72.14 | 8.84 | |
2019年 | 81.41 | 72.68 | 8.73 | |
女性 | 2010年 | 86.30 | 73.62 | 12.68 |
2013年 | 86.61 | 74.21 | 12.40 | |
2016年 | 87.14 | 74.79 | 12.34 | |
2019年 | 87.45 | 75.38 | 12.06 |
引用:厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」p.2 健康寿命の推移
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000872952.pdf
年次で比較してみると、男性・女性ともに健康寿命はのびています。また、平均寿命との差も減少傾向が見られます。ただし、平均寿命と健康寿命との差はまだ10年ほどあります。この期間は日常生活に何らかの制限がある状態で過ごさなければならないことを考えると、まだまだその差は大きいと言えるのではないでしょうか。
なぜ健康寿命が重要なの?
日本は世界有数の長寿大国として知られてきた一方で、高齢者の介護や医療の問題がしばしば大きく取り上げられてきました。寝たきりや介護が必要な状態になれば、本人にとってはもちろん、家族や周りの人にとっての負担も大きくなります。肉体的な面だけではなく、医療費や介護費用の面での影響も重大です。
平均寿命と健康寿命の差を縮めることができれば、健康で生きられる期間が長くなり、本人はもちろん家族にとっても負担を小さくすることができます。また、高齢者の医療費を減らすことは国にとっても重要な課題です。そのため、厚生労働省が推進する「健康日本21(第二次)」では、健康寿命延伸のためにさまざまな取り組みが進められています。
都道府県別でみた健康格差
「健康日本21」では健康寿命の延伸とともに、地域による“健康格差の縮小”も目標のひとつとしています。
では、国内における健康格差とはどのくらいなのでしょうか?
都道府県別にみた2019年の「健康寿命」(日常生活に制限のない期間)と、「日常生活に制限のある期間」から比較してみましょう。
順位 | 都道府県 | 男性 | 都道府県 | 女性 | ||
健康寿命 | 日常生活に 制限のある期間 |
健康寿命 | 日常生活に 制限のある期間 |
|||
1 | 大分 | 73.72 | 8.24 | 三重 | 77.58 | 10.04 |
2 | 山梨 | 73.57 | 7.78 | 山梨 | 76.74 | 10.79 |
3 | 埼玉 | 73.48 | 8.02 | 宮崎 | 76.71 | 10.91 |
4 | 滋賀 | 73.46 | 9.20 | 大分 | 76.60 | 11.22 |
5 | 静岡 | 73.45 | 7.96 | 静岡 | 76.58 | 10.66 |
6 | 群馬 | 73.41 | 7.78 | 島根 | 76.42 | 11.57 |
7 | 鹿児島 | 73.40 | 7.21 | 栃木 | 76.36 | 10.03 |
8 | 山口 | 73.31 | 7.64 | 高知 | 76.32 | 11.04 |
9 | 宮崎 | 73.30 | 7.95 | 鹿児島 | 76.23 | 10.85 |
10 | 福井 | 73.20 | 8.60 | 富山 | 76.18 | 11.65 |
11 | 神奈川 | 73.15 | 8.92 | 岐阜 | 76.18 | 10.96 |
12 | 石川 | 73.08 | 8.71 | 愛知 | 76.09 | 11.35 |
13 | 岐阜 | 73.08 | 8.49 | 青森 | 76.05 | 10.12 |
14 | 東京 | 72.94 | 8.94 | 岡山 | 76.04 | 12.13 |
15 | 佐賀 | 72.94 | 8.40 | 秋田 | 76.00 | 10.59 |
16 | 三重 | 72.90 | 8.64 | 石川 | 75.90 | 11.89 |
17 | 宮城 | 72.90 | 8.52 | 群馬 | 75.80 | 11.01 |
18 | 愛知 | 72.85 | 8.92 | 茨城 | 75.80 | 10.72 |
19 | 京都 | 72.71 | 9.57 | 福井 | 75.74 | 11.81 |
20 | 広島 | 72.71 | 8.98 | 埼玉 | 75.73 | 11.67 |
21 | 富山 | 72.71 | 8.84 | 千葉 | 75.71 | 11.73 |
22 | 茨城 | 72.71 | 7.91 | 新潟 | 75.68 | 11.47 |
23 | 奈良 | 72.70 | 9.60 | 山形 | 75.67 | 11.55 |
24 | 山形 | 72.65 | 8.37 | 熊本 | 75.59 | 12.28 |
25 | 栃木 | 72.62 | 8.17 | 沖縄 | 75.51 | 12.43 |
26 | 千葉 | 72.61 | 8.93 | 兵庫 | 75.50 | 12.36 |
27 | 新潟 | 72.61 | 8.35 | 佐賀 | 75.47 | 12.00 |
28 | 秋田 | 72.61 | 7.79 | 香川 | 75.47 | 11.79 |
29 | 島根 | 72.59 | 8.85 | 長崎 | 75.42 | 11.90 |
30 | 長野 | 72.55 | 9.92 | 福島 | 75.37 | 11.19 |
31 | 兵庫 | 72.48 | 9.39 | 和歌山 | 75.33 | 11.62 |
32 | 和歌山 | 72.39 | 8.26 | 山口 | 75.33 | 11.55 |
33 | 香川 | 72.34 | 9.45 | 福岡 | 75.19 | 12.28 |
34 | 長崎 | 72.29 | 8.69 | 宮城 | 75.10 | 12.42 |
35 | 岡山 | 72.28 | 9.49 | 北海道 | 75.03 | 12.13 |
36 | 福島 | 72.28 | 8.21 | 徳島 | 75.03 | 12.00 |
37 | 熊本 | 72.24 | 9.51 | 長野 | 74.99 | 12.86 |
38 | 福岡 | 72.22 | 9.02 | 神奈川 | 74.97 | 12.91 |
39 | 徳島 | 72.13 | 9.35 | 奈良 | 74.95 | 12.97 |
40 | 沖縄 | 72.11 | 8.64 | 大阪 | 74.78 | 12.70 |
41 | 大阪 | 71.88 | 9.10 | 鳥取 | 74.74 | 12.02 |
42 | 青森 | 71.73 | 7.13 | 岩手 | 74.69 | 11.89 |
43 | 高知 | 71.63 | 8.84 | 広島 | 74.59 | 13.17 |
44 | 北海道 | 71.60 | 9.23 | 愛媛 | 74.58 | 12.45 |
45 | 鳥取 | 71.58 | 9.54 | 東京 | 74.55 | 13.51 |
46 | 愛媛 | 71.50 | 9.33 | 滋賀 | 74.44 | 13.61 |
47 | 岩手 | 71.39 | 8.65 | 京都 | 73.68 | 14.34 |
引用:厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」pp.11-14 日常生活に制限のない期間の平均、日常生活に制限のある期間の平均
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000872952.pdf
上記の表から「健康寿命」を見てみると、1位と47位では「男性で2.3年」、「女性で3.9年」もの差があります。これは、地域による生活習慣や食文化の違いだけでなく、医療・福祉など社会環境の格差によるもので、この社会環境の整備には地域が一体となって取り組むべき課題であると言えます。
次に「日常生活に制限のある期間」を見てみると、都道府県ランキングで健康寿命1位の大分県(男性)でも8.24年、三重県(女性)では10.04年もの期間において日常生活に支障があります。健康寿命が全国的に上位でも、寝たきりや要介護などの期間が長ければ、それだけ医療費や介護費の増加による家計への負担は大きく、良い状態とは言えません。
重要なのは、生涯で如何にして自立した生活を長く送れるかということです。
健康寿命をのばす方法は?
ここまで健康寿命と平均寿命の差や重要性についてみてきました。
では、健康寿命をのばすためにはどのような点に気を付けたらよいのでしょうか。健康は一朝一夕で手に入れられるものではありません。日々健康を意識して生活習慣を工夫することが、健康寿命をのばすことに繋がります。ここでは、厚生労働省が「健康寿命をのばしましょう」をスローガンとして推進する国民運動「スマート・ライフ・プロジェクト」などをもとに、毎日の生活に取り入れたい習慣や、自分の健康状態を知ることの重要性について確認します。
運動習慣を取り入れよう
運動が生活習慣病の予防に役立つということはよく知られています。運動と聞くと筋トレや激しいスポーツなどをイメージしがちですが、健康寿命をのばすためには無理のない運動を毎日続けて行うことが大切です。たとえば、通勤の際にひと駅ぶん歩く、エレベーターではなく階段を使う、毎朝ラジオ体操をするといったことを日々積み重ねることが、生活習慣病を予防して健康寿命をのばすために有意義だと考えられています。
厚生労働省では、健康寿命をのばすために今より10分多く体を動かす「+10(プラス・テン)」を推奨しています。研究の結果、+10を実行することで死亡、生活習慣病、がんのリスクを3〜4%減らせることがわかったそうです。歩くことはもちろん、ストレッチやお出かけなど、無理のない+10を継続して行うことが大切です。
さらに健康づくりのための目標として、18~64歳の方は歩行以上の強度の身体活動を1日60分(加えて息が弾み汗をかく程度の運動を毎週60分)、65歳以上の高齢者は強度に関係なく身体活動を1日40分行うことが望ましいとしています。毎日の運動は身体的な効果だけではなく、気持ちをリフレッシュさせてくれたり、生活リズムを整えたりといった二次的な効果も期待されるものです。ぜひご自身に合った運動を見つけて生活の中に取り入れてみてください。
バランスの取れた食生活を意識しよう
健康寿命をのばすため、食生活で気を付けたいポイントは様々あります。
まずは1日3食をきちんと食べること。特に朝食は活動するためのエネルギーとなる重要なものですので、しっかりととるように心がけましょう。また、夜遅い食事は生活習慣病の原因になるため、注意が必要です。
また、健康のためにはさまざまな栄養素をバランスよくとることが大切だと言われます。なかでも意識的に摂取したいのが野菜です。生活習慣病を予防するためには、1日におよそ350gの野菜を摂取するのが望ましいと言われています。日本人は比較的野菜の摂取量が多いことで知られていますが、それでも推奨量には平均して70gほど足りていないそうです。70gというのは小皿一杯分程度ですから、増やすのは決して難しいことではありません。よりおいしく食べられるような工夫をして、野菜の摂取量を増やしましょう。
たとえば、葉物野菜などは生で食べるよりも熱を加えたほうが”かさ”が減ってたくさん食べられます。食感も柔らかくなるので、子供やご高齢の方でも食べやすいというメリットもあります。なかでも毎日飲む味噌汁に野菜をたっぷりと入れることで、無理なく摂取量を増やすことができます。
ただし野菜が大切と言っても、ドレッシングをたっぷりとかけたサラダや漬物などをとりすぎると塩分の過剰摂取につながる恐れがあります。旬の野菜の風味を存分に楽しめるよう、調味料との組み合わせには気を付けましょう。
自分と周りの人のために禁煙しよう
”タバコは百害あって一利なし”と言われるように、タバコに含まれる有害物質は体にさまざまな悪影響を及ぼします。長期間に渡る喫煙は、別名「タバコ病」とも言われるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)や肺がんなど、命に関わる病気を引き起こすことも少なくありません。さらにタバコの問題点は、喫煙している本人だけではなく、煙によって周囲にも影響を与えるということです。ご自身や家族の健康を守るために、禁煙は重要な条件のひとつと言えます。
禁煙は、始めるのに遅すぎることはありません。長年たばこを吸っている方や、すでに体調を崩している方も、禁煙を始めればすぐに何らかの健康改善効果が現れ始めると言われています。たとえば禁煙を始めて24時間以内には心臓発作のリスクが低下し始め、2~4年後には虚血性心疾患や脳梗塞のリスクが約1/3まで減少し、5年後からは肺がんの危険性も低下するそうです。
ただし、たばこに含まれるニコチンには依存性があるため、禁煙しようと思っても自分の意志だけではうまくいかないというケースが多く見られます。その場合には、家族や友人に協力してもらったり、薬局で購入できる禁煙補助薬を使用するほか、医療機関で禁煙治療を受ける方法もあります。次のすべての条件を満たす場合には健康保険を適用でき、治療費の負担を減らすことができます。
(あらかじめ受診する医療機関が保険診療に対応しているか確認しましょう)
<健康保健適用の条件> ① ただちに禁煙しようと考えている人 ② ニコチン依存症のテストの結果が5点以上の人 ③ 1日平均喫煙本数 × 喫煙年数が200以上の人 ④ 医療機関で禁煙治療の同意書に同意できる人 |
健康診断を受けよう
皆さんは、自分が健康かどうかをどのように判断されているでしょうか。「具合の悪いところがないから大丈夫」「病院にかかったことがないから自分は健康だ」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、健康に問題が生じていても初期の段階では自覚症状がない場合も多いと言われます。自分では大丈夫だと思っていても、高血圧や高血糖、肥満、さらにはがんなど、何らかの健康トラブルが生じていることも少なくないのです。
健康診断は病気の予防と早期発見を目的としたものです。もし検査で何らかの異常が見つかればすぐに治療を始められるメリットがあります。また、検査結果に異常がない場合でも、自分の健康状態を知ることは生活習慣を改めるきっかけにもなり、日々の健康管理に役立てることができます。
健康維持の為にも、定期的に健康診断を受けて自分の体の状態を把握し、少しでも気になるところがあれば生活習慣の改善に努めましょう。
手軽に健康管理できる水がある
健康を維持する上では、さまざまな病気に対する免疫力を高めておくことも重要です。免疫細胞の約7割は腸に集中していることから、手軽に”腸活”ができて健康管理に役立てられる水「電解水素水」が注目されています。
電解水素水とは、整水器から水道水を濾過、電気分解して生成される水のことで、この整水器には胃腸症状改善の効果が認められています。整水器は水栓に繋ぐだけで簡単に導入できて、飲むだけで手軽に腸活を続けられますので、ご家族の健康管理としておすすめです。
まとめ
今回は、健康寿命について解説しました。長寿大国と言われる日本ですが、ただ長生きするのではなく、より健康的に長生きすることが重要視されるようになっています。現在、平均寿命と健康寿命の差はおよそ10年あります。この差を縮めるためには、運動や食事、水分補給など、毎日の何気ない生活習慣に気を付けることが大切です。また、「何も症状がないから大丈夫」と過信せず、定期的に健康診断を受けて自分の体の状態をきちんと把握するように努めましょう。
参考文献
「健康寿命」e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-031.html
「健康寿命とは何を意味する?」日本介護予防協会
https://www.kaigoyobou.org/useful_blog/2095/
スマート・ライフ・プロジェクト
https://www.smartlife.mhlw.go.jp/