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筋力アップで健康づくり!効果的な筋トレのためのポイント

物を持ち上げる時や階段をのぼる時、以前より負担が大きく感じていませんか?それは、もしかすると筋力が低下(筋肉が減少)しているからかもしれません。

筋力の低下はデスクワークが多いビジネスパーソンやシニア層によく見られ、その状態を放置すると仕事や日常生活に支障がでるだけではなく、さまざまな病気を招くことにもなります。日常生活に筋トレを取り入れ、健康でアクティブな毎日を送りましょう。

今回は、健康と筋力(筋肉)の関係性、そして効果的な筋トレのために意識すべきポイントなどを解説していきます。

筋力アップで健康づくり

近年、生活習慣病などの増加に伴い、毎日の生活に「運動」を取り入れている人が増えているようです。しかし、「筋トレ」については強くなるためのものという認識からか、毎日の健康習慣から除外されていることがあります。特に女性は、強靭な体型になりたくないという理由から筋トレを避ける傾向にありますが、適度な筋トレはプロポーションを保つためにも重要です。また、筋トレの健康効果は非常に大きく、毎日の生活がイキイキとしたものになるだけではなく、病気の予防や改善に役立ちます。

たとえば、
・全身の疲労がとれる
・肩こりや腰痛の緩和
・胃腸や心臓、肺などの働きが活発になる
・頭の働きが活発になる
・全身が若返る
・脂肪が取れる
・骨が強くなる
・三半規管の衰えを遅らせる
・反射神経の衰えを遅らせる
・糖尿病を予防する
・認知症を予防する など

また、2017年にはオーストラリアのシドニー大学から、次のような研究結果も報告されています。
・週2回以上の筋トレは、がんによる死亡率を3割減少させる
・すべての病気による死亡率も2割減少させる

つまり、筋トレは「強靭な体」を手に入れるためだけに行うものではなく、「健康な毎日」を送るためにも重要な取り組みの一つと言えるのです。

効果的な筋トレのために

効果的に筋トレを行うためには、やみくもにトレーニングを行っていてはいけません。まずはご自身の「目的」を明確にし、それに合ったメニューでトレーニングを行う必要があります。

また、筋肉の仕組みや特性についての「知識」を身につけておくことも有用です。特に、「筋肉の合成」に関しては、実に多くの要素が関係しており、それらを知らずに筋トレを行っていると、場合によっては筋トレ効果が大きく減少してしまうこともあるのです。しかし、そういった専門的な知識をはじめから網羅することはできませんので、まずは以下の3つのポイントを意識するところから始めましょう。

過負荷の原理

筋肉には一つの性質があります。それは「ちょっとキツイかな」という程度の刺激を与えることによって、より強くなろうとする作用です。これを「過負荷の原理」といいます。

負荷の小さいトレーニングでは筋肉がつかないことは良く知られていますが、ある程度負荷があったとしても、体がその負荷に適応してしまうと、それ以上の筋肉の強化(肥大)には繋がらないのです。このことを知らずに非効率なメニューばかりを繰り返してしまうのが所謂「筋トレ初心者」で、これでは自分への甘えも生じやすくなります。そういったことにならないよう、筋トレを行う際には以下のように定量的な管理を行うことが大切です。

・どれくらいの負荷で行うか
・何回、何セット行うか
・インターバルをどれくらいとるか

これらをきちんと把握(記録)し、実践していくことで、プラスアルファの負荷を少しずつ定量的に上げていくことが可能になります。

筋トレの目的が「筋力の増強」ではなく「筋力の維持」にあるシニアや高齢者の方の場合には、筋肉に対する負荷の与え方(上げ方)は異なりますが、定量的に管理しておくことの重要性は変わりません。自分でトレーニングメニューを決めるのが難しい場合には、スポーツジム(特にパーソナルジム)を利用するのが良いでしょう。ジムでは一人一人に合わせた最適なメニューをトレーナーが提案してくれますので、一定期間利用してみて、メニューの決め方を学んでみるのもよいかもしれません。   

栄養

筋トレを開始すると、エネルギーの消費量や、たんぱく質をはじめとする各種栄養素の所要量(必要とされる量)が増加します。そのため十分なトレーニング効果を上げるには、現在の食事内容を調べて偏りや不足を調整することが必要です。

筋肉の増強を図る場合、基本的に食材選びは「たんぱく質」を中心に考えます。その際、必須アミノ酸のバランスの指標である「アミノ酸スコア」が100に近いもの(動物性たんぱく質:肉や魚など)から取り入れることが大切です[※1]。

さらに激しいトレーニングを行う場合には、次のような栄養素も積極的に食材から摂ると良いでしょう。
・ビタミンB群[※2] ── 炭水化物や脂肪などの代謝に働き、体内の細胞にエネルギーを供給する
・ビタミンA ── 筋肉づくりや体の成長に必要
・ビタミンC ── 激しい運動によるストレスから体を守る

また、筋トレ上級者になると、プロテインパウダーやBCAA、亜鉛、グルタミンといったサプリメント類も上手に活用して筋肉増強を図っています。     

※1. 肉類だけに偏るのではなく、乳製品や大豆製品なども食べ、必須アミノ酸をバランスよく摂取しましょう。
※2. ビタミンB群(B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)

睡眠

筋肉は、筋トレを行っている時にリアルタイムで作られるわけではありません。トレーニング後、特に眠っている時に作られることが分かっています。就寝してから1~3時間たつと、脳からは大量の成長ホルモンが分泌され、全身の細胞の修復や分裂が行われます。このタイミングで、筋肉もたんぱく質を取り込んで肥大するのです。つまり、どれだけ質のいいトレーニングを行ったとしても、質のいい睡眠が十分にとれていなければ、筋肉を増強することは難しいということです。

睡眠には「ノンレム睡眠(深い睡眠)」と「レム睡眠(浅い睡眠)」があります。この二つの睡眠は、90分1セットで交互に繰り返されているのですが、体の疲労を取るためには最低でも5セット繰り返すだけの睡眠時間が確保されていなければならないと言われています(450分=7時間半)。

さらに、成長ホルモンが大量に分泌されるのはノンレム睡眠をしている間ですので、レム睡眠ばかりになってしまわないようにする必要があります。ノンレム睡眠とレム睡眠を規則的に繰り返す「質のいい睡眠」を得るためにも体内時計(睡眠サイクル)をしっかりと整えましょう[※1]。毎朝、決まった時間に朝日をたっぷりと浴びて、夜間にメラトニン(睡眠促進ホルモン)の分泌を促進させれば、睡眠サイクルが整ってノンレム睡眠を得やすくなります[※2]。

※1. 人間の体内時計は24時間よりも少し長めにセッティングされているため、毎日少しずつ睡眠サイクルがずれていきます。このずれが積み重ならぬように調整しましょう。
※2. たとえば朝7時に朝日を十分に浴びると、約15時間後の夜9時ごろにメラトニンの分泌量が増えてきて眠たくなります。

継続することが大切

筋トレは、取り組み始めてからすぐに大きな成果が表れるわけではありません。開始から2週間くらいで、活力アップを実感できるくらいのレベルに到達することは可能ですが、目に見える成果に至るまでには、2~3ヶ月くらいはかかります。「強靭な体型」を目指している人であれば、目に見える成果がないとモチベーションが下がりがちですが、正しい方法で筋トレを継続していれば、2~3ヶ月後には必ず相応の成果を得ることができます。

また、「老後の健康」や「体質の改善」を目指している人は、将来の自分に対する健康貯金だと考えて筋トレを継続し、その筋トレ習慣に付随させるような形で、生活習慣も改善させていくと良いでしょう。

ただし無理は禁物

筋トレは健康に役立ちますが、やればやるだけ健康になるというわけではありません。何事も「過ぎたるは猶及ばざるが如し」で、やりすぎると「オーバートレーニング」という状態に陥ります。オーバートレーニングとは、過剰なトレーニングなどによって運動能力が低下し、容易に回復できない慢性疲労状態のことを指しています。

代表的な症状としては、次のようなものが挙げられます。
・疲労感
・頭痛
・腹痛
・息切れ
・不整脈
・不眠
・発熱

「過負荷の原理」の項では、きつめの筋トレが筋肉増強には欠かせないと説明をしましたが、ハードトレーニングとオーバートレーニングは同じではありません。この見極めをしっかりと行うためにも、筋トレは定量的な管理が必要なのです。また、オーバートレーニングの症状がでる原因には、休養(睡眠)のとり方や、栄養の偏りが関係していることもありますので、その点もあわせて管理することが大切です。

さいごに

筋肉量は20~30代をピークに減少し始め、40歳以降は1年に0.5~1%ずつ失われていくと言われています(80歳には全盛期の60~70%もの筋肉が失われるとも言われています)。こういった加齢による筋肉量の減少を「サルコペニア」と呼び、これが進行すると歩くことはおろか、立つことも困難になる「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」という病気に繋がります。

筋肉量や筋力を維持向上させるためには、少なくとも最大筋力の60%以上の負荷をかけることが必要です。しかし、デスクワーク中心の人が一般的な日常生活を送る中で加わる負荷は、最大筋力の30%以下と言われています。この場合、日常生活以外に筋トレなどを意識的に取り入れなければ、筋肉や筋力は減少し続けることを意味しています。

筋トレは、若いうちから取り組むことが推奨されますが、70歳や80歳からでも決して遅くはありません(実際に高齢者の筋トレ効果を実証した研究はいくつもあります)。病気を予防するため、そしてアクティブな毎日を送るためにも、筋トレを生活習慣の一つに取り入れてみてはいかがでしょうか。


参考文献

書籍「全身が若返る 簡単筋力トレーニング」野沢秀雄 著

書籍「定年筋トレ」森谷敏夫 著

書籍「科学が証明した最強の筋トレ」庵野拓将 著

書籍「筋トレを科学する:スポーツ科学読本」洋泉社 出版

書籍「老けない筋トレ」山本ケイイチ 著

書籍「筋トレと栄養の科学」坂詰真二&石川三知 監修

書籍「夢をかなえる筋トレ」森俊憲 著

書籍「筋力トレーニング&コンディショニング」広戸聡一 著

書籍「1日2トレ!美肌をつくる筋トレ」藤田聡 監修

書籍「50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ」増田晶文 著

書籍「これなら続く!考える筋トレ」有賀誠司 著

書籍「人生を変える筋トレ」谷本道哉 著