コーヒーのカフェインは風邪に効果的?効果や気を付けたいことを紹介 | 水と健康の情報メディア|トリム・ミズラボ - 日本トリム

コーヒーのカフェインは風邪に効果的?効果や気を付けたいことを紹介

コーヒーにはカフェインという成分が含まれています。カフェインは眠気覚ましの成分として広く知られていますが、実は風邪の症状に対しても有用性があると言われています。

では、その有用性はどれほどなのでしょうか?
また、風邪をひいた状態でコーヒーを飲む場合は注意すべき点もあります。

今回は、風邪に対するカフェインの有用性と、摂取時の注意点などについて解説します。

コーヒーのカフェインは風邪に効果的?

カフェインに、風邪そのものを治す効果が認められているわけではありませんが、いくつかの風邪の症状に対しては、一時的に緩和する作用が期待されています。

カフェインとは

まず、カフェインという成分について簡単に説明しておきましょう。
カフェインはコーヒー豆をはじめ、お茶の葉やカカオ豆などにも含まれています。
学術的な分類は、以下のとおりです。

大分類:アルカロイド
中分類:プリンアルカロイド
小分類:キサンチン誘導体(メチルキサンチン類)

カフェインは天然の植物に含まれるほか、以下のように人工的に添加・配合されることもあります。
・気管支炎などの治療薬の有効成分として
・ガムなどの苦味料(食品添加物)として
・エナジードリンクなどの機能性成分として   

カフェインに期待される効果

カフェインは、一般的に眠気覚まし(覚醒作用のある成分)として知られていますが、それ以外にも、いくつかの効果が期待されています。

それぞれの効果について、見ていきましょう。

覚醒作用

脳で「疲れた、眠たい」というシグナルが強まるのは、アデノシンという物質が脳内の受容体に結合するためだと考えられています。カフェインはこのアデノシンの結合を阻害して、眠気のシグナルを抑えます。その結果、脳内で神経細胞の活動が高まり、中枢神経全体が「覚醒モード」に切り替わります。

鎮痛作用

カフェインには血管を収縮させる働きがあります。そのため、脳の血管が拡張して起こる片頭痛の症状を緩和する効果が期待できます。また、カフェインには筋肉痛を緩和する作用もあると言われています。Hurleyらの研究(2013年)では、運動前にカフェインを摂取することで、運動後の筋肉痛が軽減されたと報告されています 。

代謝促進作用

K J Achesonらの研究(1980年)では、カフェインには基礎代謝を上げる働きがあると報告されています。たとえば、空腹時にコーヒー3杯相当のカフェインを摂ると、基礎代謝が約12%アップし、6杯相当では基礎代謝が約16%アップしたそうです。
水泳やジョギングなどの運動と組み合わせることで、ダイエットにも役立つでしょう。

利尿作用

カフェインに利尿作用があることは、一般的にもよく知られています。カフェインを摂ると、腎臓の血流が促進され、それによって尿量が増えます。  尿量が増えることで、体内にある余分な水分の排出が進み、むくみを予防・改善してくれるのです。また、尿の生成を促すことで老廃物の排出も進むため、デトックスにも役立ちます。

風邪の症状を緩和するカフェインの効果

前述のとおり、カフェインに風邪そのものを治す効果が認められているわけではありません。しかし、以下のような風邪の症状に対し、一時的な緩和に役立つことはあるようです[※]。

※.緩和効果は限定的です。また、摂取前には必ず担当医師に確認を取ってください。

倦怠感

カフェインには中枢神経を刺激して、倦怠感(だるさ)や眠気を軽減する作用があります。そのため、風邪の経過中や回復期にカフェインを適量摂ることで、倦怠感が軽減されることがあります。また、病み上がりのどんよりした気分や思考をリフレッシュするのにも役立つことがあります。

頭痛

風邪で頭痛の症状が現れている場合、カフェインは一時的な緩和に役立つと言われています。カフェインには血管を収縮させる作用があるため、コーヒーを適量飲むことで頭痛が和らぐことがあるようです。実際、市販の頭痛薬にはカフェインが配合されている場合があります。

咳・痰

カフェインには気道をリラックスさせ、わずかに拡げる作用があります。そのため、効果は限定的ですが、一時的に咳がラクになる場合があります。 また、カフェインを摂取して体の代謝が良くなると、その間接的な効果として、痰(たん)を出しやすくなることもあるようです。

カフェインに副作用はある?

カフェインには有用な作用がある一方で、過剰に摂取すると副作用が現れることがあります。日頃からカフェイン飲料に頼りがちな深夜ドライバーやビジネスパーソンは、特に注意しておくとよいでしょう。

睡眠の質の低下

カフェインは、眠気を誘発するアデノシンの受容体への結合を阻害することで、脳を覚醒状態に保ちます。そのため、夜に摂取すると寝つきが悪くなるだけでなく、入眠後も浅い眠りが続きやすくなります。

深いノンレム睡眠が減ると体の疲労回復が妨げられ、翌朝にだるさや集中力低下に繋がります。特に、高齢者やカフェインに敏感な人は、午後の摂取でも影響を受け、慢性的な不眠症や体内リズムの乱れに繋がることがあります。

耐性・依存

長期間カフェインを過剰に摂り続けると、体が刺激に慣れてしまい、同じ量では効果を感じにくくなります(「耐性」がついた状態)。耐性の強化は多量摂取に繋がるおそれがあります。

また、長期間の過剰摂取のあとに急にやめると、強い眠気、倦怠感、頭痛、集中力の低下、気分の落ち込みなどが現れることがあります(「依存」に陥っている状態)。依存は無意識のうちに摂取を習慣化させ、中断を難しくさせる恐れがあります。

利尿作用による脱水

カフェインは、腎臓での「水分の再吸収」を抑えるため、尿量の増加(利尿)をもたらします。適量なら大きな問題にはなりませんが、多量摂取や汗をかく環境下では、体内の水分が不足しやすくなります。これに対し、十分な水分補給を怠ると、頭痛や倦怠感、集中力の低下が生じ、軽度の脱水状態となります。さらに、尿と一緒にカルシウムなどのミネラルも失われやすいため、長期的には骨の健康や筋肉の働きに影響を及ぼす恐れもあります。

風邪をひいた時にコーヒーを飲む場合の注意点

コーヒーは、いくつかの風邪症状を間接的に和らげる効果が期待できます[※]。しかし、風邪をひいた状態でコーヒーを飲む場合、注意しなければならない点があります。

それぞれについて、見ていきましょう。

※. 個人差がありますので、飲用前に必ず担当医師に相談してください。

水分補給を行う

カフェインの利尿作用により、尿量が増えると体内の水分が失われやすくなります。風邪で発熱や発汗がある時は脱水が進みやすく、頭痛や倦怠感を強めたり、回復を遅らせる恐れがあるため、水分補給を十分に行うことが重要です。

過剰に摂らない

カフェインは一時的に血管を収縮させて、頭痛を和らげる効果が期待できますが、過剰摂取は逆に頭痛を悪化させることがあります。摂取量については担当医師の指示に従い、適量を守りましょう。

薬と一緒に飲まない

一部の風邪薬にはすでにカフェインが含まれているため、コーヒーと一緒に飲むとカフェインを摂り過ぎてしまうおそれがあります。また、薬の効き目が弱まったり、逆に強く出すぎることもあるため注意が必要です。

コーヒーを飲むのを控えた方が良いケース

コーヒーは一部の風邪症状を和らげる可能性がありますが、状況によっては逆効果になることもあります。

以下のようなケースでは、コーヒーは控えた方がよいでしょう。

高熱が出ているとき

発熱で体温が上がると、汗や呼吸で大量の水分が失われます。ここでコーヒーを飲むと利尿作用によって、脱水がさらに進行してしまいます。

結果として倦怠感や頭痛が強まり、風邪からの回復を遅らせる恐れがあるため控えた方がよいでしょう。

胃が荒れているとき

風邪治療の一環として使われる解熱鎮痛薬(NSAIDs)は、副作用で胃が荒れることがあります[※]。胃が荒れた状態でコーヒーを飲むと胃酸分泌が増え、不快感や痛みを悪化させる恐れがあるため、控えた方がよいでしょう。

※. たとえば、ロキソプロフェンやイブプロフェンが配合されている薬など。

睡眠不足のとき

風邪の回復には十分な睡眠が不可欠ですが、カフェインの覚醒作用は寝つきを妨げ、眠りを浅くします。その結果、免疫機能の回復が遅れ、症状が長引く恐れがあります。

咳や熱などの影響で睡眠不足になっているときは、飲用は控えた方がよいでしょう。

風邪の時に飲むコーヒーを上手くアレンジしよう

上記の注意点を踏まえたうえで、それでもコーヒーを楽しみたいときは、飲み方を少し工夫してみましょう。アレンジによって風味の変化を楽しめるほか、加える食材から栄養を摂ることでプラスのサポートも期待できます。

生姜コーヒー

ホットコーヒーに、すりおろした生姜やジンジャーパウダーを少量加えるだけの簡単なアレンジです。辛味が気になる場合は、ハチミツを適量足すと飲みやすくなります。

生姜に含まれるジンゲロールが血流を促進し、体を内側から温めて冷えを和らげます。発汗作用により老廃物の排出も助け、代謝を促して体力回復にもつながります。

シナモンコーヒー

コーヒーにシナモンパウダーをひと振りするだけの手軽なアレンジです。

シナモンには体を温める作用や抗酸化作用があり、免疫機能をサポートしてくれます。

甘くスパイシーな香りが心を落ち着かせ、風邪で気持ちが塞ぎがちな時でも、心身のリフレッシュやリラックス効果が期待できます。

コーヒー以外のおすすめの飲み物

コーヒー以外で、風邪をひいたときにおすすめの飲み物には、どのようなものがあるのでしょうか?

ここでは、体調がすぐれないときでも手軽に作れておいしくいただける、三つの飲み物をご紹介します。

はちみつレモン湯

カップに熱湯を注ぎ、大さじ1のはちみつと、レモンのスライスを加えて混ぜます。

はちみつの抗菌・保湿作用が喉の炎症や咳を和らげ、レモンに含まれるビタミンCが免疫機能を助けます。

甘酸っぱい風味で飲みやすく、発熱や発汗で失われた水分補給にも役立ち、風邪の初期から回復期まで安心して取り入れられる飲み物です。

カモミールティー

カモミールティーは古くから民間療法に用いられてきたハーブティーで、風邪の時にぴったりの飲み物です。

やさしい香りが緊張をほぐし、リラックス効果が期待できます。

さらに、カモミールには抗炎症作用があるため、喉の痛みやイガイガ感を和らげる効果も期待できます。

ティーバッグタイプであれば、お湯を注ぐだけで簡単に作れます。

ペパーミントティー

ペパーミントティーは、爽やかな香りと清涼感が特徴のハーブティーで、風邪のときにも取り入れやすい飲み物です。

メントール成分が鼻の粘膜に作用することで、爽快感が得られ、呼吸がラクに感じられます。

また、消化を助ける作用もあるため、風邪で食欲が落ちているときや、胃がもたれているときにも適しています。

ティーバッグタイプであれば、お湯を注ぐだけで簡単に作れます。

さいごに

今回の記事のまとめは、以下のとおりです。

・コーヒーには、風邪症状の緩和に役立つカフェインという成分が含まれている
・ただし、その効果は限定的かつ一時的で、風邪そのものを治す効果はない
・カフェインには副作用があり、摂り方には注意が必要
・症状や体の状態によっては、カフェインの摂取で症状が悪化することもある など

風邪をひいた状態でコーヒーを飲む場合、事前に必ず担当医師に相談し、適切なタイミングや量についてのアドバイス(指示)をもらってください。


- 監修者のご紹介 -

参考文献

東京福祉大学・大学院紀要 第6巻 第2号「栗原久|日常生活の中におけるカフェイン摂取(作用機序と安全性評価)」

https://www.tokyo-fukushi.ac.jp/introduction/research/images/bulletin/bulletin06_02.pdf

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック「カフェインと咳の関係について」

https://yamaguchi.clinic/blog/naika/e_29712.html

大正製薬「パブロンSせき止め」

https://www.catalog-taisho.com/category/02/004/05154/

「食品衛生の窓」東京都保健医療局「用途別 主な食品添加物 苦味料」

https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/shokuten/kumiryo.html

株式会社トーエル「コーヒーのカフェインは風邪に効く?効果や副作用などを解説」

https://www.hawaiiwater.co.jp/column/water-health/5416.html

NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター「カフェインと睡眠」

https://www.ncnp.go.jp/hospital/guide/sleep-column14.html

脳神経外科たかせクリニック「カフェインで頭痛解!?でも危険な落とし穴も…」

https://takase-clinic.jp/zutsu/caffeine/

NSCAPARK「カフェインと筋肉痛」

https://park.nsca-japan.or.jp/category-13/post-3590/

The Journal of Strength & Conditioning Research「Hurley et al.|The Effect of Caffeine Ingestion on Delayed Onset Muscle Soreness」

https://journals.lww.com/nsca-jscr/fulltext/2013/11000/the_effect_of_caffeine_ingestion_on_delayed_onset.24.aspx

日本経済新聞「カフェインが気になる コーヒーは1日何杯までOK?」

https://www.nikkei.com/nstyle-article/DGXMZO17693850V10C17A6000000/

PubMed「K J Acheson et al.|Caffeine and coffee: their influence on metabolic rate and substrate utilization in normal weight and obese individuals」

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7369170/

エスエス製薬「風邪によるつらい頭痛はなぜ起こる?原因や対処方法を解説」

https://www.ssp.co.jp/stac/aboutcold/symptoms-headache/

株式会社アラクス「製品情報 ノーシンホワイト錠」

https://www.arax.co.jp/sp/seihin/detail.php?id=5

ウィスパー「【医師監修】コーヒーと頻尿の関係」

https://www.whisper.jp/article-top/learn-urinary-incontinence/coffee/

福岡天神内視鏡クリニック「内視鏡医師の知識シリーズ - 福岡の苦しくない内視鏡専門医療機関」

https://www.fukuoka-tenjin-naishikyo.com/knowledge/post-16647/

コーヒーステーション「風邪の時、コーヒーを飲んでも大丈夫?効果と注意点を解説!」

https://coffee-station.jp/archives/23694

わかさ生活「わかさの秘密|カモミール-カミツレ - 成分情報」

https://himitsu.wakasa.jp/contents/chamomile/

ばば耳鼻科・日帰り手術クリニック「鼻の手術後に起こるエンプティノーズ症候群(Empty Nose Syndrome, ENS,空鼻症候群)とは?」

https://www.baba8733.com/column_blog/empty_nose_syndrome/

第一三共ヘルスケア「製品ラインアップ|第一三共胃腸薬」

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_dsichoyaku/products/ds_ichoyaku_blue/

ネスレ日本「コーヒーで脂肪燃焼できるって本当なの?」

https://www.nestle.co.jp/sites/g/files/pydnoa331/files/2025-01/coffee_explanation_06.pdf