汗をかくメリットとは?健康的ないい汗のかき方 | 水と健康の情報メディア|トリム・ミズラボ - 日本トリム

汗をかくメリットとは?健康的ないい汗のかき方

暑い時期にクーラーのきいた環境で生活や仕事ができることは、とてもありがたいことではありますが、そういった環境に慣れ過ぎてしまうと、私たちの発汗機能は少しずつ衰えていきます。

汗をかくことは「着替え・ふき取り・化粧直し・洗濯」など、なにかと後処理が面倒くさいものではありますが、その反面、メリットも多くあります。また、場合によっては、発汗が私たちの命を守ってくれることさえあるのです。このようなメリットや恩恵を得るためには、日ごろから体質を整えて、常に「いい汗がかける体」にしておく必要があります。

汗をかくことのメリットとは何か?いい汗のかき方とは何か?今回はこれらの疑問について解説していきたいと思います。

汗をかくメリット

「悪臭」や「不潔」など、とかく悪いイメージをもたれることが多い汗。しかしそういった悪いイメージのほとんどは、実は「発汗後の後処理の悪さ」が作り出しているものなのかもしれません。

また、「不要なもの」として扱われることもある汗ですが、実際には私たちの美容や健康には汗が大きく貢献しており、生命維持の観点からも私たちにとってなくてはならないものなのです。具体的な発汗によるメリットは、次のようなものが挙げられます。

【汗をかくメリット】
①体内の不要な老廃物や毒素を排出する
②余分な水分を排出し、むくみを解消する
③汗に含まれる成分で、皮膚を保湿する
④体温を調節し、熱中症を予防する

中でも④の体温調節は発汗のメリットの中でも特に重要で、私たちの生命にも関わる重要な働きです。以下の項では、この「体温調節」にフォーカスをあてて解説をしていきたいと思います。

発汗の仕組み

体温が高くなると、体は汗を出して体温を下げようとします。汗を出すのは皮膚の表面にある「汗腺(かんせん)」と呼ばれる小さな器官です。

汗腺は血液中にある水分を取り込んで、汗をつくります。つくられた汗(前駆汗)には、ナトリウムなどのミネラルが含まれていますが、皮膚上に分泌される前に汗腺の働きによって、ほとんどが体内に再吸収されます(必要なミネラルを体内にとどめるためのメカニズム)。したがって、皮膚上に分泌される汗(最終汗)には、通常、ナトリウムなどのミネラルはほとんど含まれていません。

しかし、汗腺の再吸収能力にも限度はありますので、大量に発汗した場合にはナトリウムなどが再吸収を免れてしまうことがあります。そういう状態で分泌された汗は、しょっぱい味がします。つまり、少量ずつ出た汗はほとんど味がしませんが、大量に出た汗はしょっぱい味がするということです。

分泌された汗は、皮膚から蒸発する際に体の熱を奪って体温を下げます(気化熱の原理)。つまり汗は、体内に熱をため込まないようにするための重要な冷却物質でもあるわけです。

しかし、このように重要な役割をもっている汗ですが、やみくもにかけばいいというものではありません。汗には「いい汗のかき方」と「悪い汗のかき方」があるのです。

汗のかき方の違い

汗には種類があります。緊張やストレスを感じた時にかく「精神性発汗」、辛い物などを食べた時にかく「味覚性発汗」、そして運動などによって体温が上昇した時にかく「温熱性発汗」です。

いずれにしても、汗そのものに有害なものはありませんが、汗のかき方には「いい・悪い」の違いがあります。体温が上昇した時にかく「温熱性発汗」の場合、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれ見ていきましょう。

いい汗のかき方とは

・体温が上がりだすと、すぐに汗が出はじめる
・少量ずつ、頻繁に汗がにじみ出る
・少量ずつなので皮膚上に留まらず、その都度すぐに蒸発する
・継続的に気化熱が奪われるため、体温が上がりにくくなる

悪い汗のかき方とは

・体温が上がりだしても、なかなか汗が出てこない
・体温がかなり高くなった時点で、一気に大量に出はじめる
・大量なので蒸発が追いつかず、皮膚が水浸し状態
・そのため熱が体内にこもり、体温が下がりにくくなる

まずは汗をかきやすい体質にしよう

上記のような「悪い汗のかき方」をした場合、熱中症にかかって、最悪の場合には命を落としてしまう可能性もあります。まずはご自身が今どのような汗のかき方をしているのかを正しく見極める必要があるでしょう。

傾向として、日ごろ外に出ることが少なく、室内で勉強や仕事をしている人は、汗を出す機能が衰えており「悪い汗のかき方」をしていることが多くあります。

逆に、外で仕事をしている人や室内でも冷房をかけない人は、汗を出す機能が鍛えられおり「いい汗のかき方」をしていることが多いようです。両者の違いは、体が「暑熱順化(しょねつじゅんか)」しているかどうかにあります。

暑熱順化とは

暑熱順化とは暑さに体が適応した状態、つまり「暑さに慣れた状態」のことをいいます。暑熱順化することによって、熱中症を予防する「いい汗のかき方」ができるようになります。

「やや暑い環境」で「ややきつい」と感じる運動、たとえば30分ほどのウォーキング(または、15分ほどの軽いジョギング)を毎日2週間ほど続けることで、ほとんどの人の体は暑さに慣れていきます。

ただし、高齢者の方はムリをしないで下さい。少し汗ばむ程度の運動でもかまいませんので、様子を見ながら慎重に行うようにしましょう。高齢者の方は、「早歩き」と「ゆっくりとした歩き」を3分ごとに交互に繰り返す「インターバルウォーキング」がオススメです。

水分補給と塩分補給

汗をたくさんかくと体から水分が失われ、血液はドロドロになります。汗の元となる血液中の水分量が少なくなるわけですから、やがて汗も出なくなります。こうなると体温は上昇し続けるため、熱中症の危険が高まります。ですので、汗をかいたら水分補給をすることがとても重要なのです。

しかし、激しいスポーツなどで短時間に汗をたくさんかいた場合、水分補給だけでは足りません。上記でも説明しましたが、大量にかいた汗にはナトリウムなどが比較的多く含まれており、その分だけ体はそれらの物質も失っているのです。

体には塩分濃度を一定に保とうとする「ホメオスタシス」という機能があります。大量に汗をかいた場合、水分だけを補給すると体内の塩分濃度が薄まってしまいますので、体は水分を尿などで追い出そうとします。つまりこのような脱水状態においては、水分だけの補給はほとんど意味がないということになります。

大量に汗をかいた時には、水分とともに塩分を補給することが重要です。0.1~0.2%の食塩水、またはナトリウムが100mL中40~80mg含まれているスポーツドリンクや経口補水液の活用などで、水分と塩分の両方を補給するようにしましょう。

さいごに

私たちの体には汗腺(エクリン汗腺)が200~500万個あるといわれています。そしてその内、実際に活動している汗腺を「能動汗腺」といいます。

この能動汗腺の数は2~3歳で確定され、大人になってもその数は増えないと言われています。つまり、2~3歳の時期に汗を分泌しなかった汗腺は生涯活動をしないというのです。

1970年代にクーラーが登場して以来、私たちの生活はより快適なものになりました。しかしそれによって、能動汗腺が少なくなり、現代の人たちは発汗量が減少したとの指摘もあります。その上、日常生活においてもクーラーは頻繁に使用されていますので、体はほとんど汗を出す機会がありません。

能動汗腺数の減少、冷房環境の常態化、慢性的な運動不足…。これらが示唆する結果を私たちはもっと意識する必要があるのかもしれません。


参考文献

健康長寿ネット「運動の良い汗と悪い汗」

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/undou-shougai/undou-ase.html

環境省・文部科学省「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」

https://www.mext.go.jp/content/210528-mxt_kyousei01-000015427_02.pdf

大塚製薬「効率的な水分補給」

https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/heat-disorders/replenish/

福田屋カンパニー「Doctor's Organic|汗腺」

https://www.doctors-organic.com/kansen/index.html