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健康生活を送るために大切なこと

「健康生活を送りたい」というのは、多くの方にとって共通の思いだと思います。病気にならないということはもちろんですが、毎日の生活をより生き生きと過ごすことができたら嬉しいですよね。

近年では健康生活を送るための食品やグッズ、サービス、情報などが溢れています。これらをやみくもに利用するのではなく、正しい知識を持ち、上手に活用していくことも大切です。

ここでは、健康生活を送るために知っておきたい基本的な知識をまとめました。

「健康」ってそもそもどんな状態?健康づくりのために行われている対策は?食事や運動、睡眠など、毎日の生活でどんなことに気をつけたらよい?

心身ともに健康な生活を、一緒に楽しみましょう!

健康とは

そもそも「健康」とは何なのでしょうか?まずは「健康」の意味について考えてみたいと思います。

健康の定義

「健康」とは一体どのような状態なのか―WHO憲章では「健康」を以下のように定義しています。

Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること。」

引用:「健康の定義」日本WHO協会

「健康」とは病気にならないことと思われがちですが、“すべてが満たされた状態であること”という、より積極的な意味づけがなされています。健康生活は単に身体的なものだけではなく、精神的、社会的にも良好であるという3つの条件が揃って初めて成り立つものであるということです。

つまり、いくら体の状態が良好であっても、心に大きな悩みを抱えていては健康とは言えないことになります。

常にすべてが最高の状態であることは難しいですが、健康生活を送るべく心身ともに出来るだけ良好な状態に保つには、日頃から自分なりの積極的な取り組みが大切だと言えます。

健康と寿命

健康生活を語るうえで欠かせないキーワードが、「寿命」です。日本は世界的に見ても平均寿命が長い国として知られていますが、それと健康(生活)であるということは必ずしも一致しません。

WHOは2000年、「ただ寿命を延ばすだけではなく健康で長生きすることが大切」といった考え方から、“健康上の問題で日常が制限されることなく生活できる期間”を表す「健康寿命」という概念を提唱しました。

健康寿命は、平均寿命から継続的な介護が必要となる期間を差し引いて表します。 厚生労働省によれば、平成22年の日本人の平均寿命と健康寿命は以下のようになっています。

  男性 女性
平均寿命 79.55 86.30
健康寿命 70.42 73.62

このように、平均寿命と健康寿命(日常生活に制限のない期間)の差は、男性で 9.13年、女性で12.68年となっており、健康寿命は平均寿命から1割以上も低い数値となっています。

平均寿命と健康寿命の差が拡大することにより、活動面ではもちろん、介護費や医療費の面でも負担は増大します。健康寿命を延ばすことは、個人はもちろん国としても非常に重要な課題なのです。

健康診断

自分が健康かどうか”を知るために多くの人が利用しているものの一つに、健康診断があります。健康診断にはさまざまな種類があり、法律に基づいて職場や学校、自治体などが行うもののほかに、医療機関などで自主的に受けることもできます。

労働安全衛生法第66条では、労働者に対して事業者が健康診断を実施するよう義務付けられています。雇入時および定期的な一般健診、また有害な業務に常時従事する労働者に対しては特殊健康診断も義務付けられています。

定期健康診断の項目(労働安全衛生法第44条)

① 既往歴及び業務歴の調査
② 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
③ 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
④ 胸部エックス線検査及び喀痰検査
⑤ 血圧の測定
⑥ 貧血検査(血色素量及び赤血球数)
⑦ 肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)
⑧ 血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
⑨ 血糖検査
⑩ 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
⑪ 心電図検査

引用:「労働安全衛生法に基づく健康診断の概要」厚生労働省

また、平成20年4月からは、生活習慣病予防のための新しい健診として、特定健康診査・特定保健指導が始まりました。

特定健診は通称「メタボ健診」と呼ばれており、メタボリックシンドロームに着目した健診です。対象者は40~74歳の公的医療保険加入者で、基本的な健診項目は以下の通りになります。

  • 質問票(服薬歴、喫煙歴等)
  • 身体計測(身長、体重、BMI、腹囲)
  • 血圧測定
  • 理学的検査(身体診察)
  • 検尿(尿糖、尿蛋白)
  • 血液検査
  • 脂質検査(中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール)
  • 血糖検査(空腹時血糖またはHbA1c)
  • 肝機能検査(GOT,GPT,γ―GTP)

これらにおいて高リスクと判断された場合には、特定保健指導が行われます。

特定保健指導はリスクの高さに応じて動機付け支援と積極的支援とに分かれており、いずれの場合にも半年後に健康状態や生活習慣改善状況の確認が行われます。 

健康づくり

健康生活が重視される今、“どのように健康(生活)づくりをしていくか”ということが個人、あるいは自治体や国においても重要な課題となっており、そのためのさまざまな取り組みが行われています。

健康日本21

国民の健康づくりのため、2000年(平成12年)に厚生省(当時)が始めた取り組みの一つが、「21世紀における国民の健康づくり運動(健康日本21)」です。

生活習慣病を予防し、健康寿命を延ばすことを目的として、以下の9分野59項目について具体的数値目標を設定しました。

  • 栄養・食生活
  • 身体活動・運動
  • 休養・こころの健康(生活)づくり
  • たばこ  
  • アルコール  
  • 歯の健康
  • 糖尿病  
  • 循環器病(心臓病、脳卒中)  
  • がん

運動期間は2000年からの10年間としていましたが、12年度までの延長が決定。2011年には最終評価がまとめられ、59項目のうち約6割に改善が見られたということです。

また、2013年からは新たに「健康日本21(第二次)」として以下の項目における目標値が定められました。

  • 健康寿命の延伸と健康格差の縮小の実現に関する目標
  • 主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底に関する目標
    1. がん
    2. 循環器疾患
    3. 糠尿病
    4. COPD
  • 社会生活を営むために必要な機能の維持・向上に関する目標
    1. こころの健康(生活)
    2. 次世代の健康(生活)
    3. 高齢者の健康(生活)
  • 健康(生活)を支え、守るための社会環境の整備に関する目標
  • 栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康(生活)に関する生活習慣及び社会環境の改善に関する目標
    1. 栄養・食生活
    2. 身体活動・運動
    3. 休養
    4. 飲酒
    5. 喫煙
    6. 歯・口腔の健康(生活)

健康増進法

健康増進法は、「健康日本21」を中核とする国民の健康づくり・疾病予防をさらに積極的に推進するための医療制度改革の一環として、平成14年に制定された法律です。

国民は「健康な生活習慣の重要性に対し関心と理解を深め、生涯にわたり、 自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努める責務」があるとされており、そのために国や地方公共団体には正しい健康増進方法の普及啓発、健康増進事業実施者には健康診断等の事業の推進が求められています。

特にたばこの受動喫煙については、多数の者が利用する施設の管理者に対して、必要な防止措置を講ずるように定めています。

心の健康

「健康の定義」で述べたように、健康生活の条件としては肉体的のみならず精神的にも満たされていることが必要です。ストレス社会とも言われる現代では、心の健康(生活)(メンタルヘルス)の維持は特に重要な課題と言っても過言ではないでしょう。

心のトラブルは、それ自体が“病気”としてケアされなければならないものであるのに加え、身体的な病気にもつながりやすいという点が指摘されています。

そのため「健康日本21」にも「休養・こころの健康(生活)」という項目が設けられ、現状や目標、対策法が示されています。

心の健康を維持するために特に重要な対策としては、ストレスへの対処能力を高める、あるいはストレスへのサポートを増やしたり、ストレスの少ない環境づくりをすることと共に、睡眠や休息を十分に取ることも挙げられます。

また、心の病気に対して本人や周囲が理解を深め、治療などの早期対応を行うことも重要な課題となっています。

歯の健康

同じく「健康日本21」の中に項目として設けられているのが、「歯の健康(生活)」です。

虫歯や歯周病によって歯が失われれば、食べ物を十分に咀嚼(そしゃく)することができなくなるだけではなく、会話が楽しめなくなるなど、社会生活にも大きな影響が及びます。また、歯の状態が全身の健康(生活)状態にも関係しているということも明らかになってきています。

そこで平成元年、厚生省(当時)と日本歯科医師会が提唱して始められたのが、「8020運動」です。

「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という運動で、生涯にわたって自分の歯を20本以上保つことで、十分な咀嚼能力を維持し、豊かな健康生活を送ろうというものです。「健康日本21」では平成34年での8020達成率50%を目標値としています。

また、幼児期・学齢期・成人期それぞれの段階におけるう蝕・歯周病予防の具体的な目標値やそのための対策についてもまとめられています。

健康生活と栄養・食生活

健康生活のために大切なものとして多くの方が思い浮かべるのが、栄養・食生活ではないでしょうか。

十分な栄養を摂取することは生命維持のために不可欠なものであるだけではなく、食事によって家族団らんや他者とのコミュニケーションを図るなど、豊かな社会生活を送るためにも重要なものであります。

また、心疾患や糖尿病などの生活習慣病にも食生活が大きく関係することもわかっています。

健康生活と栄養

私たちが生命を維持し、健康に生活を送るためには、栄養バランスのとれた食事が大切です。

「健康日本21」によれば、脂肪(脂質)の過剰摂取は動脈硬化性心疾患の発症率や乳がん、大腸がんなどの生活習慣病による死亡リスクを高めると言われています。

また、さまざまな病気を引き起こす要因となることから「サイレントキラー」とも呼ばれる高血圧を予防するために、平成34年度までに1日あたりの食塩摂取量8g未満とすることを目標としています。

健康生活への働きが期待される栄養素としてはカリウム、食物繊維、抗酸化ビタミンなどが挙げられており、これらを効果的に摂取するために、野菜を1日あたり350g以上食べることが望ましいとされています。

朝食・昼食・夕食の重要性

健康生活のためには、朝食・昼食・夕食の三食をきちんと取ることも重要です。特に朝食の欠乏は栄養摂取量の偏りにつながることが指摘されています。

また、朝食や夕食は家族団らんの場としても位置付けられており、特に子どもたちの健やかな成長のためには家族が揃って食事を取ることが重要になります。

「健康日本21」では、朝・昼・夕の三食を必ず食べることに気をつけて食事をしている子どもの割合の増加と、食事を一人で食べる子どもの減少を目標として掲げています。

外食・インスタント食品を利用する際の注意点

健康(生活)と食生活を考える上で、しばしば外食やインスタント食品の利用増加が問題点として挙げられます。

これらは総じて高脂質、高塩分の傾向があり、栄養が偏りやすいということも指摘されます。また、孤食や早食いになりやすいという面もあります。適度に楽しむ分には問題ありませんが、頻繁に利用している場合には注意が必要です。

そのため、外食や食品を購入する時に栄養成分表示を参考にすることが勧められると共に、「健康日本21」では食品中の食塩や脂肪の低減に取り組む食品企業及び飲食店の登録数の増加が目標として挙げられています。

健康生活と飲み物

健康生活のためには、食生活だけではなく水分補給も大切です。

人間の体のおよそ60%を占める水分は、血液として栄養素や酸素を運んだり、尿となって老廃物を排出したり、汗を出すことで体温調整をしたりといった重要な役割を果たしています。ですから、きちんと水分補給を行い体内の水分を保つことが、健康生活につながるのです。

では、健康生活のためにはどのような飲み物をどのように飲んだらよいのでしょうか。

健康生活のための飲み物

私たちの身の回りにはさまざまな飲み物がありますが、それぞれ健康生活のために適しているのかどうかを見ていきましょう。

健康生活のための飲み物としてもっともふさわしいと言えるのが、水です。水には糖分やカフェインなどが含まれていないので、健康(生活)のために安心して飲み続けることができます。

水と一口に言っても、水道水のほかミネラルウォーターや炭酸水、水素水、海洋深層水など様々な種類のものがありますので、コストや飲みやすさなどから選ぶとよいでしょう。

お茶

食事のお供や休憩時間に欠かせないお茶ですが、こちらも数多くの種類があります。「健康生活に良い」と謳われているものも多いですが、それぞれどのような成分が含まれており、どのような作用が期待できるのかをきちんと確認してみましょう。

緑茶などに含まれるカフェインには利尿作用があり、水分補給をしたつもりでも多くが体外へ排出されてしまうこともありますので注意が必要です。

ジュース

ジュース類の飲みすぎは、糖分の過剰摂取につながる恐れがあります。

夏場などは、ペットボトル入りの清涼飲料水を過剰に摂取することで高血糖状態になり、さらに喉の渇きを感じてしまう…という「ペットボトル症候群」の危険性が指摘されています。

また日常的にジュース類を飲んでいると、肥満や糖尿病などのリスクも高まると言われています。

アルコール

アルコールは健康生活と密接に関わりのある飲み物であり、「健康日本21」の中にもそれについての項目が設けられています。

「酒は百薬の長」という言葉があるように適度の飲酒は健康生活にも役立ちますが、短期間で多量の飲酒をすることにより「健康日本21(第二次)」では、一日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上の場合は生活習慣病のリスクが高まる恐れがあるとして、その割合を減少させることを目標としています。

健康生活のための飲み方

私たちは、日々尿や汗から水分を失っています。失われた水分を補って健康を維持するためには、食事から得られる水分と体内で作られる水分を除き、1日におよそ1.2ℓの水分が必要だと言われています。

ただしこの量を一気に補給しようとすると内臓に負担がかかってしまいますから、1回にコップ一杯程度を、1日7~8回に分けて飲むことがおすすめです。

また、冷たすぎる飲み物は体を冷やしやすいので注意しましょう。

健康生活とダイエット

ダイエットは、単に見た目を美しく保つためだけではなく、健康生活を送るという観点からも重要な課題です。肥満は糖尿病や脂質異常症などさまざまな生活習慣病や健康な生活の障害の要因として挙げられています。

単に体重を落とせばよいわけではなく、健康生活のために適正な体重を維持することが大切です。

適正体重を知ろう

適正体重は通常BMIによって割り出します。BMIとはBody Mass Index(ボディマス指数)のことで、体重と身長から体格を判定する基準として世界各国で用いられています。

BMIは体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))として計算し、その値によって次のように分類します。

低体重(やせ)   18.5未満
普通体重   18.5以上25未満
肥満 (1度) 25以上30未満
  (2度) 30以上35未満
  (3度) 35以上40未満
  (4度) 40以上

もっとも生活習慣病にかかりにくい理想的なBMI値は22と言われています。つまり適正体重は、身長(m)×身長(m)×22で表すことができます。

まずはきちんと自分の適正体重を知ることが、正しいダイエットを行うための第一歩となります。

「健康日本21(第二次)」では、「自分の適正体重を認識し、体重コントロールを実践する人の増加(肥満(BMI25以上)、やせ(BMI18.5未満)の減少)」という項目で、平成34年度時点の目標値を次のように定めています。

20歳~60歳代男性の肥満者の割合  28%
40歳~60歳代女性の肥満者の割合  19%
20歳代女性のやせの者の割合  20%

ダイエットの方法

では、適正体重を維持して健康生活を送るためにはどのようにしたらよいのでしょうか。

私たちは食事からエネルギーを得て、それを消費するということを行っていますが、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回った場合に、余った分が脂肪として体に蓄積されます。ですから、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが重要になるわけです。

肥満を予防し適切なダイエットを行うには、

  • 摂取エネルギー量が過剰にならないようにする
  • 消費エネルギー量を大きくする

という2つの方法があります。

摂取エネルギーが過剰にならないようにするためには、暴飲暴食や、油脂、脂肪の多い肉類、乳製品、お菓子などの食べすぎに注意が必要です。一方消費エネルギーを大きくするためには、身体活動量を増やす必要があります。

また、何もしていないときでも消費される最低限のエネルギー量(基礎代謝量)を上げることで、太りにくい体をつくることができます。

健康生活と運動

健康生活のために運動をしたほうが良いというのは、多くの方がご存知だと思います。

運動は、生活習慣病による死亡のリスク低減や心身の健康状態の改善につながると言われています。中でも現代では子供たちがテレビゲームなどで遊ぶことが増え、運動量が減少したことにより、体力の低下や肥満の増加が指摘されるようになってきました。

また、高齢者の寝たきりや介護予防のためにも、体を動かすことが大切だと言われています。

健康生活のための運動の種類

健康生活のためには運動が大事とはわかっていても、激しい運動は苦手…と思っている方も多いかもしれません。しかし、健康生活を送るためには必ずしも激しい運動をしなければならないということではありません。健康生活のために大切なのは、身体活動量を増やすことです。

身体活動には、運動のほかに、家事などで体を動かすこと(生活活動)も含まれます。普段の生活の中で徒歩移動や階段昇降を増やしたり、家事を行う際に体を大きく動かしたりといった工夫で、身体活動量は大きくなります。

いきなり激しい運動を始めても続かないことが多いので、まずは日常生活の中で体を動かすことを意識してみると良いかもしれませんね。

健康づくりのための身体活動基準・身体活動指針(アクティブガイド)

厚生労働省は、「健康日本21」を推進し身体活動・運動に関する普及啓発をするため、平成18年に「健康づくりのための運動基準2006」および「健康づくりのための運動指針2006<エクササイズガイド2006>」を策定。

さらに「健康日本21(第二次)」の開始に伴い、新たな知見を基に改定を行った「健康づくりのための身体活動基準2013」および「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」をまとめました。

この中では、「日常生活における歩数の増加(1,200~1,500 歩の増加)」、「運動習慣者の割合の増加(約10%増加)」、「住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体数の増加(47都道府県とする)」の3 点を主な目標とし、具体的にどのような活動をどのくらい行ったらよいかという目安がまとめられています。

健康生活と睡眠

睡眠も、健康生活のために重要な要素の一つです。睡眠不足になると疲労が取れず、日常生活に支障が生じるというだけではなく、生活習慣病のリスクが高まるとも言われています。また、心の病気と睡眠は密接な相互関係があります。

睡眠の量はもちろん質にもこだわることが、健康生活のためには大切なのです。

睡眠と健康トラブル

「平成8年度健康づくりに関する意識調査」によれば、「睡眠によって休養が十分にとれていない人」の割合は23.1%でした。この割合は平成16年の調査では21.1%、平成21年の調査では18.4%と有意に減少しており、「健康日本21(第二次)」では平成34年度までに15%とすることを目標にしています。

しかしながら、「眠りを助けるために睡眠補助品(睡眠薬・精神安定剤)やアルコールを使うことのある人」の割合が14.1%(平成8年)、17.6%(平成15年)、19.5%(平成19年)と増加していることも別の調査によって明らかになっています。

睡眠補助品やアルコールを過剰に用いることは睡眠の質に影響するだけではなく、心身の健康(生活)トラブルを引き起こす危険性もあります。

ですから、健康生活のために質の良い睡眠を取ることができるよう、自分で習慣付けていくことが大切なのです。

健康づくりのための睡眠指針

厚生労働省は、「健康日本21」の睡眠についての項目を実践するための手立てとして、「健康づくりのための睡眠指針2014」を策定しました。

ここでは、質の良い睡眠を確保し、睡眠障害に早期対応するための「睡眠12箇条」が掲げられています。

  • 良い睡眠で、からだもこころも健康な生活。
  • 適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
  • 良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
  • 睡眠による休養感は、こころの健康(生活)に重要です。
  • 年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
  • 良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
  • 若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
  • 勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
  • 熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
  • 眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
  • いつもと違う睡眠には、要注意。
  • 眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。

引用:「健康づくりのための睡眠指針2014」厚生労働省

まずは生活習慣を整えるという基本的なことから始め、睡眠にトラブルが生じた場合には早めに専門家に相談することが大切です。

健康生活とストレス

ストレスとは、外部からの刺激によって起こる生体反応を指します。気温の変化や騒音、忙しさ、人から言われた言葉など、好ましい好ましくないに関わらずさまざまなものが刺激となり、ストレスが発生します。

過度なストレスは、心身の健康な生活状態に大きく影響することが知られています。例えばストレスから不安になったり、イライラしたり、怒りやすくなったりというのは多くの方が経験されたことがあるのではないでしょうか。頭痛や肌荒れといった体の不調が現われたり、暴飲暴食や不眠など生活の乱れにつながることもありますよね。

このような状態が続いてしまうと、うつ病やパニック障害などの心の病気、さらには生活習慣病といった身体の病気が生じやすくなるということも指摘されています。

ストレスを感じている人の割合は?

「平成8年度健康づくりに関する意識調査」では、調査前1ヶ月間に不満、悩み、苦労、ストレスなどがあったかという問いに11.9%の人が「大いにある」、42.7%の人が「多少ある」と答えており、合わせておよそ55%の人が日頃からストレスを感じているということがわかります。

またストレスの内容については、男性では「仕事上のこと」がもっとも多く、女性ではそれに加えて「出産・育児」が挙げられています。

このようなストレスを減らし、心身の健康生活を増進するために、「健康日本21」(2000年)では2010年までに「最近1ヶ月間にストレスを感じた人」の割合を1割以上減少することを目標としました。

しかし2007年に出された中間報告では、策定時の調査と異なっているものも含まれているため評価は難しいものの、結果は62.2%と割合が増加しており、2011年にまとめられた最終評価においても61.3%との調査結果が出たことから、「悪化している」との評価が出されています。

「健康日本21(第二次)」にはストレスについての項目はありませんが、自殺者や気分障害・不安障害に相当する心理的苦痛を感じている者の割合の減少が目標として掲げられています。

健康生活のためのストレス対策法

健康生活のためのストレス対策法として、まず個人としてストレス対処能力を高めるということが必要になります。そのためには、次のような点に気を付けるとよいと言われます。

  • ストレスについての正確な知識を持つ
  • 生活習慣を整える
  • 頭を柔らかくし、物事を柔軟に捉えられるようにする
  • 十分な休養を取る
  • 気分転換の方法を見つける
  • 誰かに相談する

ただしストレスは、個人の努力だけではどうにもならない面もあります。家族や友人、職場の仲間など、周囲からの理解や協力もストレス対策のためには欠かせないものと言えます。

「健康日本21(第二次)」でも、メンタルヘルスに関する措置を受けられる職場の割合を100%にするという目標が挙げられています。

ストレスによって心や体の健康(生活)が損なわれてしまっている場合には、早めに医療機関を受診するなどといった対策も必要です。

まとめ

それでは最後に、健康の定義と健康生活のために大切な事柄についてまとめておきます。

  • 「健康(生活)」とは、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることとして定義されている
  • 定期的に健康診断を受けたり、健康日本21などのガイドラインを参考にしたりするとよい
  • 栄養バランスや食事の仕方が健康生活にとって重要である
  • 1日およそ1.2ℓの水をこまめに補給することが、健康生活につながる
  • 自分の適正体重を知り、消費エネルギーと摂取エネルギーのバランスに気を付けるようにする
  • 健康生活のためには、運動や生活活動といった身体活動を増やすことが大切
  • 「健康づくりのための睡眠指針」などを参考に、質の良い睡眠を取るよう心掛ける
  • 心身の健康(生活)のために、上手なストレス対策が必要

<参考文献>
公益社団法人日本WHO協会
(http://www.japan-who.or.jp/)
厚生労働省
(http://www.mhlw.go.jp)
「健康日本21」公益財団法人 健康・体力づくり事業財団
(http://www.kenkounippon21.gr.jp/)
「8020運動」日本歯科医師会
(https://www.jda.or.jp/enlightenment/8020/index.html)